2010年12月28日火曜日

「職場諸要求に関する要望書」に対する当局回答について

 組合の大会等でお知らせするのが遅くなってしまいましたが、先月、当局より以下の通り「職場諸要求に関する要望書」に対する回答がありました。昨年度までの取り付く島もないといった趣の内容からはやや前進し、職員配置の変更に関しては組合との協議を行うなど幾つかの点で成果がありましたが、その他については、前向きな姿勢がとりあえず示されたというレベルで、今後、組合としてそれらを望ましい形で具体化することに取り組んでいきます。

1.働きやすい職場環境と職員参加の拡大について
 国立大学法人制度・公立大学法人制度の発足から6年が過ぎ、大学を巡る環境は一層厳しさを増している。高等教育機関としての総合的な経営力が問われる中、特に本学においては、大学法人制度の想定を超えたレベルの設置者による直接コントロールの強化・拡大と極端なトップダウン型経営の導入により、従前より公立大学の弱点とされていた事務局機能や適切なトップダウンとボトムアップの組み合わせが不可欠な教育研究の改善等において深刻な問題を抱えている。
 本来の公立大学法人として、大学の全職員が大学の民主的な運営と教育研究への取り組みに積極的に関われる環境整備と職場内におけるコミュニケーションの拡充が重要であり、教職員間のコミュニケーションを高めながら、多くの大学職員の理解と協力体制のもとに、大学教育への取り組みが進むよう運営の改善と取り組みを要望する。
【当局回答】市民が誇りうる、市民に貢献する大学となるよう、また、市民から信頼される大学として、持続可能な経営を確立していくために、所属する教職員が一丸となって大学運営に取り組んでまいりたい。
【コメント】毎年行っている要求ですが、今年度は特に現行中期目標・計画の終了と次期中期目標・計画の策定を控えた重要な年です。昨年度までの、要求自体に全く回答していない、問題など存在していないというかのような回答に比べるとやや丁寧な内容となっています。要求自体には相変わらず直接は回答していませんが、教職員が一丸となって大学運営に取り組むという姿勢が表明されており、今後はこの点が単なる言葉だけのものとならないよう要求と監視を続けていきます。

2.超過勤務への対応について
 昨年来、手当圧縮等の要請からくるものと思われるが、超過勤務の抑制が行われている。もちろん、超過勤務自体は削減することが望ましいが、その方策は多く個人の努力に帰せられており、組織としての合理的・効率的なマネジメントの遂行という観点が薄く、事実上のサービス残業の強制につながりかねないものとして強く懸念する。業務と残業の実態について把握と公表を行うと共に、現場の職員の要望に基づき、私立大学に比べ著しく非効率的と思われる事務局内部の意思決定や業務執行のプロセスの効率化に努めるよう要望する。
【当局回答】超過勤務の削減につながる事務改善の実績もあげられており、引き続き、改善に努めてまいりたい。
【コメント】「事務改善の実績」というものが具体的にどのような指標に基づくもので、どの程度それが改善したとされているのかは不明ですが、引き続き現場の職員の要望に基づく改善という観点からの業務の改善やサービス残業の抑止の要求を続けていきます。

3.任期制の廃止について
 現在、医療技術職を除く全職員に適用されている任期制に関しては、その法的根拠は曖昧であり、国会においてもその問題点が指摘されている。第1期中期計画期間の終わりを迎え、大学としての長期的な人事政策としても、職員の積極性やインセンティブを高める効果はかならずしも期待できず、法人化後絶えることのない職員の病気休職や退職に象徴されるように、かえってマイナスの影響の方が大きいことが明らかになったと考える。
 大学の本来の目標である、質の高い教育研究の実現のためにも、本学の第1期中期計画期間の実績、民間企業の人事政策での教訓や他大学の実態を踏まえ、任期制を廃止、より適切な入事政策を検討するよう要望する。
【当局回答】職員の任期制度は、自発的な能力開発を動機づけ、職業人としての知識や経験の幅を広げていくことを趣旨としたものであり、今後も継続してまいりたい。
【コメント】もともと公立大学の大きな弱点として事務局の能力の低さが指摘されていましたが、法人化以降、この点における国立大学、私立大学との格差はさらに拡大しつつあります。自治体職員の派遣による事務局経営を行っている公立大学ではその大学職員としての専門性の欠如と大学に対するロイヤリティや熱意の欠如が、プロパー職員の採用を進めている公立大学ではプロパー職員の“下請け”扱いと大学職員としての育成の欠如が問題となっています。「自発的な能力開発を動機づけ、職業人としての知識や経験の幅を広げていくこと」になど全くつながっていない横浜市大の現実に基づき、引き続きその廃止を求めていきます。

4.契約職員・嘱託職員雇い止め制度廃止について
 契約職員、嘱託職員の多くは、実質的には不足する正職員の業務を担っており、雇い止めの強行は大学自身の経営力、大学間競争力にマイナスの影響を与えずにいられない。競争的環境の下、高等教育機関としての活動レベルの維持・向上に必要な人的資源の確保に悩む多くの地方国大が制度の撤廃や弾力的運用に動く中、本学においては、医療技術系の嘱託職員に関してのみ例外規定を活用した雇用の延長が認められているが、このような弥縫策ではなく、雇い止め制度自体を撤廃するよう要望する。
【当局回答】規程に基づく運用を基本としつつ、適切な対応に努めてまいりたい。
【コメント】今回の職場諸要求提出後に、雇止めとなる嘱託職員に関して、引き続き嘱託職員の採用が行われる職場については再応募を認めるという制度運用上の変更が行われました。この点は、これまでの職員組合の取り組みが実ったものとして一定の評価をしますが、それでも嘱託職員、契約職員が引き続き雇止めという制度上の危険にさらされていることに変わりはありません。今後も雇止め制度の廃止を求めていきます。

5.業務評価の適切な運用と本人公開の維持・改善について
 各職場における実際の業務評価の運用は、透明性の問題、客観性の確保など、その困難陛が民間企業の多くの失敗事例を始めとして、広く指摘されているところである。人事運用の失敗は、職場のモラール・業務能力の深刻な低下を招くばかりでなく、職員間の反目や間違いを指摘できないような非生産的な職場環境を生み出す温床となることも危惧される。
 評価制度の適切な運用、特に評価の客観性を担保するための評価者に対する専門的トレーニング及び評価の透明性を担保するための本人に対する一層詳細な評価情報(判断根拠に関する評価者の記述等)の公開を行うよう要望する。
【当局回答】人事考課制度については、昨年度から全職員に開示とすることで、人材育成や能力開発をより効果的に行うことを趣旨としている。引き続き、評価の透明性や客観性の確保や考課者研修にも取り組んでまいりたい。
【コメント】この問題については、現実に複数のトラブルが発生しています。「全職員に開示」されるのはあくまでも評価結果だけで、その評価が適切なものであるかどうかを検証するために必要な評価の判断根拠に関する評価者の記述は非公開のままです。「評価の透明性や客観性の確保や考課者研修」が適切なものか検証するためにも、引き続き評価の判断根拠に関する評価者の記述部分の公開を求めていきます。

6.紛争処理手続きにおける客観性の確保について
 本学におけるハラスメントや人事等に関する紛争処理に当たる委員会等は、基本的に学内者のみで構成されており、外部の弁護士等の客観的な第3者の参画が想定されていない。全員任期制という制度下においては、一般の教職員にとっては学内の幹部のみで構成される組織に対して各種の訴えを起こすこと自体ためらわれるケ-スがあり、紛争処理における客観性の確保、ひいては風通しのよい良好な職場環境の確保のために、これらの委員会等に客観的で大学及び設置者に利害関係を持たない第3者を加えるよう制度の改定を行うことを要望する。
【当局回答】プライバシーを保護し、客観性が確保された制度運用に努めてまいりたい。
【コメント】プライバシーの保護自体は当然のことであり、それを理由に紛争手続きに学外の弁護士等の第3者の参画を拒むことは完全に筋違いです。むしろ、この種の組織内部における紛争に中立的な立場の組織外の法律の専門家等を加えることは当然のことであり、学内の人間だけでこの種の組織を構成することは紛争処理手続きとしての客観性、ひいては有効性を失わせるものです。引き続き客観的で大学及び設置者に利害関係を持たない第3者を加えるよう要求していきます。

7.契約職員の規程上への適切な位置づけについて
 これまでも職員組合が指摘してきたように、契約職員については、関係規程上に位置づけがなく、「公立大学法人横浜市立大学契約職員雇用要綱」なる根拠・手続きの不明な一枚の文書がその存在、雇用条件等の根拠となっている。このような状態はもちろん異常であり、規程上に明確に位置づけるよう要望する。また、その際、8時30分から5時15分までの勤務時間、週5日間勤務で残業もあるという雇用条件の契約職員を非常勤職員として扱うのはいかなる意味においても無理があり、当然、常勤職員として位置づけるよう要望する。
【当局回答】契約職員雇用における必要事項については、契約職員雇用要綱で定めるもののほか、契約職員の就業に関する事項は、非常勤職員就業規則で位置づけている。
【コメント】地方公務員は、その存在と職務権限を法令及び条例に依拠しているはずですが、大学に出向している横浜市職員にはこの法令等に関する意識の点で奇妙な傾向を示す職員が多々見られます。上でも指摘したように、職員組合が入手した「公立大学法人横浜市立大学契約職員雇用要綱」には誰がいかなる権限において定めた文書なのかが全く記載されていません。また、非常勤職員就業規則は一読すれば明らかなように嘱託職員を対象として制定された規則です。何時からこのようなことになっているのかは不明ですが、横浜市大では学則、規程等の組織のルールの作成において問題がある状況が続いており、契約職員の位置づけはその一つです。引き続き契約職員に関する適切な規程上の位置づけを求めていきます。

8.大学専門職制度の堅持と評価の客観性、透明性の確保について
 大学専門職制度は、本学の法人化に当たって大学職員の高度化、専門化の試みとして紛れもなく国内大学において先進的な取組であったが、実際には市派遣幹部職員によって制度運用段階で事実上存在しないか、単なるプロパー職員管理職に関する身分であるかのように変質させられ、さらに次期中期計画においては制度自体を消滅させ、職員制度を地方公務員制度に同一化させるがごとき動きが見られる。大学専門職制度を堅持すると共に、その評価に当たっては、制度設計の趣旨に則り、その専門分野に関する業績・経験を有し、専門的見地から客観的に評価しうるものを参加させるなど、客観性・透明性を確保するための措置を取るよう要望する。
【当局回答】大学専門職の評価についても、客観的で公平な手続きを実施しているが、要望の趣旨も含め、引き続き適切な対応に努めてまいりたい。
【コメント】大学専門職を消滅させようとする動きについては、これまで当局側は「そのようなことは決まっていない」としてきましたが、実際には今年度更新の大学専門職に対して「理事長(ないしは人事委員会)が大学専門職の廃止を決定した」と言って、密室で一般事務職への転換か退職を迫るという不当労働行為を行っています。このような不当な行為には断固として抗議し闘います。

9.職場の職員配置内容を明確にすること
 職場の人員体制の明示は、労働環境を守る観点からも基本事項にとなる重要な問題である。職員の配置や配属のあり方においては、他大学等の調査をおこなうと共に、具体的に業務の実態を比較検討し、適切で働きやすい配置内容となるよう、提案と説明を要望する。
  • 各職場における職員の配置状況と内容の実態について、明確に組合に説明・提案するよう要望する。
  • 職員配置の変更に当たっては、組合協議事項であり事前に提案をおこなうよう要望する。
【当局回答】引き続き、効率的な執行体制とするとともに、職員配置の変更等に際しては、職員組合とも協議してまいりたい。
【コメント】法人化後、組合を無視、軽視するような大学経営が続いてきましたが、職員配置の変更等に関して職員組合と協議していきたいという約束が取り付けられたのは大きな成果です。職場において配置の変更等に関して不安や不満をお持ちの方は、この機に是非職員組合に加入してください。

10.職員の配転基準の明確化について
 職員の配置基準についての骨格を明示するとともに組合と事前に協議するよう要望する。 職員配転に当たっては、職員のキャリア形成を図る観点からも、中・長期的な視点のなかで仕事に取り組めるような配転等の基準を要望する。
【当局回答】職員の異動は、人事異動の基本方針に示しているが、今後人材育成プランを策定する中で、人材育成策やOJTの拡充につなげていくよう努めてまいりたい。
【コメント】「3.任期制の廃止について」の項で触れましたが、公立大学の職員育成には大きな問題があることが、文科省や高等教育研究者をはじめとする大学関係者にも認識されつつあります。人材教育プランの策定内容に注意を払っていきます。

11.派遣社員の対応について
 各職場における派遣社員の配置においては、その必要性や運用の効果と課題を見極め、職場内で十分な論議をおこなうとともに、慎重な対応を要望する。また、職場における変更事項として、変更が生じた場合には組合に事前提案をおこなうよう要望する。
【当局回答】人材派遣については、引き続き、適切な運用に努めてまいりたい。
【コメント】派遣社員については、嘱託職員、契約職員とともに各職場で大きな役割を果たしているものの、職員組合としては組合員がいないこともあってその現状についても満足に把握できていない状態です。今後、その把握に努めていきたいと考えています。

12.教室業務に係る出張手続きついて
 医学部教室における業務出張について、大学の出張として認められないケ-スがある。事故の際の取扱等の問題もあり、大学の業務として事務手続き上も位置づけるよう要望する。
【当局回答】具体的な内容を確認のうえ、適切な事務手続きに努めてまいりたい。
【コメント】今後、この回答を受けて適切な手続きが取られるか注視していきます。

13.コンプライアンス重視の経営の確立について
 法人化以後、学位授与等を巡る問題などで本学のコンプライアンスが問題となった。その一方で労働三法を始めとする労働関係法規に関する法人化以降の本学の対応の問題は、社会的には明らかになっていないため批判を受けるようなことにはなっていないが、非常に問題のある状態が続いている。最近数ヶ月の有給休暇の時間単位取得にかかる労基法の改正に対する対応や育児休業・介護休業等に関する法改正に対する対応に現れたように、法人化された大学においては(地方公務員法等ではなく)基本的に民間企業と同様の労働関係法規が適用されるにもかかわらず、そもそも関係法規をきちんと読んでいないと思われるケースや、民間の雇用の基本的ルールである「契約」という概念を理解していないのではないかと思われるケースなど、法人化された大学の運営の前提となる法的リテラシーに関して担当部署、市派遣幹部職員等の理解には危惧を覚えざるを得ない。本来の意味でのコンプライアンス(法令に則った組織運営)を徹底させるよう要望する。
【当局回答】コンプライアンスに対する意識をより高めていくことが重要と認識しており、要望の趣旨も含め、適切な対応に努めてまいりたい。
【コメント】「要望の趣旨も含め、適切な対応に努めてまいりたい」という回答が本当に守られるかどうか、具体的な今後の問題への取り組みを通じ確認していきます。

14.給与システム等人事システムの信頼性の確立について
 今年度の2度に渡る職員組合のチェックオフに関する誤り(職員組合とは何の関係もない付属病院教員が何故が職員組合員として登録、問題発覚の翌月も同様のミスが繰り返され、しかも原因は最終的に組合に対し明らかにされていない)や福浦キャンパスの臨床系教員の諸手当について間違いが頻発しているなどの状況は、給与システム等人事システムの信頼性に対し不安を覚えさせるものである。以上の2つのケースについては当事者の組合や教員側が気づけば是正可能な問題ではあるが(もちろん本来あってはならないミスである)、一般的な月々の給与・手当等の支給額が正確かどうかなどは各教職員にとって確認の困難な問題であり、信頼しうるシステムの存在は教職員が安心して業務に取り組むための大前提である。給与システム、給与等の処理に関する作業手続き等人事システムの信頼性の確立を要望する。
【当局回答】システムの見直しについて検討をしているところであり、正確な給与事務に努めてまいりたい。
【コメント】給与・賞与等の正確な支払いは高等教育機関としてのガバナンス云々以前の問題であり、問題が起きないか引き続き注意を払っていきます。また、この問題で不信や疑問をお持ちの方は職員組合にご連絡ください。

15.昼食時間中の拘束性の高い入試業務においては、従事者に弁当を支給することについて
 入試の実施に際しては、安全・公正な実施環境の保持のため、関係者の不要な外出を制限し、また実施時間割の関係から、関係者が試験本部等の限られた場所と時間において、拘束性の高い状態で昼食を取る必要がある。
 昨年度、弁当の公費負担が認められず、関係者から私費負担で代金を徴収して対応したが、このような金銭管理を担当者が行わなければならないことは好ましいことではなく、従事者に対し弁当の支給を行うよう要望する。
【当局回答】現状でご理解願いたい。なお、金銭の扱いは適切な管理とするよう努めてまいりたい。
【コメント】この問題については現在当局に協議を要求しているところですので、後日改めて皆様にはお伝えします。

16.施設整備・管理に関する体制の整備
 金沢八景、福浦キャンパス等における施設の整備や管理体制は整理されておらず、日常的な施設設備の利用や管理、将来に向けた適切な整備において問題がある状態となっている。権限と責任を明確化した体制の整備を行うよう要望する。
【当局回答】各キャンパスにおける管理体制のもと、施設整備・管理を行っている。
【コメント】そもそも施設自体が横浜市の所有で大学の自己所有ではないという、これまた国公立大学法人に類例のない状態であり、将来整備も自分で決められない有様なのですが、利用、管理自体についても錯綜した複雑なものとなっています。今後、必要があれば個別の具体的な問題について要望・要求を行っていきます。

17.福浦キャンパストイレの洋式化について
 福浦キャンパスの医学科の建物は、一部整備が行われたものの、洋式トイレの比率が少ない状況にある。学生利用への配慮を含め、引き続きトイレの洋式化を図るよう要望する。
【当局回答】各キャンパスにおける管理体制のもと、施設整備・管理を行っている。
【コメント】この問題については、当局の回答以前に、整備計画自体は既に作られているという指摘が福浦の職員の方からありました。ありがとうございました。今後は計画通りの整備がされるかどうか注視していきます。

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職員労働組合新執行部について

 職員労働組合の新執行部が以下の通り発足いたしました。今後ともよろしくお願い致します。

 委員長 三井 秀昭 (医学部病態病理学教室)
 副委員長 登坂 善四郎 (医学情報センター)
 副委員長 出光 直樹 (アドミッションズ・センター)
 書記長 菊池 芳明 (学術企画課)
 執行委員 江崎 美千代 (医学部組織学教室
 執行委員 伊藤 和彦 (国際学務担当)


*12月17日の職員組合大会の内容についてもお伝えする予定でしたが、職場諸要求の回答だけで結構な量となってしまったため、そちらについては年明けの組合ニュースへの掲載とすることにしました。今号が年内最後の職員組合ニュースとなります。皆様良いお年をお迎えください。来年もよろしくお願いします。


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2010年12月21日火曜日

嘱託職員採用試験の公募開始について

 今年度で雇い止めとなる嘱託職員の方についても再応募が可能となった嘱託職員の採用試験ですが、昨日12月20日より公募が開始されています。

http://www.yokohama-cu.ac.jp/univ/recruit/22syokutaku.html

 今年度雇い止めとなる嘱託職員の方には、所属長より周知がされることとなっていますが、念のために概要についてお知らせします。

★募集業務(必要資格等) 人数

(1)事務補助業務(必要資格なし) 数名程度
 ・秘書事務
 ・広報関連事務
 ・人事関係事務
 ・学務、教務に関する事務
 ・研究費関係事務
 *いずれかの事務補助業務に従事

(2)学術情報関係業務(図書館業務経験) 若干名
 ・学術情報センター(図書館)における図書館業務全般

(3)知財関係業務(知的財産管理技能士、知的財産業務経験) 若干名
 ・知的財産管理業務

(4)カウンセリング業務(臨床心理士、心理相談業務経験) 若干名
 ・保健管理センターにおける相談業務

(5)実験補助業務(植物科学や生化学の実験経験) 若干名
 ・木原生物学研究所における研究補助業務、研究室事務

★申込期間:12月20日~12月27日(17:00郵送必着)
 <但し、学内応募者は持ち込みによる提出も可です>

 その他詳細については、各所属長に確認ください。以上、取り急ぎお知らせします。

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2010年12月2日木曜日

嘱託職員採用試験の公募・選考実施の遅れについて

 嘱託職員・契約職員の雇い止め問題に関連して、前回11月11日に、雇い止めになる嘱託職員の方について再応募が可能になったこと、及び公募が11月下旬に始まることをお伝えしました。

 この件について、人事課より公募が12月中旬に、選考実施が12月下旬にそれぞれずれ込むこととなったとの連絡が職員組合にありました。再応募を希望されている嘱託職員の方は、所属長からの情報にご注意ください。

 以上、取り急ぎお知らせします。

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2010年11月11日木曜日

雇い止め嘱託職員の再応募と、嘱託職員・契約職員等の事務系職員への応募について

 嘱託職員・契約職員の雇い止め問題については、ご承知のように、職員組合では昨年度来その撤廃を要求し続けており、今年度の職場諸要求においても、任期制の廃止等と並んでその要求を掲げていますが、回答要求期限の10月22日を過ぎた11月10日現在、内容を整理中とのことで未だ回答は得られていません。

 ただし、職員組合のこれまでの取組や要求とは無関係という体裁を取っていますが、この問題について当局側で一部取扱の変更があったのでお知らせします。

 10月25日、当局より職員組合委員長に対して、5年での雇い止めを迎える嘱託職員に関して、嘱託職員への再応募を認めること、及び嘱託職員、契約職員、アルバイトについて、事務系職員の募集に際して応募要件に関して配慮を行う旨の連絡がありました。

 嘱託職員への再応募については、既に一部国立大学で同様の対応が行われているものでありますが、今回は経営企画室、学務・教務センター、学術情報センター、研究推進センター、保健管理センター、木原生物学研究所等での募集が検討されている模様です。公募は今月末の予定です。

 事務系職員の募集に際して応募要件の配慮を行う件については、(今年度の第2回の募集は既に先週末で締め切りとなっていますが)「4年制大学を卒業した方(平成23年3月までに卒業見込みの方を含む)で、大学卒業後(学士の学位を授与された後)10年未満の方」という事務系職員の応募資格を、本学の嘱託職員、契約職員、アルバイトについては「60 歳未満(年齢基準日:平成23 年4 月1日)」として、学歴及び卒業後の期間は問わないというものです。

 これらについては、最初に書いたように当局側はあくまでも独自の検討の結果としての変更を組合に対して連絡した、という体裁を取っており、職員組合のこれまでの雇い止めに関する問題点や国立大学における動向に関する指摘、制度撤廃の要求とは無関係という姿勢(そこまで組合の指摘や要求を認めるのが嫌なのか、とも思いますが)ですが、職員組合のこの問題に対する昨年度来の運動がなければそもそも雇い止めが問題であるという認識すら持たなかったであろうことは明らかであり、その意味では、職員組合の取組の結果、これまでの問答無用で雇い止めという対応からは幾分なりとも改善を勝ち取ることができたと言えると考えます。

 ただし、職員組合としては、既に今年度の職場諸要求においても雇い止め自体の撤廃を要求しており、今後もこれを目標として引き続き取組を継続していきます。今年度の職場諸要求の回答がありましたら、この問題も含め、その内容を皆様にお知らせします。

 また、今回の取扱の変更については、当局側からの連絡では、対象となる職員に対して各課の課長から周知が行われるとされていましたが、残念ながら、その後、少なくとも一部の職場で関係職員に対する周知が行われなかったことが確認されています。事務系職員の募集の締め切りが数日後に迫っていたことから、念のため組合員に対しては職員組合から連絡を行いましたが、本学の人事制度・運用を巡り問題山積という状況から考えると、臨時の公開版組合ニュースの発行を考えるべきであったかもしれません。もし知らずに今年度の応募の機会を逃してしまった方がいらっしゃいましたら、申し訳ありませんでした。今後は組合としても気をつけるようにします。


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期末手当・勤勉手当について

 11月10日、当局側から12月の期末手当・勤勉手当について説明がありました。

 内容としては、期末手当・勤勉手当の合計について年間4.15か月から4.00カ月とし、12月の期末手当・勤勉手当については2.05カ月分としたい。また、給与表を切り下げ、それに伴う4月~12月分の給与及び6月の期末手当・勤勉手当の引き下げ分について調整数を乗じた額を今回の期末手当の支給額から差し引くというものです。支給日は12月10日です。

 この内容は、職員組合の上部組織である横浜市従等により形成されている横浜市労連と市当局との間で先週妥結した内容と同一、つまり市職員と同じ扱いになります。

 ちなみに今回の期末手当・勤勉手当の内容は、附属病院の医療職等で構成されている横浜医従の要求 - 2.5カ月以上の支給 - に対する大学当局の回答という形で示されたものです。職員組合としては、今のところ大学の給与等は横浜市のそれと完全に連動しており、その横浜市における給与等の条件については上部組織である横浜市従が横浜市労連を通じて要求を行っていること、及び職員組合としては、給与云々以前の問題として、常時組合員や場合によっては非組合員の雇用そのものをめぐる問題を抱え、その対処に追われており、あえて横浜市従とは別個に大学当局に独自要求を行うということはしていません。

 とは言うものの、いつまでも横浜市と完全に同一という状況が続く保証はありませんし、その場合は当然、職員組合独自で要求を行う必要が出てきます。また、横浜市職員と同一という条件が続くとしても、今回の切り下げで年間の支給は4.0カ月となり、これ以上切り下げられれば3カ月台になってしまいます。加えて給与や手当の計算の母体になる給与表自体も切り下げになります。つまり、どう転んでも少しでも自分たちの労働条件、労働環境を守るためには労働組合の交渉力、端的にはできる限り組合員の数を増やすことが重要になってきます。今回の切り下げに不満や不安を覚えた方、ぜひ組合に加入してみてください。


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第55回はたらく女性の中央集会について

 11月20日(土)、21日(日)の両日、「第55回はたらく女性の中央集会」が鶴見会館及び横浜総合高校を会場に開催されます(横浜市も後援しているそうです)。特に21日(日)は、弁護士などによる派遣、パート、非常勤職員等に関する労働法講座や働くことと子育て、セクハラ・パワハラなど女性と労働を巡る様々なテーマに関する分科会が開かれるようです。詳細については、神奈川労連の>HPhttp://www.kanagawa-rouren.jp/topics/49/1.jpg をご覧ください。因みに男性も参加可だそうです。


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公立大学法人横浜市立大学次期中期目標について

 8月30日に横浜市従委員長と職員組合委員長(横浜市従大学支部支部長)の連名で行った次期中期目標等に関する申し入れですが、依然として市からは何の反応もないままです。予定では今月中には中期目標の最終案が決定されるはずであり、春に行った本学理事長宛の意見書と同様、残念ながら無視されて終わりという結末を迎える可能性が高くなってきました。

 そういう状況ではあるのですが、正式な時間切れを迎える前にもう少しだけこの問題について書いておきたいと思います。

 横浜市大の現段階での次期中期目標案(そして恐らくこのまま“案”が取れることになるのでしょう)における「基本的目標」はこのようになっています。

 横浜市立大学は、知識基盤社会の進展の中で、横浜市が有する大学として、発展する国際都市・横浜とともに歩み、市立大学の国際化を進め、グローバルな視野をもって活躍できる人材を育成すること。

 研究成果や知的財産を活用して横浜市を始めとした大都市の抱える課題、横浜市民の生活に密着した課題等に対して積極的に取り組むこと。

 この2つの目標を実現するため、「教育重視・学生中心・地域貢献」という基本方針のもと、横浜市立大学の自主的・自律的な運営と更なる発展を目指して、第1期中期目標期間中に整備した組織・体制の強化と、教育・研究を一層活発に進めるための取組について具体的な中期目標を定める。

 ここで基本的な問題に立ち返ってみると、大学の中期目標や中期計画といったものは一体誰に対して表明されたものなのでしょうか(あるいは約束されたものなのでしょうか)?大学人が真っ先に思い浮かべるのは、「社会に対するもの」という位置づけではないでしょうか。しかし、上記の中期目標案は基本的な目標として「横浜市立大学は ~ すること」という命令形で記述されています。これは一体誰が誰に命令しているのでしょうか?素直に読めば、設立団体の長である横浜市長が大学に対して命令しているということなのでしょう。

 前回ご紹介した国立大学の中期目標の場合、紹介した事例以外でも命令形で基本目標が記述されているものは見当たりませんでした。

 次に公立大学の場合、例えば本学と同様に首長の意向によってトップダウン式の改革が行われた首都大学の中期目標を見ると、最初の「基本的な考え方」という部分が基本的に設置者の観点が色濃く出ている印象で、その末尾は「東京都はこの中期目標を策定し、指示する」という言葉で締めくくられています。ただし、その次にある「基本的な目標」の項は命令形ではなく、国立大学同様に、大学が何をするかという表現になっています。それ以外にも幾つかの公立大学で、首都大学と似た構成で、前文の部分で「設置者が ~ 定める」、「設置者が ~ 策定し、指示する」といった表現になっているものがあります。また、実は一つだけ、本学と同様に「基本的な目標」を「~ すること」という設置者からの命令形で記述されている大学も見つかりました。それ以外の法人化された公立大学の場合、国立大学と同様、基本的な目標は大学が何をするかという表現で書かれています(中期目標全体についても同じです)。

 もう一つ、公立大学法人制度は、国立大学法人法という独立した法律に基づく国立大学法人制度とは異なり、地方独立行政法人制度の一部になっていますが、この地方独立行政法人の事例を見ると、実は中期目標が命令形で記述された事例が沢山出てきます。例えば神奈川県立病院機構の場合、「目標期間」の次に書かれている「県民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項」という項を見ると「医療環境の変化や県民の医療ニーズ等を踏まえて、県の政策医療として行う高度・専門医療等、質の高い医療を提供すること」等、その内容は命令形で記述されています。

 このように見ると、一部の公立大学に関しては、中期目標を作成するに当たって国立大学よりも大学以外の地方独立行政法人を参照している、少なくとも国立大学や他の公立大学だけでなく、大学以外の地方独立行政法人の中期目標を参考にしている可能性がありそうです。大学関係者が主導的役割を果たす場合は、他の国公立大学の事例をまず参考にする可能性が高く、一方、設置自治体側が主導する場合は、地方独立行政法人制度の一部という観点から大学以外の地方独立行政法人のあり方を参照する可能性が高いのではないでしょうか。

 では、この中期目標の前文や基本的な目標の記述の仕方の違い、それを命令形で記述することにはどのような問題があるのでしょうか?

 国立大学や多くの公立大学の場合、「○○大学は ~ する」という中期目標を見た一般の人たちは、当然、中期目標は大学が社会に対して何をするかを表明した文書であると受け取るでしょう。また、これに国立大学法人法や地方独立行政法人法の公立大学法人に関する特例規程 -文部科学大臣や設置自治体の長は大学の教育研究の特性に配慮することや中期目標の策定に当たっては大学法人の意見を聴き、当該意見に配慮することを求められている- を併せて考えると国立大学や多くの公立大学の中期目標は図のように捉えることができるかもしれません。


 これに対して、設置自治体の長から大学に対して命令形で記述された中期目標は少し違った印象となります。


ここでは中期目標は、大学以外の独立行政法人と同様に、第一に設置者の大学に対する命令を成文化した設置自治体と大学間での文書という色彩が強くなるでしょう。

 国立大学法人法や地方独立行政法人法の公立大学法人に関する特例規程、法案成立時の国会の付帯決議、大学法人化の趣旨、それに設置形態に関わらず共通する大学としての社会的役割、特性等を踏まえれば、このような中期目標の表現は「大学」の在り様として望ましいのでしょうか。そして、それは単なる表現上の問題なのでしょうか。

 林文子現横浜市長は、ご存知のように市長となる前は企業経営者でした。そして横浜市は前市長の下、企業的経営を標榜していたように記憶しています。そこで横浜市を企業にたとえてみると、横浜市立大学は、単なる子会社というよりは、企業フィランソロピーを目的として設立された企業財団(例:サントリー文化財団、トヨタ財団など)という位置付けがよりふさわしいと思います。さて、もし林市長がこの企業のトップであったとしたら、あるいは財団の活動を見守る一市民であったとしたら、財団の中期目標が社会に対する活動・貢献の目標を示すというよりは、企業本社の財団に対する命令の性格が強い文書として作成、発表されたならどのように思われるのでしょうか?


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2010年10月22日金曜日

育児・介護休業等に係る労使協定締結等について(続報)

 度々お伝えしてきた改正育児・介護休業法に関する労使協定について、当局側より協定書の提供がありましたので、皆様にご紹介します。

 その前に2点ほど改めて注意すべき点について触れておきます。

 第1に、この労使協定書の第1条第2項(4)に「非常勤職員にあっては、子が1歳に達する日から1年を経過する日までに雇用契約期間が満了し、更新されないことが明らかでないこと」とありますが、これは法令に従えば「更新されないことが明らかであること」の誤りで、協定書の記述では法令とは意味が反対になってしまっています。第1条第2項は「育児休業をすることができない」場合の条件を挙げている項目ですので、「任期更新がされないことが明らかでない場合」には育児休業を認めないでは意味が通りません。

 因みに規程上では、この部分は「非常勤職員の育児・介護休業等に関する規程」の第2条第1項(3)において、育児休業をすることができる条件として「更新されないことが明らかでないこと」とされていて、こちらについては法令の趣旨どおりとなっています。言い方を変えれば労使協定書と規程では意味が反対になってしまっています。

 すでにお伝えしたところですが、職員組合はこのような本来労使協定に盛り込む必要のない項目を(しかもどのような基準で加えたり加えなかったりしているのかもよく分からない)加えること自体に反対し、労使協定には法令上協定で定めるとしている項目だけを取り上げ、その他については規程、規則で定めて、その内容について法令との齟齬がないか精査するよう求めてきました。その理由の一つは、まさにこのような誤りが起こるであろうことを懸念してのことです。必要のない協定書本体と規程の双方に条件を記載し、しかもわざわざ片方は「取得できる条件」、もう片方は「取得できない条件」として記述しているのですから、誤りが起こる可能性は当然高くなります。

 職員組合では、法令との内容の齟齬については規程、規則においてチェックし、協定書本体については(このような誤りを防ぐ意味でも)不要な項目は加えないよう求めていたので、このようなわざわざ規程とは反対の記述の仕方をした部分の誤りまではそもそもチェックしていません。前回組合ニュースでもお伝えしたように、制度の利用を予定、検討している方には、協定書、規程、規則の関連部分総てをご面倒でも確認するよう、改めて呼びかけます。

 第2に、基本的に厚労省の法令解釈に則り制度設計及び運用を行うよう求めましたが、これが容れられなかったことにより、制度の運用、適用において教職員が不利益をこうむる可能性があります。

 例えば、育児短時間勤務について、労使協定第5条第1項(2)ウで短時間勤務の対象外になる場合として「業務の性質又は業務の実施体制に照らして、所定労働時間の短縮措置を講ずることが困難と認められる業務に従事するもの」が挙げられています。この部分は、厚労省の「子の養育又は家族の介護を行い、又は行うこととなる労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするために事業主が講ずべき措置に関する指針」第2の9(3)における例示を見ると、国際線等の客室業務員等の業務などが挙げられていて、単にその部署が忙しいから育児短時間勤務の取得は認められない、といった運用を行うことが想定されているわけではないことがわかります。しかし、このような原則の確認は行われず、法人化後の本学の職場環境、当局の人事政策を考慮すると、「忙しいのだから認められない」と言って、短時間勤務の確保のための対応や努力は何ら行わずに申出を却下するケースなども十分に考えられます。

 また、任期の更新をまたいで育児休業などを取得する場合、厚労省の「育児休業や介護休業をすることができる期間雇用者について」(期間雇用者という言葉は言われてみると随分と不安定そうで不安を招く言葉ですが、事実我々は期間雇用者なのです)を見ると、雇用契約の期間が例えば3年で、契約が切れる1年前から育児休業を2年間取った場合、新たな契約期間3年間の最初の1年は引き続き育児休業期間、その後2年間は復帰して勤務、ということになります。


 ところが、当局側が主張している職員任期規程の第4条によれば、このような場合、次の任期については、とりあえず育児休業を取っている1年は再任となりますが、それ以後については「育児休業となる前の期間、育児休業の期間及び休業前の再任の回数を考慮し決定する」とされていて、どうなるかは休業を取得する教職員の側には分からない、当局側の決定次第ということになってしまいます。


 このように、厚労省の法令解釈に則った制度設計・運用がなされる保証がない状況下、様々な問題が発生する可能性が残ってしまっています。

 ただ、ここで一つお断りしておかなければなりませんが、基本的に厚労省の法令解釈に則り制度設計及び運用を行うべきである、という職員組合の見解は、あくまでも、今回の育児・介護休業等の取得に関する厚労省の解釈が育児・介護休業等の取得を促進するという観点に立っていて同意できる点が多く、当局側によるこれまでの本学での人事制度の設計・運用よりは遥かにましである、という認識からのものであり、厚労省の法令解釈を絶対基準とする、というものではありません。例えば、この問題について教員組合との意見交換の中で、休業期間は任期に加えないという考え方もあるのではないかという話もありました。このような厚労省の法令解釈や法令の基準を超えた水準の確保を要求することも問題によっては当然ありうると思います。今回の育児・介護休業等に関する問題では、職員組合が最初に指摘した問題点を巡る議論に終始し(しかもその多くは受け入れられませんでした)、これまでのところ、残念ながらそのような細部に渡る議論や合意といったレベルまでは至らないという結果になってしまっています。

 では、以下から労使協定書の本文になります。因みに、この文書自体は金沢八景キャンパスのものですが、他のキャンパスに関しても本文は全く同じとのことです(ただし、福浦キャンパスについてのみ、この文書から第17条の部分が除かれています)。

公立大学法人横浜市立大学職員の育児・介護休業等に関する労使協定書

公立大学法人横浜市立大学理事長 本多常高 と、金沢八景地区の職員の過半数を代表する者 山田俊治 とは、公立大学法人横浜市立大学職員就業規則第44条及び公立大学法人横浜市立大学非常勤職員就業規則第30条に基づき定められる育児・介護休業等について、次のとおり協定する。

(育児休業の対象者)
第1条 育児のために休業することを希望する職員であって、3歳に満たない子(非常勤職員にあっては1歳に満たない子)と同居し養育する者は、この規程に定めるところにより育児休業をすることができる。
2 前項の規定にかかわらず、次の職員については育児休業することは出来ない。
(1) 継続雇用1年未満の者
(2) 休業の申し出があった日から起算して、1年以内に退職することが明らかな者
(3) 1週間の所定労働日数が2日以下の者
(4) 非常勤職員にあっては、子が1歳に達する日から1年を経過する日までに雇用契約期間が満了し、更新されないことが明らかでないこと。

(育児休業の期間等)
第2条 育児休業の期間は、原則として子が3歳に達するまで(非常勤職員にあっては1歳に達するまで)を限度として、育児休業申出書に記載された期間とする。

(育児休業している職員の賃金等の取扱い)
第3条 育児休業期間は、無給とする。

(育児部分休業制度)
第4条 職員で小学校就学の始期に達するまでの子(非常勤職員にあっては3歳に満たない子)と同居し、養育する者は、理事長に申し出て、所定勤務時間の始め又は終わりにおいて、1日を通じ30分単位で2時間を超えない範囲で必要な時間を休業できる。ただし、次のいずれかに該当する職員からの申し出は拒むことができる。
(1) 1日の所定労働時間が6時間以下である者
(2) 労使協定によって所定労働時間の短縮措置を講じないと定められた次の者
ア 勤続1年未満の者
イ 週の所定労働日数が2日以下の者
2 部分休業取得期間は、無給とする。

(育児短時間勤務)
第5条 職員で小学校就学の始期に達するまでの子と同居し、養育する職員は、理事長に申し出て、所定勤務時間を短縮することができる。ただし、次のいずれかに該当する職員からの申し出は拒むことができる。
(1) 1日の所定労働時間が6時間以下である者
(2) 労使協定によって所定労働時間の短縮措置を講じないと定められた次の者
ア 勤続1年未満の者
イ 週の所定労働日数が2日以下の者
ウ 業務の性質又は業務の実施体制に照らして、所定労働時間の短縮措置を講ずることが困難と認められる業務に従事する者
2 短縮する勤務時間は別に定める。
3 請求期間は、1月以上1年以下で、子が小学校就学の始期に達するまで引き続き延長することができる。
4 育児短時間勤務をしている時間については、報酬は支給しない。

(介護休業の適用対象者)
第6条 要介護状態にある家族を介護する職員は、介護休業をすることができる。
2 前項の「家族」の範囲は、次のとおりとする。
(1) 配偶者、父母、子、配偶者の父母
(2) 同居し、かつ、扶養している次の者
祖父母、孫及び兄弟姉妹
3 第1項の「要介護状態」とは、負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり、常時介護を必要とする状態をいう。ただし、同項の規定にかかわらず、次の職員については介護休業することは出来ない。
(1) 引き続き雇用された期間が1年未満の者
(2) 申し出の日の翌日から93日以内に雇用関係が終了することが明らかな者
(3) 1週間の所定労働日数が2日以下の者

(介護休業の期間等)
第7条 介護休業の期間は、介護を必要とする対象家族1人につき、原則として、連続する6月の期間内までとし、最初に申し出た日から1年以内の期間で120日(非常勤職員にあっては、93日まで)(勤務を要しない日及び休日を除く。)までとする。
2 前項にかかわらず、次の各号に定める事情が発生した場合は、終了予定日を待たず当該期間は終了する。
(1) 対象家族が死亡したとき
(2) 介護を行っていた職員が負傷し又は疾病等により介護が困難になったとき
(3) 介護を行っていた職員が産前・産後休業、育児休業又は新たな介護休業に入ったとき
(4) その他介護休業に係る家族を介護しないこととなったとき
3 介護休業の適用は原則として対象家族1人につき要介護状態ごとに1回とする。

(介護休業の単位)
第8条 介護休業の単位は、1日、半日又は1時間(非常勤職員にあっては、1日又は半日を単位)とし、1時間を単位とする介護休業は、1日を通じ、始業の時刻から連続し、又は終業の時刻まで連続した4時間の範囲内とする。

(介護休業期間中の賃金等の取扱い)
第9条 介護休業期間中は、無給とする。

(育児・介護のための時間外労働の制限)
第10条 小学校就学の始期に達するまでの子を養育する職員が当該子を養育するために申し出た場合には、当該申し出をした職員の業務を処理するための措置を講ずることが著しく困難である場合を除き、1か月について24時間、1年について150時間を超えて時間外労働をさせることはない。
2 前項の規定は、日常生活を営むのに支障がある者を介護する職員について準用する。この場合、前項中「小学校就学の始期に達するまでの子を養育する職員が当該子を養育するため」を、「要介護状態にある者の介護その他の世話を行う職員が、当該世話を行うため」と読み替えるものとする。
3 前2項の規定にかかわらず、次の各号のいずれかに該当する職員の育児のための時間外労働の制限の申し出は拒むことができる。
(1) 引き続き雇用された期間が1年未満の者
(2) 1週間の所定労働日数が2日以下の者
4 次の各号に掲げるいずれかの事由が生じた場合には、制限期間は終了するものとし、当該制限期間の終了日は当該各号に掲げる日とする。
(1) 家族の死亡等制限に係る子を養育又は家族を介護しないこととなった場合
当該事由が発生した日
(2) 制限に係る子が小学校就学の始期に達した場合
子が6歳に達する日の属する年度の3月31日
(3) 申出者について、産前産後休業、育児休業又は介護休業が始まった場合
産前産後休業、育児休業又は介護休業の開始の前日

(育児のための所定外労働の免除)
第11条 3歳に満たない子を養育する職員が当該子を養育するために申し出た場合には、事業の正常な運営に支障がある場合を除き、所定労働時間を超えて労働をさせることはない。
2 次の各号に掲げるいずれかの事由が生じた場合には、制限期間は終了するものとし、当該制限期間の終了日は当該各号に掲げる日とする。
(1) 子の死亡等免除に係る子を養育しないこととなった場合
当該事由が発生した日
(2) 免除に係る子が3歳に達した場合
当該3歳に達した日
(3) 申出者について、産前産後休業、育児休業又は介護休業が始まった場合
産前産後休業、育児休業又は介護休業の開始の前日
3 第1項の規定にかかわらず、次の職員からの所定外労働の免除の申し出は、拒むことができる。
(1) 継続雇用1年未満の者
(2) 1週間の所定労働日数が2日以下の者

(育児・介護のための深夜業の制限)
第12条 小学校就学の始期に達するまでの子を養育する職員が当該子を養育するため又は要介護状態にある家族を介護する職員が当該家族を介護するために申し出た場合には、事業の正常な運営に支障がある場合を除き、午後10時から午前5時までの間(以下「深夜」という。)に労働させることはない。
2 前項にかかわらず、次の職員は深夜業の制限を申し出ることができない。
(1) 引き続き雇用された期間が1年未満の者
(2) 申し出に係る家族の16歳以上の同居の家族が次のいずれにも該当する者
ア 深夜において就業していない者(1ヶ月について深夜における就業が3日以下の者を含む。)であること。
イ 心身の状況が請求に係る子の保育又は介護をすることが出来る者であること。
ウ 8週間(非常勤職員にあっては、6週間)(多胎妊娠の場合にあっては、14週間。)以内に出産予定でないか、又は産後8週間以内でない者であること。
(3) 1週間の所定労働日数が2日以下の者
(4) 所定労働時間の全部が深夜にある者
3 次の各号に掲げるいずれかの事由が生じた場合には、制限期間は終了するものとし、当該制限期間の終了日は当該各号に掲げる日とする。
(1) 家族の死亡等制限に係る子を養育又は家族を介護しないこととなった場合
当該事由が発生した日
(2) 制限に係る子が小学校就学の始期に達した場合
子が6歳に達する日の属する年度の3月31日
(3) 申出者について、産前産後休業・育児休業又は介護休業が始まった場合
産前産後休業・育児休業又は介護休業の開始の前日

(子の看護休暇)
第13条 子の看護休暇は、9歳に達する日(非常勤職員にあっては、小学校就学の始期に達する日)以後の最初の3月31日までの間にある子(子に準ずる者も含む。)を養育する職員が、当該子の看護(負傷し、又は疾病にかかった当該子の世話を行うことをいう。)のほか、当該子の疾病予防のための予防接種や健康診断を受けさせるため、勤務しないことが相当であると認められる場合、当該休暇年度において、5日まで(当該子が2人以上の場合は10日まで)取得することができる。
2 前項の規定にかかわらず、次の職員については、看護休暇を取得することはできない。
(1) 継続雇用6か月未満の者
(2) 1週間の所定労働日数が2日以下の者
3 子の看護休暇は有給(非常勤職員にあっては無給)とする。

(子の看護休暇の取得単位)
第14条 子の看護休暇の取得単位は、1日又は1時間(非常勤職員にあっては、1日又は半日)とする。1時間単位で取得する場合は、1時間を超える部分については15分刻みで取得できることとする。

(介護休暇)
第15条 介護休暇は、負傷、疾病、身体上若しくは精神上の障害又は老齢などにより、2週間以上にわたり日常生活を営むのに支障がある者(以下「要介護者という」の介護その他の世話を行う職員が、当該世話を行うため、勤務しないことが相当であると認められる場合、当該休暇年度において、5日まで(要介護者が2人以上の場合は10日まで)取得することができる。
2 前項の「要介護者」の範囲は、次のとおりとする。
(1) 配偶者、父母、子、配偶者の父母
(2) 同居し、かつ、扶養している次の者
   祖父母、孫及び兄弟姉妹
3 第1項の規定にかかわらず、次の職員については、介護休暇を取得することはできない。
(1) 継続雇用6か月未満の者
(2) 1週間の所定労働日数が2日以下の者
4 介護休暇は有給(非常勤職員にあっては無給)とする。

(介護休暇の取得単位)
第16条 介護休暇の取得単位は、1日又は1時間(非常勤職員にあっては、1日又は半日)とする。1時間単位で取得する場合は、1時間を超える部分については15分刻みで取得できることとする。

(協議)
第17条 この協定の遂行にあたって、運営上の問題が生じたときは、横浜市立大学及び金沢八景地区事業場の双方で誠実に協議する。

(有効期間)
第18条 この協定の有効期間は、平成22年6月30日から平成23年3月31日までとする。

   平成22年6月30日

   公立大学法人横浜市立大学
   理事長 本多 常高

   横浜市立大学教員組合
   委員長 山田 俊治

 前回の組合ニュースでも触れましたが、この制度について、疑問等がある方は職員組合までご相談ください。非組合員の方でももちろん構いません。ただ、最初に触れたように、本学における制度設計・運用と厚労省の法令解釈との間にはずれがあり、その辺りについての実際の取得の際の問題については、非組合員の方に対してできることは、労働組合としての制度上の限界から組合員に対するものとは違ってきてしまうかもしれません。できればこの際に組合にご加入いただければ組合としても大いに助かります。今回の交渉でも明らかなように、組合員の数の多寡はどうしても当局との交渉力に影響します。一人でも多くの方が組合に加入することが結果的に職員全体の権利や立場を守ることにつながります。よろしくお願いします。


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2010年10月7日木曜日

育児・介護休業等に係る労使協定締結等について

 数回にわたってお知らせしてきた改正育児・介護休業法に対応した学内の制度改正についてですが、先週、最後まで残っていた福浦キャンパスについても労使協定が結ばれ、法改正に対応した育児休業、介護休業、育児短時間勤務、子の看護休暇、介護休暇等の利用が可能になりました。

 労使協定に関しては、総てのキャンパスで労使協定を締結、労基署に提出後に人事より職員組合に対して協定本文のデータの提供を受ける約束になっていますが、10月7日時点ではまだ連絡がありません。データの提供があり次第、改めて皆様には組合ニュースでその内容をお伝えしますが、今回はとりあえず、関連の情報と注意すべき点についてお知らせします。

 まず、育児休業・介護休業等については、これら各キャンパスにおける労使協定以外に、常勤職員の場合、職員就業規則と横浜市立大学職員の育児・介護休業等に関する規程、横浜市立大学職員任期規程非常勤職員の場合、非常勤就業規則と横浜市立大学非常勤職員の育児・介護休業等に関する規程が関連の規則、規程となります。ただし、10月7日時点では制度改正に対応して新設・改正されたものはwebの規程集上にはまだアップされていません。また、他の問題と同じく、契約職員に関しては常勤職員として扱うよう求めましたが、結局非常勤職員としての扱いとなってしまっています。

 今回の制度改正に関しては、これまで職員組合ニュース上で、多くの問題点が含まれていること、また、八景キャンパスと福浦キャンパスに関しては労使協定の締結に当たる両キャンパスの過半数代表者が職員組合の見解にほぼ同意する形で当局と交渉を行っていることをお伝えしてきました。結果的には、当局側は職員組合及び八景、福浦の両キャンパス過半数代表者による問題点の指摘に対して、ごく一部の法律の引用上の明白な誤りを除いては修正には応じず、また、厚労省の法解釈に則った制度運用等を行うことを確認する補完文書の作成にも同意しなかったため、労使協定及び関連の規則、規程には多くの問題点が残っています。

 このため、これらの制度の利用を考えている方、予定している方には、特に以下の点について注意することをお勧めします。

各キャンパスの労使協定(キャンパスによって異なっている可能性があります)と関連の規則、規程のうち、自分の利用しようとしている制度の該当部分総てに目を通して下さい。これら関連文書の記述は一部重複し、逆に一部はどこかの文書にしか書かれていないものがあります(この辺りについても整理・修正を要求したのですが)。ある文書だけを見て判断すると、本来利用可能な制度を利用できないと思ってしまうようなこともありえます。

改正育児休業・介護休業等に関する法令及び法令に関する厚生労働省の解釈のうち、自分が利用しようとしている制度の関連部分についても面倒ですが出来るだけチェックして下さい。具体的には、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則(抄)」、「子の養育又は家族の介護を行い、又は行うこととなる労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするために事業主が講ずべき措置に関する指針」、「通達(育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の施行について)」、「育児休業や介護休業をすることができる期間雇用者について」などで、これらは総て以下の厚生労働省の「育児・介護休業法の改正について」というページからダウンロードできます。ただし、ご覧になれば分かりますが、これら総てを合わせるとページ数は100ページを軽く超えます。プリントアウトするよりは画面上で検索をかけて必要部分をチェックする方がいいと思います。このような複雑でわかりにくいものに制度の対象者が直接当たる必要がない様、職員組合としては問題点の修正と厚労省の法解釈に則った制度運用を行うという原則の確認を行いたかったのですが、残念ながら結果は前述の通りです。特に、常勤の教職員が任期をまたいで育児休業等を取得しようとする場合の取扱(例:3年任期であと1年で任期が切れる人が、現在1歳の子供が3歳になるまで育児休業を取得しようとする場合)などは、当局側の「横浜市立大学職員任期規程」における解釈と厚労省の「育児休業や介護休業をすることができる期間雇用者について」等での解釈は相当な違いがあり、注意が必要です。

以上も含め、制度の利用に関し質問・相談等のある方は、職員労働組合までご連絡ください。ただ、職員組合でも手順としては上記の①、②のチェックを行う点は全く同じですので、即答は難しく、お時間をいただくことになると思います。


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相次ぐ固有職員の退職と欠員不補充の問題

 平成17年の法人化以降、固有職員の採用を進めて来た本学ですが、法人化時の混乱と不完全な制度設計、その後の運用の混乱等、労働条件・職場環境の悪化にともない、教職員の退職が相次いでいます。また、年度途中で退職者が出た場合にも、すみやかな人員の補充等の適切な対応はなされず、多くの現場に負担を強いる状況になっています。

 この度も、アドミッションズセンターの固有職員が8月末をもって退職して他大学へ転出しましたが、その欠員の補充がなされないまま、1ヶ月の時が過ぎています。退職の2ヶ月前に申し出があり、十分な時間があったにもかかわらず、また現場からの強い要望にもかかわらず、未だに具体的な対応の様子が見られません。

 アドミッションズセンターでは、昨年も年度途中での固有職員の退職がありましたが、臨時の人材派遣によるその場しのぎの対応しかなされず、非常に負荷のかかる業務を強いられました。

 人員がだぶついている状況ではない事は明白であるにもかかわらず、退職者の業務内容の詳細を報告させるなど、だたでさえ欠員によって繁忙化した現場に対して余計な負担をかけるような要求もおこなわれ、およそ現場の苦労を考えているとは思えない対応がなされています。

 まるで、退職者を引き留めなかった現場に責任があり、その尻ぬぐいは現場ですべきとでも言うのでしょうか? まったくもって、ひどい話です。

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第4回大学人サミットやまなしカレッジ2010

 10月23日(土)、24日(日)、山梨学院大学で「第4回大学人サミット」が開催されます。「大学人サミット」は、3年前に山形大学を会場に「大学職員サミット」という名前で始まり、全国の大学職員を中心に学生や教員も加わる形で毎年開催されてきましたが、今年度からは「大学人サミット」と名前を変え、国公私立という設置形態の別や、教員、職員、学生という立場の違いを超えて広く大学について語り合おうという趣旨で開かれるものです。

 公立大学関係者では、筆者の前任校でもありますが岩手県立大学が毎年「大学自慢コンテスト」という企画で発表している他、公立大学協会の事務局長もコメンテーターとして参加しています。プログラムの詳細等については、会場校である山梨学院大学のウェブサイトの「第4回大学人サミット やまなしカレッジ2010のご案内」をご覧ください。

 参加申込の期限(9月24日)は既に過ぎていますが、まだ申込は可能だそうです。

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良い中期目標?悪い中期目標? 国立大学法人の場合

 本学の中期目標・中期計画に関しては、過去の職員組合ニュースでお伝えしたように、4月5日に本学理事長宛に意見書の提出を、さらに8月30日には上部組織である横浜市従の委員長と連名の形で横浜市長宛に申し入れを行いましたが、前者については残念ながらあっさり黙殺され、後者については返答待ちの状況で、現段階ではこれ以上できることはあまりなさそうです。そこで、今回は少し視点を変えて、本学より1年早く法人化されたため、既に第2期の中期目標・中期計画期間に突入している国立大学法人の中期目標、その「基本的な目標」部分の事例について紹介したいと思います。

 中期目標自体は、国立大学法人も公立大学法人も設置者(国立大学法人の場合は文部科学大臣、公立大学法人の場合は設置自治体の長)が大学の意見を聴いた上で決定するものであり、国立大学法人の場合、総て文部科学大臣が決定するのだからどれも似たようなものになるのでは、と思われるかもしれませんが、各大学の意見は相当程度尊重されているのか、結構大学により違いがあります。

 と言っても、旧帝大は何から何まで全部やりますというフルセット型であまり参考にはならず、また、単科大学も、旧帝大とは逆に教育研究分野が単一であるがゆえにミッションや投入しうる経営資源が限定されていることから、ここでは地方国大について取り上げたいと思います。ただし、地方国大についても全部見るのは大変なので、ここならいいものになっているのでは、という幾つかの大学と何をやっているのかさっぱり聞こえてこないな、という大学を幾つか眺めてみた結果についての紹介です。先入観なしで見てもらった方がいいだろうということで、大学を特定できる情報は伏せてあります。

(A大学)
 国立大学法人A大学(以下「A大学」と称す。)は、我が国の先端科学関連の研究や産業の拠点の一つである○圏○部に立地する特徴、さらには農業の活発な地域としての特色を生かし、人文・社会科学、理学、工学、農学、教育学の各分野における高等教育と、基礎・応用両面にわたる多様な研究活動、さらにそれらを基礎として地域貢献を行う総合大学として大学の統合性を強め、同時に3キャンパスの立地を生かして多彩に発展することを目標とする。

教育
 A大学は、世界水準の教育を行う大学としての機能を発揮し、教育に重点をおき、総合力を生かして一貫した教養教育と専門教育を行い、豊かな人間性と幅広い教養をもち、国際感覚を身につけた職業人を育成する教育を行う。また、大学院教育を重視し、より幅広く豊かな学識を持ち、持続可能な社会と自然保全の担い手を育成する教育を行い、高度専門職業人や研究者を養成する。

研究
 A大学は、世界水準の研究を行う大学としての機能を発揮し、サステイナビリティ学研究やフロンティア応用原子科学の研究、個々に育成された先進的研究など、多様な学術研究を組織的に創出・育成して、国際的な水準の成果を発信する。研究の継承と発展の観点から、若手教員と大学院生の育成を積極的に行う。

地域連携・国際交流
 A大学は、高い社会貢献機能を有する大学として、地域と連携した教育と研究を推進し、その成果を積極的に社会に発信し還元して、地域の教育・文化の向上、環境保全、産業振興、地域社会の発展に寄与する。教育と研究の成果を広く国際社会に向けて発信し、国際的な交流と共同研究を推し進め、特にアジアとの国際交流を推進する。

(B大学)
 B大学は,地域に立脚する総合大学として,教育,研究,社会貢献を一体的に推進し,「A大学憲章」(平成17 年3月制定)に謳う「学生中心の大学」「地域にあって輝く大学」の実現を目指す。第二期中期目標期間においては,(1)学生の人間的成長に重点をおいた教育の推進,(2)地域の発展に貢献できる国際性を備えた人材の育成,(3)特色ある先端的研究拠点の形成・強化を重要課題として,以下に各領域の基本目標を掲げる。

  1. (教育・学生支援) 全学的に一体感のある教育改革を推進し,正課教育及び正課外教育において学生の主体的・協同的な学びを充実させる。
  2. (研究) 環境・生命に関わる世界レベルの研究を一層活発に展開するとともに,質の高い多様な研究を進展させる。
  3. (社会貢献) 地域連携・産官学連携を強化・拡充し,地域活性化に資する人材育成と学術研究を推進する。
  4. (国際化・国際貢献) 国際社会で活躍できる人材を育成するとともに,アジア,アフリカ拠点国への教育研究支援を進める。
  5. (管理運営・組織) 大学の自律性を高めるために,不断に組織運営の改革を図るとともに,人材育成マネジメントを充実させる。
  6. (キャンパス基盤整備) 地域の「知の拠点」にふさわしい,機能性,安全性を備えた教育研究環境を創出する。
  7. (財政) 自己収入の増加及び経費の抑制によって,財政の健全性を維持・向上させる。
  8. (附属病院) 地域医療の中核機関として,医療の質の向上に努めるとともに,経営の安定化を図る。
 さて、皆さんはどのように感じられたでしょうか。少し情報を追加すると、この2つの大学はB大学が医学部を持っていることを除けば、学部数や分野、規模等、いずれもほぼ似通っていて大きな違いはありません。

 A大学の場合、この部分だけを見る限りでは、まるで事務局のスタッフが最初に作成した当たり障りのない検討用の下案がそのまま最終案になってしまったような印象を受けます。どの大学にもあてはまりそうな文章で、優先順位や重点目標、具体的な方向性・内容などがここからは殆ど読み取れず、どの程度まで自大学を巡る外部環境・内部環境について正確に認識し、どの程度の熟度で検討がされたのかも、ここに含まれる情報からは判断できません。

 次に、B大学については少しだけ詳しく見てみたいと思います。  例えば1.(教育・学生支援)の部分では、主体的・協同的な学びを正課教育だけでなく、正課外教育も含めて充実するとしています。これは3行目にある「(1)学生の人間的成長に重点をおいた教育の推進」(下線部筆者)という重要課題に対応して、その実現に必要な適切な方策を大学が理解し、選択して実行しようとしていることがはっきりとしたメッセージとして表現されています。FDに関しある程度の知識や経験を持つ人であれば、「主体的・協同的な学び」という表現から幾つもの授業方法や授業形態、カリキュラムの構成が頭に浮かぶと思います。

 2.(研究)についてはどうでしょうか。挙げられている2つの分野は、B大学では既にCOEや科学技術振興調整費などに採択されるなどして実績を挙げているものです。それを一層推進する方針が示されています。さらにこれらの重点研究分野に力を入れる一方で、「質の高い多様な研究」という表現で、それ以外の大学の抱える研究分野の研究活動を維持・発展させることも表明しています。環境・生命という2本の木が周囲に何もない状態で立っているのではなく、広い裾野を持った研究活動を大学として維持するという選択が示されています。このあたりも教育と研究の関係や基礎研究と課題解決型研究に関する論争などを踏まえた上での決定であることを感じさせます(もっとも、意地の悪い見方をすれば国立大学にありがちな学部の縦割り、独立性から来る横並びの結論が書かれているだけ、という可能性もありますが)。

 3.(社会貢献)に関しては、「地域連携・産官学連携を強化・拡充」というのは地方国大としてはありきたりな表現ですが、「地域活性化に資する人材育成と学術研究」という部分については、B大学は国立大学の中でもユニークな活動を色々と行っていて、各種の競争的資金も獲得しています。これも実績に基づき、それをさらに発展させることを表明している部分です。

 もう一つ、4.(国際化・国際貢献)ですが、これについても複数の競争的資金を獲得するなどの実績があります。ただし、資金やマンパワーがものを言う分野であり、旧帝大や一部私大などに比べればどうしても量的には見劣りがしてしまい、他の分野とは違って、影が薄い印象を受けます。これに関しては「アジア,アフリカ拠点国への教育研究支援を進める」という方向性を打ち出して、4月以降、早々にアジア地域の自治体との協定に基づく行政官や大学教員等の受入れを行うなど、実際に特色のある取組に着手しています。

 5.(管理運営・組織)については、「人材育成マネジメントを充実」とありますが、これも既に数年前からSDについて独自の取組に着手していて、裏づけのないことを書いているわけではありません。

 このあたりにしておきますが、要するにB大学については、挙げられている項目やそこで使われている単語・表現等から見て自大学を巡る外部環境・内部環境について相当なレベルでの理解と分析が行われて、その上で、合理的と思われるような選択がなされ、かつ実施についても相当の裏づけがあること、言い換えれば戦略的な判断と決定が行われているらしいことが、たったこれだけの文章からも伺えます。

 一方、A大学に関しては、そういったことは紹介した部分からは全く判断できません。もっとも、それがイコール戦略を欠いていることの現われだとまでは言いきれませんが。単に中期目標という文書には反映されていない可能性(学部間の対立etc.で)や戦略計画の策定に慣れていない結果(この点に関してはどの国立大学、公立大学も条件は同じですが)である可能性なども考えられます。また、個人的にはそもそも大学法人の中期目標・中期計画という枠組みは、必ずしも戦略計画の策定や表現に向いているとはいえない部分があるのではないかとも思っています。

 それでも、6年間の基本的な方向性を定める文書の、そのまた基本的な部分でこれだけの熟度の違いがあるというのは、6年後の成果の違いについての懸念を抱かせずにはいられません。GPなどの実績から、地方国立大学間に相当の格差が生まれつつあるのではないかという印象は持っていましたが、その一部は戦略立案能力の差に起因しているのかもしれないと疑わせる事例です。  最後に、ある公立大学の中期目標案の「基本的な目標」を掲載しておきます。こちらの判断については皆様にお任せすることとします(とは言うものの、語尾が命令形というのは、らしいと言うか珍しいと言うか……。正しく日本唯一ではあるでしょうが)。
(C大学)
 C市立大学は、知識基盤社会の進展の中で、C市が有する大学として、発展する国際都市・Cとともに歩み、市立大学の国際化を進め、グローバルな視野をもって活躍できる人材を育成すること。
 研究成果や知的財産を活用してC市を始めとした大都市の抱える課題、C市民の生活に密着した課題等に対して積極的に取り組むこと。
 この2つの目標を実現するため、「教育重視・学生中心・地域貢献」という基本方針のもと、C市立大学の自主的・自律的な運営と更なる発展を目指して、第1期中期目標期間中に整備した組織・体制の強化と、教育・研究を一層活発に進めるための取組について具体的な中期目標を定める。
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11月までの職員組合への連絡について(再掲)

 9月24日(金)から10月一杯まで、組合のアルバイトの書記さんが事情により休暇を取られる関係で、基本的に電話・FAXでの職員組合への連絡は出来なくなります。ご注意ください。連絡は電子メールないし各キャンパスの執行委員までお願いします。

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2010年9月23日木曜日

職場諸要求について

 9 月22 日、本年度の職員労働組合の職場諸要求を当局に対して提出、改善と回答を要求しました。職場諸要求は、毎年度、職員を巡る様々な課題・問題について取りまとめ、一括して要求するものです。
 内容は以下の通りです。今年度は、第1 期中期目標・中期計画期間の終了と次期中期目標・中期計画の策定を前に様々な問題が寄せられたこともあり、例年に比べ盛りだくさんな内容になりました。それだけ本学が多くの課題を抱えているということの証左でもあります。
 回答があり次第、また皆様にお知らせします。

2010 年9 月22 日
公立大学法人 横浜市立大学
理事長 本多 常高 様
横浜市立大学職員労働組合
委員長 登坂 善四郎

職場諸要求に関する要望書

 市民から期待され信頼される大学教育と運営の確立に向け、日頃の取り組みへのご尽力に敬意を表します。
 横浜市立大学職員労働組合は、上記目的を達成するための労働環境改善に向けた職場諸要求について、以下の通り取りまとめをおこないました。本学は、法人化時の混乱と不完全な制度設計、その後の運用の混乱等から未だに抜け出せず、教育研究のみならず経営面でも数多くの課題を抱えています。第1期中期計画期間の終わりと次期中期計画期間の始まりを迎え、今、改めるべきを改めなければ本学の高等教育機関としての諸能力(特に金沢八景キャンパスにおいて)が危険なレベルにまで低下することを強く懸念します。
 ご検討をいただき、10 月22 日までに改善に向けた回答をいただけますよう、ここに要望します。

Ⅰ.職場環境・職員参加

1.働きやすい職場環境と職員参加の拡大について
 国立大学法人制度・公立大学法人制度の発足か6年が過ぎ、大学を巡る環境は一層厳しさを増している。高等教育機関としての総合的な経営力が問われる中、特に本学においては、大学法人制度の想定を超えたレベルの設置者による直接コントロールの強化・拡大と極端なトップダウン型経営の導入により、従前より公立大学の弱点とされていた事務局機能や適切なトップダウンとボトムアップの組み合わせが不可欠な教育研究の改善等において深刻な問題を抱えている。
 本来の公立大学法人として、大学の全職員が大学の民主的な運営と教育研究への取り組みに積極的に関われる環境整備と職場内におけるコミュニケーションの拡充が重要であり、教職員間のコミュニケーションを高めながら、多くの大学職員の理解と協力体制のもとに、大学教育への取り組みが進むよう運営の改善と取り組みを要望する。

2.超過勤務への対応について
 昨年来、手当圧縮等の要請からくるものと思われるが、超過勤務の抑制が行われている。もちろん、超過勤務自体は削減することが望ましいが、その方策は多く個人の努力に帰せられており、組織としての合理的・効率的なマネジメントの遂行という観点が薄く、事実上のサービス残業の強制につながりかねないものとして強く懸念する。業務と残業の実態について把握と公表を行うと共に、現場の職員の要望に基づき、私立大学に比べ著しく非効率的と思われる事務局内部の意思決定や業務執行のプロセスの効率化に努めるよう要望する。

Ⅱ.人事制度等

3.任期制の廃止について
 現在、医療技術職を除く全職員に適用されている任期制に関しては、その法的根拠は曖昧であり、国会においてもその問題点が指摘されている。
 第1 期中期計画期間の終わりを迎え、大学としての長期的な人事政策としても、職員の積極性やインセンティブを高める効果はかならずしも期待できず、法人化後絶えることのない職員の病気休職や退職に象徴されるように、かえってマイナスの影響の方が大きいことが明らかになったと考える。
 大学の本来の目標である、質の高い教育研究の実現のためにも、本学の第1 期中期計画期間の実績、民間企業の人事政策での教訓や他大学の実態を踏まえ、任期制を廃止、より適切な人事政策を検討するよう要望する。

4.契約職員・嘱託職員雇い止め制度廃止について
 契約職員、嘱託職員の多くは、実質的には不足する正職員の業務を担っており、雇い止めの強行は大学自身の経営力、大学間競争力にマイナスの影響を与えずにいられない。競争的環境の下、高等教育機関としての活動レベルの維持・向上に必要な人的資源の確保に悩む多くの地方国大が制度の撤廃や弾力的運用に動く中、本学においては、医療技術系の嘱託職員に関してのみ例外規定を活用した雇用の延長が認められているが、このような弥縫策ではなく、雇い止め制度自体を撤廃するよう要望する。

5.業務評価の適切な運用と本人公開の維持・改善について
 各職場における実際の業務評価の運用は、透明性の問題、客観性の確保など、その困難性が民間企業の多くの失敗事例を始めとして、広く指摘されているところである。
 人事運用の失敗は、職場のモラール・業務能力の深刻な低下を招くばかりでなく、職員間の反目や間違いを指摘できないような非生産的な職場環境を生み出す温床となることも危惧される。
 評価制度の適切な運用、特に評価の客観性を担保するための評価者に対する専門的トレーニング及び評価の透明性を担保するための本人に対する一層詳細な評価情報(判断根拠に関する評価者の記述等)の公開を行うよう要望する。

6.紛争処理手続きにおける客観性の確保について
 本学におけるハラスメントや人事等に関する紛争処理に当たる委員会等は、基本的に学内者のみで構成されており、外部の弁護士等の客観的な第3 者の参画が想定されていない。全員任期制という制度下においては、一般の教職員にとっては学内の幹部のみで構成される組織に対して各種の訴えを起こすこと自体ためらわれるケースがあり、紛争処理における客観性の確保、ひいては風通しのよい良好な職場環境の確保のために、これらの委員会等に客観的で大学及び設置者に利害関係を持たない第3 者を加えるよう制度の改定を行うことを要望する。

7.契約職員の規程上への適切な位置づけについて
 これまでも職員組合が指摘してきたように、契約職員については、関係規程上に位置づけがなく、「公立大学法人横浜市立大学契約職員雇用要綱」なる根拠・手続きの不明な一枚の文書がその存在、雇用条件等の根拠となっている。このような状態はもちろん異常であり、規程上に明確に位置づけるよう要望する。また、その際、8 時30 分から5 時15 分までの勤務時間、週5 日間勤務で残業もあるという雇用条件の契約職員を非常勤職員として扱うのはいかなる意味においても無理があり、当然、常勤職員として位置づけるよう要望する。

8.大学専門職制度の堅持と評価の客観性、透明性の確保について
 大学専門職制度は、本学の法人化に当たって大学職員の高度化、専門化の試みとして紛れもなく国内大学において先進的な取組であったが、実際には市派遣幹部職員によって制度運用段階で事実上存在しないか、単なるプロパー職員管理職に関する身分であるかのように変質させられ、さらに次期中期計画においては制度自体を消滅させ、職員制度を地方公務員制度に同一化させるがごとき動きが見られる。大学専門職制度を堅持すると共に、その評価に当たっては、制度設計の趣旨に則り、その専門分野に関する業績・経験を有し、専門的見地から客観的に評価しうるものを参加させるなど、客観性・透明性を確保するための措置を取るよう要望する。

9.職場の職員配置内容を明確にすること
 職場の人員体制の明示は、労働環境を守る観点からも基本事項にとなる重要な問題である。職員の配置や配属のあり方においては、他大学等の調査をおこなうと共に、具体的に業務の実態を比較検討し、適切で働きやすい配置内容となるよう、提案と説明を要望する。
  • 各職場における職員の配置状況と内容の実態について、明確に組合に説明・提案するよう要望する。
  • 職員配置の変更に当たっては、組合協議事項であり事前に提案をおこなうよう要望する。

10.職員の配転基準の明確化について
 職員の配置基準についての骨格を明示するとともに組合と事前に協議するよう要望する。職員配転に当たっては、職員のキャリア形成を図る観点からも、中・長期的な視点のなかで仕事に取り組めるような配転等の基準を要望する。

11.派遣社員の対応について
 各職場における派遣社員の配置においては、その必要性や運用の効果と課題を見極め、職場内で十分な論議をおこなうとともに、慎重な対応を要望する。また、職場における変更事項として、変更が生じた場合には組合に事前提案をおこなうよう要望する。

12.教室業務に係る出張手続きについて
 医学部教室における業務出張について、大学の出張として認められないケースがある。事故の際の取扱等の問題もあり、大学の業務として事務手続き上も位置づけるよう要望する。

Ⅲ.コンプライアンス

13.コンプライアンス重視の経営の確立について
 法人化以後、学位授与等を巡る問題などで本学のコンプライアンスが問題となった。その一方で労働三法を始めとする労働関係法規に関する法人化以降の本学の対応の問題は、社会的には明らかになっていないため批判を受けるようなことにはなっていないが、非常に問題のある状態が続いている。最近数ヶ月の有給休暇の時間単位取得にかかる労基法の改正に対する対応や育児休業・介護休業等に関する法改正に対する対応に現れたように、法人化された大学においては(地方公務員法等ではなく)基本的に民間企業と同様の労働関係法規が適用されるにもかかわらずそもそも関係法規をきちんと読んでいないと思われるケースや、民間の雇用の基本的ルールである「契約」という概念を理解していないのではないかと思われるケースなど、法人化された大学の運営の前提となる法的リテラシーに関して担当部署、市派遣幹部職員等の理解には危惧を覚えざるを得ない。本来の意味でのコンプライアンス(法令に則った組織運営)を徹底させるよう要望する。

Ⅳ.給与等

14.給与システム等人事システムの信頼性の確立について
 今年度の2度に渡る職員組合のチェックオフに関する誤り(職員組合とは何の関係もない付属病院教員が何故か職員組合員として登録、問題発覚の翌月も同様のミスが繰り返され、しかも原因は最終的に組合に対し明らかにされていない)や福浦キャンパスの臨床系教員の諸手当について間違いが頻発しているなどの状況は、給与システム等人事システムの信頼性に対し不安を覚えさせるものである。以上の2つのケースについては当事者の組合や教員側が気づけば是正可能な問題ではあるが(もちろん本来あってはならないミスである)、一般的な月々の給与・手当等の支給額が正確かどうかなどは各教職員にとって確認の困難な問題であり、信頼しうるシステムの存在は教職員が安心して業務に取り組むための大前提である。給与システム、給与等の処理に関する作業手続き等人事システムの信頼性の確立を要望する。

Ⅴ.入試業務

15.昼食時間中の拘束性の高い入試業務においては、従事者に弁当を支給することについて
 入試の実施に際しては、安全・公正な実施環境の保持のため、関係者の不要な外出を制限しまた実施時間割の関係から、関係者が試験本部等の限られた場所と時間において、拘束性の高い状態で昼食を取る必要がある。
 昨年度、弁当の公費負担が認められず、関係者から私費負担で代金を徴収して対応したが、このような金銭管理を担当者が行わなければならないことは好ましいことではなく、従事者に対し弁当の支給を行うよう要望する。

Ⅵ.施設整備

16.施設整備・管理に関する体制の整備
 金沢八景、福浦キャンパス等における施設の整備や管理体制は整理されておらず、日常的な施設設備の利用や管理、将来に向けた適切な整備において問題がある状態となっている。権限と責任を明確化した体制の整備を行うよう要望する。

17.福浦キャンパストイレの洋式化について
 福浦キャンパスの医学科の建物は、一部整備が行われたものの、洋式トイレの比率が少ない状況にある。学生利用への配慮を含め、引き続きトイレの洋式化を図るよう要望する。

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学務・教務課窓口時間の延長に伴う勤務体制の試行について(回答)

 9月15日、当局より職員組合に対して、学生サービス向上のため、学務・教務課の学生対応窓口を18時15分間までとし、そのために職員の一部を9:15~18:15のずらし勤務とする試行を行いたいという旨の申し入れがありました。 
 学生サービスの向上の必要性に関しては職員組合としても異論はなく、また、一部職員の1時間のずらし勤務ということであれば労働強化につながる危険性も低いと判断し、試行については了解する旨の回答を行いました。ただし、運用段階での問題の発生を予防することと、実は当局説明の数時間後に、横浜市において同様のずらし勤務の打診が市の関係組合に対し非公式に行われていたことが明らかになり、その点についての対応もあり、9項目について改善・留意を求めました。具体的な回答書の内容は以下の通りです。
 また、関係部署の職員の方で、この試行により何か問題が発生したような場合は、ご遠慮なく職員組合にご相談ください。

平成22年9月22日
横浜市立大学職員労働組合
委員長 登坂 善四郎

学務・教務課窓口時間の延長に伴う勤務体制の試行について【回答】

 9月15日付で提案のあった学務・教務課窓口時間の延長に伴う勤務体制の試行については、本学における学生サービスの改善に関しては職員組合としても必要性を認めており、関係一部職員の勤務時間の1時間のずらしという限定された範囲での労働条件の変更であり基本的には労働強化にはつながらないものと予想されることから、試行提案について了解します。
 ただし、職員組合が従前から指摘しているように本学の労働環境、特にプロパー職員を巡る問題や労働関係法規等に関するコンプライアンスの状況、さらに、今回の試行が法人設置者である横浜市におけるずらし勤務の試行の問題と時期を同じくしている点等に鑑み、以下の諸点について改善・留意するよう求めます。

  • 実施時期について、終期が定められていないが、検証を前提とした試行においては期限を定めて行うことが基本と考える。来春よりの試行になる鶴見キャンパスは別として、八景キャンパスについては年内一杯で試行を終了させる等、期限を明確にすべきである。
  • 試行の結果に関する検証に関しては、関連部署等に関する匿名でのアンケート等を行うと共に、アンケート結果を含めその詳細を学内に公表すること。また、正式導入については、過半数代表者及び職員の職域を代表する職員労働組合と協議、合意に達すること。
  • ずらし勤務の該当者について、いつごろまでに、どのような手順で決定するか等の手続き面を具体的に示すこと。
  • 嘱託職員、契約職員に関しては、勤務時間は雇用契約書・労働条件通知書において定めていることから、今回の試行に関係するこれら職員に関する取扱は、関係法令・関連学内規程等に則り適切な手続きを行うこと。
  • ずらし勤務となる職員の休憩時間については、管理職が責任を持ってその確保を行うこと。
  • 残業の取扱について、ずらし勤務でありながら急遽8時半出勤が必要となったケースなども含め、適切な対応を図ること。
  • 育児短時間勤務・部分休業等を取得中の職員に関しては、制度の趣旨に則りその取扱を行うこと。
  • 個々の事情のある職員についての配慮は、確実に行うこと。
  • 事情によりずらし勤務に応じられない職員について、評価・再任において不利な取扱を行わないこと。
以上

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関東地区大学教育研究会開催のお知らせ

 10月2日(土)午後、本学金沢八景キャンパスにおいて、大学教育学会関東支部による第27回関東地区大学教育研究会が開催されます。「共通教育のマネージメント」をテーマとしたシンポジウムと自由研究発表が行われます。非会員でも参加費を払えば参加可能です。詳細は、http://www.daigakukyoiku-gakkai.org/activity をご覧ください。

 参加を希望する方は、なるべく9月25日(土)までに組合副委員長でもある出光さん naoki(アット)idemitsu.info まで①氏名 ②所属 ③懇親会への参加の有無を添えてお申込ください。

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11月までの職員組合への連絡について

 9月24日(金)から10月一杯まで、組合の書記さんが事情により休暇を取られる関係で基本的に電話・FAXでの職員組合への連絡は出来なくなります。ご注意ください。連絡は電子メールないし各キャンパスの執行委員までお願いします。

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2010年9月2日木曜日

次期中期目標・中期計画に関する横浜市長への申し入れ

 4月14日付職員組合ニュース【公開版】で皆様にお知らせしたように、職員組合では次期中期計画の検討に関し、様々な問題点があると共に労働組合、一般教職員の意見が反映されていないことは看過できないとして、理事長に対し4月5日「次期中期計画に関する意見書」を提出し、特に法人経営に関する部分について6項目の問題点を指摘しました。しかし、残念ながら職員組合の指摘は当局によって黙殺され、問題点はそのまま残ったまま計画策定の事実上の終了を迎えようとしています。

 これについて、横浜市立大学職員労働組合のもうひとつの顔である横浜市従大学支部の親組織である横浜市従も、市大の現状には問題がありこの件についてこのまま放置するのは望ましくないという認識から、今回、横浜市従中央執行委員長名で次期中期目標の決定権、中期計画の認可権、そして法人に対する広範囲で強大な監督権を有する林横浜市長に対して次期中期目標等に関する申し入れを行うこととし、8月30日、市大を管轄する都市経営局に対し説明及び申し入れを行いました。内容的には、職員組合が大学理事長に対して提出した意見書の内容をほぼ踏襲していますが、市長及び市の関連当局が大学の現状についてどの程度正確に認識しているか疑わしい点も考慮し、前文の部分を変更、法人化後の市大の状況、問題点について大幅に説明を加えてあります。

 回答内容については、回答あり次第、皆様にまたお伝えします。

2010年8月30日
横浜市長 林 文子 様
横浜市従業員労働組合
中央執行委員長 菅野昌子
大学支部支部長 登坂善四郎

公立大学法人横浜市立大学 次期中期目標に関する申し入れ

 横浜市政の発展と市民サービスの向上に向け、日頃の取り組みへのご尽力に敬意を表します。

 ご承知の通り、横浜市立大学は、前市長によるイニシアティブの下、強引な行政主導により平成17年4月に公立大学法人化されました。本来は、日本の大学改革における先導者の一人であった慶応大学教授 故孫福弘氏が理事長として法人化後の大学の運営に当たるはずでしたが、法人化を前にした段階で孫福氏が急逝、制度設計も不十分な状態に終わり、以後の制度設計と法人化後の運営は事実上、市派遣幹部職員の手に委ねられました。それ以降、教育研究・大学経営に関して専門性を欠く市OB、市派遣幹部職員主導の大学運営により、教育研究、大学経営の双方で混乱が続き、他大学関係者・高等教育研究者・文科省関係者等の高等教育関係者、またジャーナリズムにおける横浜市立大学の評価も低下を続けています。

 横浜市従大学支部においても、市派遣一般職員組合員および法人化後新たに採用されたプロパー職員組合員の権利の保護、健全な職場環境の確保を目指し活動を続けていますが、市派遣幹部職員とプロパー職員間の事実上の上下関係、医療技術職を除くプロパー職員全員への任期制の導入、複雑な職員制度、市派遣幹部職員の大学経営に関する専門的知識の不足から来る非合理的、非効率的な指揮命令、市派遣幹部職員の労働関係法制に関する知識・認識の不足による雇用関係トラブルの続発等々の問題が山積しており、これらに起因するプロパー職員のモラールの低下、退職者やメンタル的要因による休職者の続発など、極めて厳しい状況が続いています。

 大学法人の中期目標の決定に関しては、地方独立行政法人法において「中期目標を定め、又はこれを変更しようとするときは、あらかじめ、当該公立大学法人の意見を聴き、当該意見に配慮しなければならない」とされていますが、実際には「大学法人の意見」とは、上記のように市派遣幹部職員等市関係者―大学経営、教育研究いずれの領域においても専門家ではない―を中心にしたごく一握りの“大学関係者”の意見であり、実際に大学の活動の大半を担い、数十年にわたって大学で活動し、あるいはそうなるであろう一般教員、プロパー職員はその意見を伝える機会もありません。また、この点は、中期目標に基づく次期中期計画の策定についても同様です。

 横浜市従大学支部は、このような有効な経営計画の策定に必要な専門的知識を欠いた少人数のトップダウンによる策定作業の進行に危惧を抱き、本年4月5日、法人理事長宛に「次期中期計画に関する意見書」を提出しました。しかし、その後の検討状況を見る限り、残念ながら大学支部の意見は大学当局により完全に黙殺されたものと考えざるを得ません。

 日本の高等教育を巡る環境は極めて厳しいものがあり、今後さらに悪化が予想されます。教育、研究、大学経営、さらに地域貢献・地域連携といった総ての面で、時にトレードオフの関係にある様々な課題への対応を、減少する資源を活用しつつ達成することが求められています。しかしながら、市OB、市派遣幹部職員による、大学法人制度の趣旨に全く反した民間流経営ならぬ公務員流大学経営という現在の横浜市立大学のあり方は、このような高度で複雑な経営課題への対応を困難なものとしています。このまま、現行次期中期目標案及びそれに基づく計画案によってさらに6年間の時間を重ねた場合、高度化、専門化の試みが続くプロパー大学職員と教員との協働、さらには経営陣のトップダウンと一般教職員のボトムアップの組み合わせにより改革を進める国立大学や私立大学との競争力格差は決定的なものとなることを強く懸念します。

 市民の共有財産である横浜市立大学を発展させ、市民の中により良く根付いた存在とするためにも、公立大学法人の設置者である横浜市の首長として大学法人に対する監督責任と法人の人事・財務・評価等の広範かつ強力な権限を有し、また大学法人の意見に配慮しつつ次期中期目標の策定を行う権限を有する共に、法人が作成する次期中期計画に対する認可権を持つ貴職におかれては、大学法人制度の本来の趣旨に基づく大学運営を行うよう市派遣管理職の主導下にある法人を監督すると共に、以下のような現行中期目標・中期計画において明らかになった問題点を踏まえ、広く一般教員・プロパー職員の意見を聴き、これに配慮した中期目標の決定並びに中期計画の認可に当たるよう要望します。

1.大学の教育研究、経営の向上には教員・職員の密接な協力による大学の運営が不可欠になっているが、現在の案はそのような教職協働の見地を完全に欠いており、これを盛り込むこと。

2.市派遣職員及び医療技術職を除く全職員に対する任期制の導入は、優秀な職員の確保や職員のモラールの維持の面で問題があり、また、任期制と表裏一体の関係にある評価制度についても度々問題が発生している。これら制度が大きく関係すると思われる度重なる職員のメンタル面での問題からの休職や退職者の続発等は到底無視しえないものであり、制度に関する再検討を盛り込むこと。

3.プロパー職員の採用について、わずか数年間で大量の新卒、第二新卒者の採用が行われているが、このような極端な採用行動は、20年後、30年後の組織のあり方(職員の年齢構成、処遇等)についての懸念を抱かせる。また、職員の能力育成に関して、大学職員には地方公務員とは全く異なる課題が課せられているという点が認識されているかどうかも不明である。独自の社会的役割と課題を持った大学としての中長期的な観点に立った固有職員の採用、育成を行うこと。

4.非常勤職員制度に関し、制度の実態の検証を行うと共に必要であれば改善を行うことを盛り込むべきである。その際、短期的な人件費に係る視点からのみ判断するのではなく、大学の中長期的、総合的な経営力の維持・向上という観点を考慮すること。

5.20年ほど前までは、大学職員の業務の多くは、先例の踏襲や教授会の決定事項の遂行など定型的な処理が可能なものであったが、このような状況は既に終わり、今や大学職員は、急激な変化を迎えている大学という独自の社会的役割と課題、特色を持った組織体の経営の担い手としての能力の高度化と専門化を求められている。本学の大学専門職制度は、このような状況の変化に対する国内大学では初の先進的な取組の試みであったはずだが、実際には、法人化直後からこのような大学を巡る経営上の課題に対する知識・認識を欠く市派遣職員によって制度運用が骨抜きにされ、むしろ国レベルでの中央集権体制を前提としたジェネラリスト志向の強い地方公務員制度に同化させるが如き動きが進められている。現在公表されている次期中期計画関連文書に至っては、大学専門職という言葉自体含まれていない。大学専門職制度の堅持と本来の趣旨に則った運用を行うこと。

6.市派遣職員の段階的削減が現行中期計画同様盛り込まれているが、現行中期計画での市派遣職員の解消から内容が後退し、大学支部に対する大学当局の説明では、市派遣職員の解消は見直し、次期中期計画では市派遣職員削減の数的目標は設けないとのことであり、市派遣幹部職員が大学の経営を直接掌握する現状が恒久化される懸念が出てきた。現在、企画、財務、人事といった経営中枢部門の管理職の大半は市派遣幹部職員によって占められているが、本学の場合、事務局の実質的な権限、影響力は他の国公立大学に比べ非常に強く、大学のパフォーマンスに大きく影響することから、専門性を欠く市派遣幹部職員によるこれらのポストの占有の継続は大学経営上望ましくない。大学法人制度の趣旨に則り、原則として早期に市派遣幹部職員の引き上げを行うと共に、それまでの間、異動及び(大学の教育研究、経営に関する専門的な)研修を活用し、適切な人材の確保に努めるべきであり、このような方針を明記すること。

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学生生活アンケート結果について

 8月末、学内に「学生生活アンケート結果の検討・活用」というメールが発信され、昨年度学生に対し行ったアンケート結果がYCU-Netに掲載された旨の連絡がありました。このような内容が学内に広く公開されること自体、これまでの本学ではあまり考えられないことでしたが、市長の交代で風向きが少し変わったのか、あるいは認証評価を受けた以上、これまでのような「知らしむべからず」という姿勢をそのまま維持することは困難になったのか、それともこれまでは単に作業上の余力がなかったのか等、その辺りは不明ですが、ともあれ、このような情報自体が学内にきちんと公表されるに至ったことは歓迎すべきことです。

YCU-net 掲示板 (学内限定)

 ただし、公開された内容自体、特に自由記述の内容は喜んでいられるようなものではありません。ここに書かれている問題の少なからぬ部分が、職員組合や教員組合がこれまで指摘してきた問題、あるいは問題に起因するものです。特に、個人的にはカリキュラムに対する不満を非常に問題視せざるを得ません。法人化後の本学の、特に八景キャンパスにおける教育上の特色として掲げていた様々なキーワード、スローガンはある程度の視野、知識を持った大学関係者から見れば内実を伴わないか、単独では実施上有効な結果をもたらさないものであることは明らかでした。しかし、いわば消費財としての大学教育という面から見れば、住宅などと同じで普通一生に一度しか購入しないものであり、その上、教育の評価は住宅の評価よりもさらに難しく、学生にとっては自分が受けている教育の質について(クラスの人数やゼミの競争率、施設などの評価を除けば)評価することは簡単ではありません。それにも拘らず、これだけの不満が寄せられているということはよほどの問題があると考えるべきなのです。

 いつの間にか横浜市大がジャーナリズムに取り上げられることも少なくなってきました。神奈川県内の大学として取り上げられるのは横浜国大であり、公立大学の中で取り上げられるのも(やや特殊な存在ですが)国際教養大であり、あるいは首都大であり、横浜市大が含まれることは滅多にありません。要するに教育ジャーナリズムにおいて、取り上げるほどのものでもない大学という評価が定着しつつあるのです。

 組合の声に当局が耳を傾けないことは珍しいことではありません。しかし、学生の声に耳を傾けない大学に将来があるとは思えません。いままで、問題はない、あるいは多少の問題はあったがそれも解決したなどと言っている人達には是非耳を傾けてほしいと思います。そして市長や市当局にも、市関係者からではない情報に気づいてほしいと思います。残された時間はもうあまりないかもしれないのですから。

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2010年8月7日土曜日

育児・介護休業等に係る制度改正について

 7月4日職員労働組合ニュースでお知らせした、改正育児・介護休業法に対応した制度改正については、職員労働組合として検討を行い、関連の規程案、規則案及び労使協定案に関し20数箇所(複数個所にわたり同様の問題があるものを個々にカウントした場合は30箇所以上)にわたる問題点があるとの結論に達したため、8月4日、当局に対し、文書で見解の表明を行いました。

 量が多いため、ここで見解文書自体の紹介は行いませんが、内容的には、①法人化後に採用された(医療技術職を除く)全教職員に対して任期制が適用されていることから、任期をまたぐ形での休業の取得等任期制に関わる部分については、基本的に厚労省の法令解釈に則り、教職員の休業等の取得をできる限り促進するよう、恣意的、場当たり的な法解釈や制度の設計・運用を行わない、②常勤職員と非常勤職員について、前者は基本的に横浜市の制度に準じ法令を上回る内容となっているのに対し、非常勤職員に関しては法令の定める最低限の内容という2重の基準となっているが、合理的な根拠がない限りこのような差別的な取扱を行うべきではなく、非常勤職員に関する制度の内容は常勤職員と同一とすべきである、という2点を最大の柱として、意味不明箇所の確認、法令の引用の誤りや法令に定められた内容の抜け、記述の矛盾等、さらに協定書案が労使協定により定める部分だけでなく、関連規程・規則案の内容の一部を抜き出した妙に長文で分かりにくくかつ中途半端なものとなっている点などです。

 なお、この内容については、八景・福浦の両キャンパスの労使協定締結の当事者である過半数代表者より職員労働組合の見解について知りたいという要望があったため、説明を行い、職員労働組合の主張は妥当な点が多いという反応を得ています。このため、両キャンパスについては、労使協定の締結に至る過程で職員労働組合の見解に沿った修正が俎上に上ることになりそうです。

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職場集会の開催と職場諸要求の取りまとめについて

 前回お知らせした八景、福浦の両キャンパスでの職場集会の開催ですが、下記の通り、日時、場所が確定したのでご紹介します。議題は、今年度のこれまでの活動報告と今年度の職場諸要求の取りまとめ内容についての意見交換です。組合員の方には、奮ってご参加くださるようお願い申し上げます。また、組合員以外の方の参加も大いに歓迎します。8月23日(月)までに参加の事前申込をされた方には組合でお弁当を用意します。

日時:八景キャンパス 8月25日(水)12:10~12:50 組合会議室
    (1号館1階職員組合事務室の隣)
   福浦キャンパス 8月26日(木)12:10~12:50 A209セミナー室

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NPMと大学法人評価

 来年度以降、大学評価がまた面倒なことになりそうです(何のことかピンときたアンテナの高い方、ぜひ組合に加入して一緒に大学の諸々の問題に取り組みましょう。何のことか分からないが、今のままでは大学職員としてまずいと思っている方もどうぞ)。

 大学評価に関しては、国立大学法人、公立大学法人の場合、公的なものとしては、大きく2つの「評価」が存在しています。

 第1は大学基準協会、学位授与・大学評価機構等による認証評価、第2が国立大学法人制度、公立大学法人制度にビルトインされている中期目標、年度計画等に関する評価です。

 前者は、日本におけるその源流をたどると、アメリカのアクレデテーション団体を範として1947年に大学間の自主的な団体として結成され、正会員としての加盟に際して「適格判定」を行うという大学基準協会の活動にたどり着きます。認証評価が法的に義務付けられ、その基準や審査に文科省の意向が反映されるようになった時点で“アクレデテーション”としてはいささか怪しげなものとなってしまった感もありますが、元々はあくまでも大学という業界内部の、大学人による自主的な改善や質的保証のための取組でした。その意味では、NPM(ニュー・パブリック・マネジメント)改革の一環として、大学行政における規制緩和とセットとなって、いわば事前規制の代償措置としての役割を果たすことを法的に強制されるに至るというこの20年ほどの経緯は、アクレデテーションの本来の意味からは不幸な展開だったといえるかもしれません(ただ、1947年の大学基準協会の結成以降、法的に強制されるまでの50年余り大学は何をしていたのかという批判は甘受しなければならないと思います)。

 一方、国立大学法人制度、公立大学法人制度にビルトインされている評価制度は、そもそも国立大学法人制度が独立行政法人制度から枝分かれし、公立大学法人制度が地方独立行政法人制度の一部であることに端的に示されているように、当初からNPM型改革の(政治的な)一つの道具という性格を持っています。

 ただし、NPMと政策評価の関係の現状については、政策評価論の専門家からは異論もあるようです。日本における政策評価論のパイオニアであり、第一人者である同志社大学の山谷教授は、2000年前後から始まった我が国における中央省庁、地方自治体の政策評価制度の整備に大きな役割を果たした方ですが、近年、国・地方の政策評価の状況について厳しい評価を下すようになっています。

 山谷教授によれば、日本語で言う「評価」は様々な意味を持つ上に、評価理論で言う「評価」は価値判断を含まない情報提供のツールであるのに、日本では価値判断の活動を評価と呼ぶ傾向があり、これが日本における「評価」の混乱を招くことにもつながっているが、それが理解されていないとされます。その結果、例えば「評価によって意識を改革する」といった過大な期待を担わされたり、その期待が実現されないと「評価は役に立たない」といった非難を浴びせられたりすることになっていると指摘します。

 NPMと政策評価との関係については、評価には様々な種類があり、それぞれその目的や使い方が異なっていて、NPMに適合する「評価」はアウトプットを対象とした“performance measurement”であるのに、パブリック・セクターにおける勉強不足から“program evaluation”や“policy evaluation”(特にそのアウトカム志向)と混同され「成果」主義に向かったとされます。

 ただでさえ用語や概念のややこしい分野で、説明もなしにこれだけでは何を言っているのかわけが分からないだろうとは思いますが(私自身、この分野は10年ほど前に政策系の学部・大学院カリキュラム作りに携わった時以来で、概念・用語を思い出すのに苦労しました)、用語解説をやっているときりがないので、関心を持たれた方は、後述の参考文献をご覧になっていただくとして、ここでは、その分野を代表する研究者、それも実務志向も充分持ち、実際に様々な省庁・自治体の制度設計や運用に協力した人が、パブリック・セクターは不勉強で、その結果、NPM型改革における政策評価は混乱状態にある、と言っていることを覚えておけば充分でしょう。最後に、この点について、山谷教授が学術論文としては率直に過ぎるのではとすら思える表現もまじえて問題点を要約している部分を紹介しておきます。

 一つ明言できるのは、「悪影響」が発生したことである。すなわち、①NPMの視点でアプローチする評価は、いくつかの場合によっては新たなフィクションづくりのツールとして機能することがある。②また業績評価に対する理解不足、政治の関与の在り方についての認識の混乱が大きな課題になっている。③NPM型改革とわが国で言われているものは、国際的に見れば実は既に1960年代から存在したものであり、また、予算制度と評価制度との連携をはじめとするわが国で新しいアイデアと宣伝される改革も、既視感にまみれている。④評価と業績測定を混同した結果、非常に粗雑で幼稚な文書が評価書を僭称して氾濫している。

山谷清志(2009:3頁)

 参考文献

 山谷清志(2010)『公共部門の評価と管理』晃洋書房
 山谷清志(2006)『政策評価の実践とその課題 ―アカウンタビリティのジレンマ』萌書房
 山谷清志(2009)「公共部門における「評価」―政策評価とNPM型業績測定―」日本評価学会『日本評価研究第9巻第3号』

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2010年7月29日木曜日

嘱託職員の時間単位年次有給休暇取得等について

 労基法の改正に対応した時間単位での年次有給休暇の取得について、6月18日付職員労働組合ニュースで、労基法に定められた手続きに則っていないこと、及び嘱託職員を制度の対象から除外していることは法解釈上問題があることをお伝えしましたが、その後、組合にも何の説明も無いまま、いつの間にか非常勤職員就業規則が改正され、嘱託職員の方も時間単位での有給休暇の取得が可能になっていました(常勤職員同様年5日分です)。それ自体はもちろん歓迎すべきことですが、この問題に関してはそもそも法に定める手続きを守っていない、労働関係法制に関し大学法人は民間企業と同様の扱いとなることへの認識の不徹底、そもそも早期に労働組合と協議すべきであったこと、現在もなお労基法に照らし問題が残っていること等、複数の問題があり、放置することは好ましくないと判断し、職員労働組合として当局に対し申し入れを行いました。

 申し入れの内容は、以下の通りです。

2010年7月28日
公立大学法人 横浜市立大学
理事長 本多 常高 様
横浜市立大学職員労働組合
(横浜市従大学支部)
委員長 登坂 善四郎

嘱託職員の時間単位年次有給休暇取得等に関する申し入れ

 市民から期待され信頼される大学教育と運営の確立に向け、日頃の取り組みへのご尽力に敬意を表します。
 本年4月1日より、改正労働基準法の施行に伴い年5日までの時間単位での年次有給休暇の取得が可能となりました。
 本学においても、これに対応した制度改正が行われ、6月上旬に学内への周知が行われた模様ですが、この間の対応に複数の問題があり、職員の職域を代表する労働組合として、以下の通り申し入れます。

1.時間単位での年次有給休暇の取得に関しては、労使協定の締結が必要である旨が労働基準法に明記されているにもかかわらず、八景キャンパスの過半数代表者である教員組合委員長とも職員の職域代表である職員組合とも協議を行なわず、協定も結ばないなど法に定められた手続きが行われていないのは問題である。また、職員組合に対し、法改正に伴い学内の制度も改正する旨の簡単な説明があったのは法の施行から大きく遅れた5月下旬であり、時間的にも適切な対応が行われていない。

2.職員組合がこの問題について、職員労働組合ニュース【公開版】2010年6月18日号において、法に定められた労使協定の締結が行われていないこと及びこの制度の対象から嘱託職員を除外することは法解釈上問題がある旨を指摘すると、その後、いつの間にか非常勤職員就業規則が改定され、嘱託職員についても時間単位年次有休休暇の取得が可能となっていた。この間、職員組合の指摘に関して当局側からは何の説明もなく、また、肝心の制度改正の対象である嘱託職員に対しても、職員組合による問題点の指摘後、時間単位での有給休暇の取得が可能となったことはその後も周知されず、7月23日付でようやく各所属長宛で嘱託職員も含まれる改正内容が通知された。嘱託職員の時間単位有給休暇取得が可能となったことは歓迎するが、職域を代表する組合から問題点が指摘され、それに従った訂正を行うのであれば組合に対して説明を行うのが当然であり、また、制度の対象となる嘱託職員に対しても、制度の対象となったことを改めて早期に周知すべきであった。

3.今後、このような問題の再発を防ぐためにも、職員の身分、労働条件、労働環境等に係る問題については、職員の職域を代表する職員組合と必ず協議を行うとともに、法人化された本学においては、労働関係法制は地方公務員のそれではなく、民間と同様のものが適用されることに留意し、各種法改正に十分な注意を払うよう要望する。

4. また、今回の職員組合による指摘を受けた訂正後もなお、以下の点について、法律に照らし問題が残っている。①一日分の年次有給休暇が何時間分の時間単位年休に相当するかを定める必要があるが、これが定められていない(労働基準法施行規則第24条の4)、②「1時間を超える部分については15分刻みでの取得とします」としているが、1時間に満たない単位での時間単位年休は認められてない(厚労省「改正労働基準法に係る質疑応答」)、③「1日に2回まで計3時間まで」と制限を設けているが、厚労省労働基準局長通達「労動基準法の一部を改正する法律の施行について」において「一日において取得することができる時間単位年休の時間数を制限すること等は認められないこと」と明記されている。これらの点は嘱託職員以外についても同様であり、職員就業規則並びに非常勤職員就業規則に関してさらに改定を行う必要がある。

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職場集会の開催と職場諸要求の取りまとめについて

 8月下旬に八景、福浦の両キャンパスで職場集会の開催を予定しています。議題は、今年度のこれまでの活動報告と今年度の職場諸要求の取りまとめ内容についての意見交換です。組合員の方には、奮ってご参加くださるようお願い申し上げます。また、組合員以外の方の参加も歓迎します。詳細については、決まり次第再度お知らせします。

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ニュー・パブリック・マネジメントと大学法人化改革

 NPM(ニュー・パブリック・マネジメント)改革としての国立大学の法人化から6年が過ぎ、その第1期中期目標・中期計画期間が終了、第2期の中期目標・中期計画期間が始まりました。

 国立大学の法人化に際しては、大雑把にまとめると、国の機関でなくなる、大学財政の不安定化の懸念、教育公務員としての身分の喪失、従来の教授会権限の喪失、"民間流経営"の導入が迫られる等、多くの国立大学関係者から見ればマイナスの側面と、文科省の統制がなくなり各大学の経営の裁量、自由度や自律性が増大するというプラスの側面があるとされていました。それらが実際にどうであったかは、これまでにも幾つもの論考や評価が出されていますし、第1期中期目標・中期計画の終了を受けて今後大量の研究が出てくると思います。

 ここではそれらとは少し角度を変えて、行政学系の政策評価論の立場から見たNPMの持つ構造的な問題と大学法人化(独立行政法人化)の関係について紹介してみたいと思います。

 国立大学の法人化(公立大学についても同様ですが)は、高等教育政策の枠組みを超えた当時のNPM改革の一部として、いわば天から強制的な枠組みとして降ってきたものでした。それに、文科省(・文部省)が昭和46年の46答申やその後の臨教審答申、もっとさかのぼると新制大学発足時の国立大学管理法案などに盛り込まれていた、長年にわたって実施できなかった諸々の改革を(国立大学関係者等との協議も踏まえつつ)流し込んだ、いわばハイブリッドとしての性格を持つものだったと筆者は解釈しています。先に触れた多くの国立大学関係者にとっての法人化のマイナス面としてあげた諸点は、このNPM改革と文科省の大学改革の双方が反映していますし、後者のプラス面もまた、文科省の大学改革としての大学の特性、独自性への配慮という側面とNPMにおける外部化された政策執行機関への執行に関する権限の委譲という意味での自由度の拡大の双方を含んでいます。

 このうち、NPM改革としての外部化された政策執行機関(この場合法人化された国立大学)における自由度の拡大というのは本当なのか、というのが今回の本題です。

 神戸学院大学南島和久准教授が、昨年発表した論文(南島和久(2009)「NPMの展開とその帰結―評価官僚制と統制の多元化―」日本評価研究第9巻第3号)で、NPMの名付け親であるHoodの議論に添う形で日本におけるNPM改革、またNPM論の問題点について展開しています。

 そこでは、まず政府機関から外部化された機関に対する政府部門の監督・監視は却って強化されることが指摘されます。

 「重要な論点として指摘しておきたいのは、この市場型NPMでは、政府部門から外部化された組織なり管理単位に対し、政府部門の側で監督・監視が強化されるという点である。(中略)規制緩和や民間委託等の改革を行ったとしても、政府としては税金を投じる以上、その責任が解除されることはない。むしろ、規制緩和や民営化がすすめばすすむほど、政府における監督・監視はかえって拡充されることになる」

 そして、独立行政法人に関しては2重の意味での監督・監視が強化されること、またNPM論者はそれに触れようとしないと述べます。

 「この独立行政法人では2つのミラーイメージが展開する。ひとつは切り離された政策実施部分に対する監視・監督である。理念的には政策実施部分には「管理の自由」が認められているはずであるが、現実には企画立案部分の責任が免除されていない。そうするとこれを監督・監視する機関が必要になってくる。もうひとつは実施過程を規律する業務実績にかかる自己評価が「お手盛り」でないかをチェックする部分である。評価の客観性や認証がここでのひとつのテーマとなるものである。

 こうした市場型ないし企業型NPMの外側で展開するNPMのもうひとつの「顔」についてはいわゆるNPM論者はおおくをかたらない。」

 昔、政治学を学んだ身としては大いに納得できる論考です。しかし、だとすると大学の特性、独自性に対する配慮云々などという話は吹き飛んでしまい、大学という組織はそもそも独立行政法人という制度に馴染むのか、という議論が再び甦って来ることになります。国立大学法人化の前後、国立大学関係者による法人化反対運動において、中期目標を文部科学大臣が定めることと中期目標・中期計画・年次計画に対して行われる評価の2点から大学の自由・自律性は増大しない、却って損なわれるのだという主張をしばしば目にしました。これらは恐らく教授会自治の観点から導かれたものだったと思いますが、結果的には行政学によるNPM研究と期せずして一致した結論にたどり着いていたと言うことができるのかもしれません。もっとも、法人化の本質云々などと言う話自体、日本の高等教育セクターが下から崩落しかねない昨今の情勢からはどうでもよくなってしまいかねないこの頃ですが。

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2010年7月4日日曜日

育児・介護休暇等に関する制度改正について

 6月30日より改正育児・介護休業法が施行され、これに合わせて本学の関連の制度、規程も改正されることになります。この問題について、6月29日に当局側より組合に対して説明を行ないたいとの連絡があり、同日中に関連の規程の改訂等についての説明を受けました。急なことだったので執行部としても事前の準備を行なうこともできず、当日はとりあえず説明を聞き、幾つかの点につき質問・確認を行うにとどまりました。
 内容に関する組合執行部としての検討は来週以降になりますが、とりあえず6月30日付でそのような法律の改正が施行になり、大学としてもそれに合わせた制度改正を行う準備がされていること、及び説明を受けた点のうちの幾つかについて、組合執行部としての判断は抜きにして職員の皆様にお伝えします。

  • 基本的に横浜市の制度を準用する。
  • 契約職員及び嘱託職員も制度の対象とする。ただし、横浜市においてこの制度改正に対する非常勤職員の扱いがまだ定められていない関係で、休暇の日数等を法に定められた内容に準じたものとしていて、常勤職員より少なくしてある。この点については、市の制度が整備されれば、それに合わせて修正の可能性がある。
  • 育児短時間勤務に関して、1日の所定労働時間が6時間以下の場合は対象とならない。
    → 前回の組合ニュースでも触れたように、本学の嘱託職員は小規模な部署単位で運用を行なっており、週30時間を越える契約となっている場合もあるようですが、大方は市の制度と同様に週30時間勤務なのではないかと思います。この場合、例えば週5日勤務であれば、1日の労働時間は6時間で育児短時間勤務の対象外になり、例えば週4日勤務であれば、1日の労働時間は7時間半となって育児短時間勤務の対象となります。

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次期中期計画について

 同様に6月29日、当局より組合に対して次期中期計画に関する説明がありました。この問題に関する組合の見解は、既に4月5日に「次期中期計画に関する意見書」として表明し、皆様にも4月14日付の組合ニュースでお伝えしたところですが、今回の説明を受けて、来週以降、改めて執行部で対応を検討します。当日の説明資料については、6月24日に、YCU-net の http://163.212.36.30/cgi-bin/cbgrn/grn.cgi/cabinet/view?hid=208&fid=6463 にアップされています。以下、とりあえず幾つか特徴と経営面に関し質疑・内容の確認を行なった点についてお伝えします。

  • 前文において、取組として「地域貢献」、「国際化」を強く打ち出す体裁となっている。
  • 「スケジュールの関係で、中期計画に関しては9月にはとりまとめて、一度市に出す必要がある。」
  • P15 1(1)「公立大学法人として、経営効率の追求だけでなく、大学の個性を育てることを……」 → 「大学の個性とは、教育研究面でのそれを意識している」
  • P15 1(2)「教学組織において学部や研究科の枠を超えた調整が教育研究に対して有効に機能するよう、研究院の運用を図る」 → 「研究院とは、国立大学で見られる同種の名称を冠した研究のみを管轄するような組織ではなく、最終的には別の名称となる可能性もある」
  • P16 2(1)「教員の人事制度の効果的な運用」 → 「テニュア制度という言葉については、通常言われるテニュア制度そのものの導入ではなく、本学にあった制度をつくるという意味で消してある」
  • P16 2(2)「職員の人材育成とモチベーションの向上」 → 「現行中期計画における市派遣職員の完全廃止は見直す。これ以上増やすことはないが、市派遣職員の削減に関する数的目標はない」
  • P16 2(2)「職員の人材育成とモチベーションの向上」 → 「大学専門職に関しては、中期計画に入れるとか落とすとかを決める段階にはないが、現時点では大学専門職という言葉は含まれていない」
  • P18 2(1)「効果的な人件費管理の運用」 → 「現行の人件費率での管理は、いくら努力しても分母である歳出が抑制されると数値が上がってしまい、指標として必ずしも適切でなかった」
  • P18 2(2)「事務改善等による経営の効率化」 → 「経営の効率化については発注・支払だけではなく、内部の事務手続き等の改善も重要であることは認識している。具体的な記述については検討中」

*「育児・介護休暇制度」及び「次期中期計画」に関して、組合員・非組合員を問わず、ご意見・ご要望のある方は是非、 ycu.staff.union(アット)gmail.com までお寄せください。

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リベラル・アーツ教育、そしてクリティカル・シンキング

 最近、すっかり見かけることがなくなりましたが、法人化以降、最近まで本学はその教育の特色として「リベラル・アーツ教育」を標榜していました。また、近年、ICUの教育に対する評価が高まったこともあってか、「リベラル・アーツ教育」を特色として掲げる大学が増えているようにも感じます。

 未だに広く誤解や混乱が(例えば「教養教育」との混同など)見られますが、「リベラル・アーツ教育」の「リベラル・アーツ」とは、ある性格を持つ学問(ディシプリン)群、具体的には職業に直結していない学問群を指しています。

 例えば、社会科学で言えば、経済学はリベラル・アーツですが、経営学はリベラル・アーツには含まれません。後者(経営学)を修了した学生が、ビジネスの世界に進み、その知識をそのまま活用することを想定されている(と言うか、そのための教育を行なっている)のに対し、前者(経済学)の知識は、ビジネスの世界でも有益ではあっても、ビジネスそのものに関するものではありません。例外的に経済学者やエコノミストになった人にとっては、その知識は職業に直結したものとなるでしょうが、経済学部は経済学者やエコノミストの養成を第一目的としているわけではありませんし、実際そのような道に進む人は、卒業生全体から見れば極々少数でしょう。

 では、「リベラル・アーツ」に分類される学問(文学、哲学、歴史学、理学、経済学etc)を学べば、それがイコール「リベラル・アーツ教育」を受けたことになるのでしょうか?答えはノーです。

 長い歴史的・文化的変遷のすえ、現代アメリカにおけるリベラル・アーツカレッジの教育のありようとして一種の理念型にまでなっている「リベラル・アーツ教育」は、単に履修する学問分野だけでなく、独特の教育目標や教育方法なども含めた一つの総合的な教育のあり方を意味しています。

 中でも「クリティカル・シンキング」は、「リベラル・アーツ教育」にとって中核的な概念、あるいは教育目標になっています。

 「クリティカル・シンキング」については、一般的には「批判的思考」と訳されていますが、個人的には直訳に過ぎて、本来の意味するところを逸脱してしまっていると感じていました。では、どのような言葉ならいいのかと言うと、強いて言えば「客観的思考」あたりかもしれませんが、これまた色々なものが抜け落ちてしまい、どうにも適切な訳語が思いつかないという状態がずっと続いていました。

 今年度の大学教育学会で、たまたまアメリカのリベラル・アーツ教育の研究者、それに日本の一般教育史の研究者と筆者という組み合わせで一緒の昼食となったので、長年の疑問を彼らにぶつけてみました。

 その結果は、確かに「批判的思考」では不正確、かと言って「客観的思考」でもない、どうも日本語にはぴったりと対応する単語が見当たらず、「クリティカル・シンキング」のままで使った方がいいのではないか、ということになりました。

 次に、ではその意味は何なのかという話になり、一般教育史の研究者が言い出した「深く根本から考え直す」という説明が一番ぴったり来るだろうという結論になりました。分かりやすくなるよう、もう少し言葉を補ってみると「(自分自身で物事を)深く根本から考え直す(知的態度や能力)」となるでしょうか。

 さらにこれを「リベラル・アーツ教育」と結びつけてみます。

「リベラル・アーツ教育における中核的な目標は、自分自身で物事を深く根本から考え直す知的態度や能力(=クリティカル・シンキング)を養うことにある」

 このように理解すると、「リベラル・アーツ教育」が学習プロセスを重視すること、大量に課される読書やレポート、そして討論、また全寮制といった様々な教育方法や教育環境上の特色がなぜ必要なのか、すんなりと理解することできます。さらに、「クリティカル・シンキング」がそのようなものだとすると、「リベラル・アーツ教育」が「クリティカル・シンキング」を身につける上で最適である、と関係者が主張することも納得が出来ます。「リベラル・アーツ教育」以外の職業に結びつく分野の教育においては、(「クリティカル・シンキング」を涵養できないというわけではありませんが)その成り立ち、目的からして、それぞれの分野での職業に必要な知識・技能を身につけることを最優先とせざるを得ないからです。

 さて、今の日本の大学で、本当に「リベラル・アーツ教育」を実践している大学はいくつあるでしょうか。

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2010年6月18日金曜日

年次休暇の時間単位での取得について(続報)

 6月上旬に人事から各課に連絡があった模様ですが、本年4月1日より労働基準法の改正に対応し、年次有給休暇に関し年5日分までは時間単位での取得が可能になりました。この制度改正に関して、問題が明らかになったのでお伝えします。

 この点につき、職員労働組合では5月下旬に他の用件で人事と接触した際に、年5日分までの時間単位での有休取得が4月1日に遡って可能になるという旨の簡単な説明を受け、5月28日付の職員労働組合ニュース【公開版】で皆様にお知らせしました。

 そして先日、人事から各課に出された通知を確認しましたが、非常勤職員がこの制度改正の対象に含まれていないらしいことが組合執行委員会で問題になりました。

 さらに、八景キャンパスにおける過半数代表である教員組合に照会したところ、本来、この時間単位での有休の取得に関しては、過半数代表者との合意に基づき、①対象労働者の範囲、②時間単位で有給を取得できる日数(5日以下)、③時間単位年休の1日あたりの労働時間を何時間とするか、④1時間以外の時間(例えば2時間等)を単位とする場合はその時間数、という4点について定めた労使協定を結ばなければならないにも関わらず、少なくとも八景キャンパス、福浦キャンパスについては協定が結ばれていないことが明らかになりました。つまり、既に発表された制度改正の内容は、少なくとも八景、福浦という本学の主要キャンパスにおいて、法に定められた時間単位での有休取得に関する労使協定の締結という手続きを経ないまま、当局側のみの判断で決定されたものでした。

 また、当局側による制度改正が非常勤職員を対象としているかどうかという問題について当局に照会したところ、契約職員は対象に含まれるが嘱託職員は含まれないという回答でした。この点についても、以下のような問題点があります。

 第一に、嘱託職員に関して、制度の対象とするかどうかは、厚労省労働局長通知に言う「事業の正常な運営との調整」の観点から取得を認めることが適当であるかどうかを判断する必要があります。上記の労働局長通知では「一斉に作業を行なうことが必要とされる業務に従事する労働者等にはなじまないことが考えられる」として工場労働者の例を挙げています。勿論、本学の嘱託職員はこのような範疇の労働に従事しているわけではありません。因みに、同じ公立大学法人の例では、静岡文化芸術大学で総ての職員を対象として時間単位での有休取得に関する協定が結ばれています。

 また、嘱託職員の契約は小規模な組織単位で独自に基準を定めて行なっているため、職員組合でもその実態は十分に把握できていませんが、これまでに寄せられた情報では週30時間を越える勤務となっている嘱託職員もいるようであり、実態として常勤職員と同様かそれに近い労働実態となっている嘱託職員がある程度以上存在していることが予想されます。このような状況を考えると、嘱託職員に関しても(勤務実態が多様であり、組合としてもその全貌の把握が困難ではあるものの)全体としては制度の対象に含めることが適当ではないかと考えます。

 さらに、契約職員に関しては、制度の対象に含まれるということで、常勤職員同様に年5日分までの時間単位での有休の取得が可能ですが、この点に関し、当の契約職員には周知されていない模様であり、肝心の当事者が知らないのでは制度改正の意味がなくなってしまいます。

 このように、今回の制度改正については、①そもそも労使協定に基づかない点で労基法に定められた手続きに則っていない、②嘱託職員について「事業の正常な運営との調整」の観点、また勤務実態に照らし制度の対象に含めることが適当である可能性が高い、と職員労働組合として判断します。

 今後、当局に対し、労使協定に基づかない制度改正は違法であることを指摘し、上記②について実現するため協議を求めていきます。

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2010年6月9日水曜日

第3回勉強会のお知らせ

 先日開催した第1回、第2回勉強会に続いて、6月23日にプロパー職員を念頭に置いた第3回の勉強会を開催します。今回は、大学図書館を巡る動向と本学の図書館の状況について取り上げます。大学図書館については、近年、電子ジャーナル化の進行や学生の学習支援機能の再認識、アウトソーシングの進行などその環境と機能に関して大きな変化が起こっています。内容等の詳細は以下の通りです。組合員以外の方の参加も大いに歓迎します。

第3回勉強会
 日時: 6月23日(水)12時15分~12時45分
 場所: 八景キャンパス 商文棟5階 小会議室
 テーマ: 「大学図書館の課題と本学図書館の現状」
 発表者: 登坂善四郎(学術情報センター/職員組合委員長)

*6月21日(月)までに事前の参加申し込みをされた方には、組合員、非組合員に関わらず組合でお弁当をご用意します。ycu.staff.union(アット)gmail.com までご連絡ください。

最近の高等教育関係学会における大学職員論と公立大学職員

 現在、日本の高等教育に関する研究の中心となっている学会は、日本高等教育学会と大学教育学会ですが、今年度の両学会の大会が先日、相次いで開催されました。両学会とも学会員は教員が大半で職員は少数ですが、近年、大学職員の重要性の増大を反映して職員に関する部会が開催されることが多くなっています。今年度も双方の学会で職員に関する部会及びラウンドテーブルが開催されました。このうち大学教育学会の職員に関するラウンドテーブルに参加してきたので、少し紹介しておきたいと思います。

 近年の高等教育関係学会での大学職員論は、18歳人口の減少等に起因する外部環境の悪化や大学改革への政策的圧力、情報化や国際化への対応などの必要からの業務の高度化・拡大要請への対応として、職員の「高度化」や「専門化」、さらには地位の向上を、主としてアメリカの大学における(基本的に教育や大学経営に関する修士以上の専門教育を受けている)専門的職員の在り方を参照基準として議論するという形で展開されてきました。

 今回のラウンドテーブルも基本的にそれらの延長上にあるもので、現在、大学教育学会が行っているSDに関するアンケートについての途中経過、アメリカの専門的大学職員に関する紹介、日本の大学職員の専門性に関する調査・考察などが報告されました。

 これに対して東北大学の羽田教授から、関連分野の研究蓄積に基づかない大学職員論は、専門性の上昇、それによる地位の上昇という思考の隘路に陥っているのではないか、という指摘がありました。そして、①前提としてまず大学における権限配分の再編をどうするかという議論が必要で、それを受けてどのような職員を育成するかが明らかになる、②これまでのオールラウンド型からプロフェッショナル型職員への移行条件は何なのか、③職員の専門職化は供給要因なのか需要要因なのか、④今後続く職員の人件費削減の方向性の中で職員の専門職化を進めることは可能なのか、という問題提起がなされました。

 もうひとつ、司会から、公立大学は特殊な問題を抱えているからという趣旨の発言があり、それを受けて複数の公立大学関係者から、プロパー職員の地位の問題や大学の様々な問題に関して自治体出向職員の理解を得ることの困難さなどについての発言がありました。ここに端的に現れているように、一般的に日本の大学職員論が(それが適切かどうかは別として)教員との関係を軸として展開されているのに対し、大学数で1割ほどを占める公立大学に関してのみ、職員論は自治体職員といういわば大学の外部にある要因との関係を軸として展開されるという特殊な様相を示しています。その意味では、公立大学職員論は上記のような一般的な(あるいは国立大学・私立大学における)大学職員論とは基本的な条件で異なっており、それをそのまま援用するだけでは不十分で、一般的な大学職員論とは別に(あるいは並行して)、公立大学関係者の手で独自に検討が行われる必要があると言えるかもしれません。

★日本高等教育学会 

★大学教育学会

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2010年5月28日金曜日

年次休暇の時間単位での取得について

 年次休暇については、これまで5日分について、特別の事由がある場合に時間単位での取得が認められていましたが、横浜市においてこの4月から時間単位での取得についての取得理由による制限がなくなったことに合わせて、大学でも取得理由の制限がなくなります(ただし、5日分という上限は今まで通りです)。学内での手続きが終わっていないため、正式発表はまだですが、近く学内にも発表される見通しです。4月に遡って適用されることになるそうです。

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期末勤勉手当について

 夏季一時金について当局側回答がありました。横浜市と同様で、期末手当1.25ヶ月、勤勉手当0.7ヶ月、合計で1.95ヶ月、6月30日支給となります。

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勉強会開催報告

 前回職員労働組合ニュースでお知らせしたように、5月19日、20日、主にプロパー職員を念頭に置いた勉強会を開催しました。内容について、以下に項目だけ紹介します。

第1回 日時: 5月19日(水)18時~19時00分
  テーマ: 「公立大学 歴史・制度・未来」
  発表者: 菊池 芳明 (職員組合書記長)
  • 公立大学の一般的なイメージ
  • 公立大学を巡る座標軸
  • 明治・大正期日本の高等教育システムと公立高等教育機関の成立
  • 明治・大正期日本の高等教育システムと公立高等教育機関の成立(2)
  • 第二次大戦期~新制大学発足期の公立高等教育機関
  • 1990年代以降の公立大学設置ブーム
  • 公立大学の制度的・政策的位置づけ
  • 公立大学に対する財政支援
  • 設置自治体と公立大学
  • 公立大学法人制度と"大学改革"
  • 日本の高等教育システムにおける公立大学
  • 公立大学経営と大学職員
  • 公立大学の未来?

第2回 日時:5月20日(木)18時~19時00分
  テーマ: 「横浜市立大学の入試の現状」
  発表者: 出光 直樹 (職員組合副委員長)
  • 一般選抜
  • 推薦入学(指定校制)
  • AO入試
  • 海外帰国生/私費外国人留学生

*第1回「公立大学 歴史・制度・未来」の当日資料についてご希望の方は、E-mailで職員労働組合までご連絡下さい。

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かながわ労働センター メンタルヘルス相談案内

 かながわ労働センターは、労使関係の指導、労働相談、労働環境の改善などに当たっている神奈川県の出先機関です。センターの「メンタルヘルス相談室」の行なっている無料相談(予約制)について、職員労働組合に案内が送られてきたのでご紹介します。

かながわ労働センター メンタルヘルス相談室(秘密は厳守されます)

 相談日: 毎週火曜 PM1:30~4:30
 相談員: 専門の医師およびカウンセラー
 1回の相談時間: おおむね50分 予約制
 予約先: 045-633-6110(内線2707)
 受付時間: 8:30~12:00 13:00~17:15
 場所: 横浜市中区寿町1-4 かながわ労働プラザ2F

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2010年5月12日水曜日

勉強会のお知らせ

 横浜市大に限らず、多くの公立大学では教員に対するFD、また職員に対するSD(イギリスの大学ではより広い意味で使われる言葉ですが、とりあえずここでは、教員に対するFDの対比としての職員に対する職務上必要な能力を向上させるための活動という意味で使います)が国立大、私立大に比べ不十分な状態にあります。本学のSDを見ても、学内のいろいろな部署の現状の説明といった内容が殆どであり、よりマクロ的な視点や本学以外の状況も踏まえ現状を客観的に知る、考えるといった視点は極めて乏しいように思われます。
 そこで今回、職員組合でプロパー職員を念頭に置いたSDとしての勉強会を行うことにしました。とりあえず第1回、第2回に関する内容、日時は以下の通りです。組合員以外の方の参加も大いに歓迎します。職員としての自分の知識、能力の向上に強い意欲を持つ方、一緒に本学の現状や課題について考えてみませんか。

第1回
 日時: 5月19日(水)18時~18時40分
 場所: 八景キャンパス1号館1階 大学院講義室(キャリア支援室の隣)
 テーマ: 「公立大学 歴史・制度・未来」
 発表者: 菊池 芳明 (学術企画課 / 職員組合書記長)
 略歴: 政治学修士 シンクタンクで国、自治体、学校法人等の依頼による高等教育関係調査・コンサルティング業務に従事、岩手県立大学専任講師を経て横浜市立大学学務准教授。
 所属学会等: 日本高等教育学会、大学教育学会、国立大学マネジメント研究会他

第2回
 日時: 5月20日(木)18時~18時40分
 場所: 八景キャンパス1号館1階 大学院講義室(キャリア支援室の隣)
 テーマ: 「横浜市立大学の入試の現状」
 発表者:出光 直樹 (アドミッションズセンター / 職員組合副委員長)
 略歴: 修士(国際学) 大学院修了後、桜美林大学で大学教育研究所、教務課、アドミッションセンター等の業務を経て、2005年に横浜市立大学に。
 所属学会等: FMICS・高等教育問題研究会(幹事)、大学教育学会(理事)、初年次教育学会(理事)、オセアニア教育学会(理事)他

*特に事前の申し込み等は不要です。当日会場までお越しください。

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「懲戒処分の標準例に関する質問書」に対する回答

 長期間にわたって未回答が続いていた「懲戒処分の標準例」を巡る問題ですが、5月7日(金)にようやく職員組合の質問に対して回答がありました。内容は以下の通りです。

①"懲戒処分の標準例"は、横浜市の"横浜市懲戒処分の標準例"をもとに作成されているようであるが、公立大学法人化された本学においては、地方自治体の一部局としてではなく、独立した高等教育研究機関である「大学」としての教育・研究・医療を基本とした経営が期待される。横浜市が本学を法人化したのもそのような公立大学法人制度の趣旨に則ったものと考えられるが、この標準例の作成に当たっては、そのような高等教育研究機関としての「大学」の特性、社会的責任等についてはどのように考慮されたのか。
  • 回答: 本学の特性、社会的責任については、当法人が、地方独立行政法人法に基づき、横浜市が設立した法人であることも考慮した。

②"横浜市懲戒処分の標準例"をそのまま転用したにもかかわらず、2(1)①~③のみは大学独自のものとして付け加えられており、さらに、この種のものは確認できた範囲において他の国公立大学の同種の文書にも含まれていない。これらの項目は、基準の適用を曖昧にするものとなっているが、どのような考えに基づき付加されたのか。
  • 回答: 標準例の作成は、「求められる教職員の姿~教職員行動計画」の策定に合わせ、連続した不祥事の再発防止策の一環として、教職員一人ひとりの倫理観を一層高めることも目的とした。

③2(1)①の"信用失墜行為"とは、具体的に倫理規定違反以外にどのような行為を対象とするのか。また、それは誰が判断するのか。さらに"法人の運営に重大な支障"とは具体的にどのような状態を意味し、また、どのような手順を踏んで誰が判断するのか。
  • 回答: 倫理規程に反しなくても、信用失墜させた場合は懲戒処分となり、理事長からの付議に基づき、懲戒審査委員会で処分の要否や内容の審査を行った上で、最終的には理事長が発令する。なお、重大か、特に重大かは、事案に応じて審査される。

④2(1)①の"信用失墜行為"に関する処分は、懲戒解雇から戒告まで、すなわち総ての処分が記されているが、具体的にどのような行為がどの処分に当たるのか、基準は何か。また、どのような手順を踏んで誰が判断するのか。
  • 回答: 標準例は、あくまでも代表的な事例に基づき標準的な量定を掲げたもので、信用失墜に至る具体的事案の個々に対する基準はない。個別の処分内容については、基本事項の各項目に照らし判断することになる。

 上記の回答は、①大学の独自の社会的役割や特性を考慮するよりは設置者としての横浜市の存在、意向を重視している、②懸念していた通り、何が"信用失墜行為"に当たるのかの解釈、また行為と処分の関係について経営側がフリーハンドを握っており、場合によっては恣意的な処分も制度的に可能である等の問題点をはらんでいます。

 ようやく質問に対する回答が得られたので、今後はこれらの問題点について是正、歯止めを求めていきます。

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2010年4月14日水曜日

労働組合って何?

1.労働組合って?

 「労働者が主体となって自主的に労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を図ることを主たる目的として組織する団体」(労働組合法第2条)

 要するに?
  • 職員が集まることで、1人では難しい自分達のクビを守る、給料を上げる(下げない)、気持ちよく働ける職場にする等々を達成するための団体

2.労働組合は何が出来るのか?

 「労働組合の代表者又は労働組合の委任を受けた者は、~組合員のために使用者又はその団体と労働協約の締結その他の事項に関して交渉する権限を有する」(労働組合法第6条)

 具体的には?
  • 法律で認められている権利-職員全体、そして個別の職員の雇用や労働条件、雇用環境-を守るために当局側に要求、交渉を行う。
  • 例:職場でセクハラを受けている、上司にパワハラを受けている、ちゃんと命令された仕事をやっているのに低い人事評価をされた、あなたには向いていないから辞めたらどうかと上司に迫られている、上司が仕事の調整をちゃんとしてくれなくて深夜の残業が続いて病気になってしまった、雇用契約を更新しないと言われた、職場に人が足りなくて仕事を減らすか人を増やすかして欲しいと頼んだが耳を貸してくれない、雇用契約なのにこちらには契約書の写し(労働条件通知書)を渡してくれないetc
  • 組合があなたと一緒に、あるいはあなたに代わって当局と交渉します。

3.職場としての横浜市立大学の特徴は?
  • 市派遣職員を除く全教職員への任期制導入(全国740余の大学の中でも殆ど例なし)
  • 任期制度と表裏一体の業績評価制度(評価が低いと契約が更新されなかったり給料が下がったりする)
  • 法人化の経緯(抵抗する大学を政治的に押さえ込んだ上での法人化)から来る、市と大学、市派遣職員と固有職員の事実上の上下関係
  • 大学法人制度の趣旨とは逆の制度運用の実態(大学の自律性の増大⇔従属性の増大、民間的経営手法の導入⇔地方自治体である横浜市の制度、業務手法の導入、強化など)
  • 実質的な経営権が大学経営の専門家ではない(私立大学の職員や文部科学省高等教育局の官僚とは全く違う)市派遣職員にあることによる、非合理的、非効率な大学経営
  • 市派遣職員、常勤職員(一般職員、大学専門職)、非常勤職員(嘱託職員、契約職員)、アルバイト、派遣という複雑な職場の構成

4.横浜市立大学職員労働組合の特色は?
  • 政治活動とは無関係な、本来の意味での労働組合活動への専念
  • 大学職員の労働組合(横浜市立大学職員労働組合)であるとともに横浜市の職員の労働組合(横浜市従業員労働組合)の一部(横浜市従業員労働組合大学支部)
  • 学内にも十分な情報が流されない職場での情報源

横浜市立大学職員労働組合加入案内

 職員労働組合には、横浜市立大学に勤務する方であれば、専任・非常勤の別なく、どなたでも加入できます。アルバイトや派遣会社からの派遣スタッフの方も加入できます。
 教員の方には「横浜市立大学教員組合」が、病院勤務の方には「横浜市立大学病院従業員労働組合(医従)」が組織されています。
  平成17年の法人化に際して設立された職員労働組合の前身は、「横浜市従業員労働組合(市従)」の大学支部です。市従大学支部も引き続き存続しており、組合加入に際しては、市従大学支部との同時加入をお願いしていますが、職員労働組合のみへの加入も可能です。

 組合に関する質問・ご相談は、お近くの役員までお気軽にお問い合わせ下さい。

【組合費】
 ●職員労働組合と横浜市従業員組合に同時加入する場合
  専任: 月額給料の1.7%(給与控除)
  非常勤: 月額1000円(現金徴収)

 ●職員労働組合のみに加入する場合
  専任: 月額3000円
  非常勤: 月額1000円 (共に現金徴収)

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次期中期計画に関する職員労働組合の意見

 現在、次期中期計画に関する学内の検討が事実上最終段階に入っています。職員組合としても、この次期中期計画に関しては、検討過程、内容の両面に関して問題のあるものとして認識しており、不十分な情報の下での検討ではありますが、事実上の時間切れを前に、以下の通り職員労働組合として経営面に関する意見の表明を行いました。

2010年4月5日
公立大学法人 横浜市立大学
理事長 本多 常高 様
横浜市立大学職員労働組合
(横浜市従大学支部)
委員長 登坂 善四郎

次期中期計画に関する意見書

 市民から期待され信頼される大学教育と運営の確立に向け、日頃の取り組みへのご尽力に敬意を表します。

 現在、次期中期計画に関する検討が進んでいるようですが、検討状況の学内への公開や検討に当たっての学内の意見の集約などが不十分な状態にあります。 職員労働組合としても、長期間にわたって大学の方向性を規定する中期計画の策定について、一般職員、プロパー職員の意見が十分に取り入れられていない点について強い懸念を持っています。

 検討中の内容について十分な情報公開がなされておらず、組合としての対応を検討するにも困難な面がありますが、学内での検討が事実上終わろうとしている状況に鑑み、現在公表されている情報に基づき、特に法人の経営に関する部分について、以下の通り職員労働組合として意見を表明します。

1.大学の教育研究、経営の向上には教員・職員の密接な協力による大学の運営が不可欠になっているが、現在の案はそのような教職協働の見地を完全に欠いている。

2.市派遣職員を除く全職員に対する任期制の導入は、優秀な職員の確保や職員のモラールの維持の面で問題があり、また、任期制と表裏一体の関係にある評価制度についても度々問題が発生している。これら制度が大きく関係すると思われる度重なる職員のメンタル面での問題からの休職や退職者の続発等は到底無視しえないものであり、制度に関する再検討を盛り込むことを求める。

3.プロパー職員の採用について、わずか数年間で大量の新卒、第二新卒者の採用が行われているが、このような極端な採用行動は、20年後、30年後の組織のあり方(職員の年齢構成、処遇等)についての懸念を抱かせる。また、職員の能力育成に関して、大学職員には地方公務員とは全く異なる課題が課せられているという点が認識されているかどうかも不明である。(独自の社会的役割と課題を持った)大学としての中長期的な観点に立った固有職員の採用、育成を行う点を明記すべきと考える。

4.非常勤職員制度に関し、制度の実態の検証を行うと共に必要であれば改善を行うことを盛り込むべきである。その際、短期的な人件費に係る視点からのみ判断するのではなく、大学の中長期的、総合的な経営力の維持・向上という観点を考慮すべきである。

5.20年ほど前までは、大学職員の業務の多くは、先例の踏襲や教授会の決定事項の遂行など定型的な処理が可能なものであったが、このような状況は既に終わり、今や大学職員は、急激な変化を迎えている大学という独自の社会的役割と課題、特色を持った組織体の経営の担い手としての能力の高度化と専門化を求められている。本学の大学専門職制度は、このような状況の変化に対する先進的な取組の試みであったはずだが、実際には、法人化直後からこのような大学を巡る経営上の課題に対する知識・認識を欠く市派遣職員によって制度運用が骨抜きにされ、むしろ国レベルでの中央集権体制を前提としたジェネラリスト志向の強い地方公務員制度に同化させるが如き動きが進められている。現在公表されている次期中期計画関連文書に至っては、大学専門職という言葉自体含まれていない。大学専門職制度の堅持と本来の趣旨に則った運用を求める。

6.市派遣職員の段階的削減が現行中期計画同様盛り込まれているが、現在、企画、財務、人事といった経営中枢部門の管理職の大半は市派遣職員によって占められている。本学の場合、事務局の実質的な権限、影響力は他大学に比べ非常に強く、その幹部の能力は大学のパフォーマンスに大きく影響することから、専門性を欠く市派遣職員によるこれらの幹部ポストの占有は大学経営上望ましくない。早期に引き上げを行うと共に、それまでの間、異動及び(大学の教育研究、経営に関する専門的な)研修を活用し、適切な人材の確保に努めるべきであり、このような方針を明記すべきである。

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「懲戒処分の標準例に関する質問書」(続報)(再掲)

 先日来、お伝えしている「懲戒処分の標準例」を巡る問題ですが、当局に提出した質問書に対する回答期限である1月22日はとうに過ぎたものの、いまだに回答がありません。折衝において、文書で回答することを当局側も約束しているので、回答あり次第、内容について皆様にお知らせします。

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2010年3月25日木曜日

「非常勤職員の雇い止めに関する要求書」回答

 昨年来、度々取り上げてきた非常勤職員の雇い止め問題ですが、前回の職員組合ニュース【公開版】でご紹介した12月16日付け「非常勤職員の雇い止めに関する要求書」に対して、2月23日にようやく回答がありました。回答の内容は、規則どおりに雇用の更新は4回までを基本とするというもので、残念ながら非常勤職員の雇い止め制度の廃止と制度廃止までの間、希望する非常勤職員の雇用の継続を行うという職員組合の要求は受け入れられませんでした。

 ただし、この間、当局との折衝において、病院で医療に従事する嘱託職員に関して非常勤職員就業規則の但し書きを使った雇用の延長がありうることが示されました。具体的には、「嘱託員の雇用期間について」なる文書に基づき、特別の事情があるとして所属長が要請し、理事長が必要と認めた場合は、非常勤職員就業規則第4条の3の但し書き「ただし、職務の性質等特別の事情があり、理事長が必要と認める場合にはこの回数を超えて更新することができる」を適用し、雇用の延長を行うというものです。これにより非常勤職員のうち、病院で医療に従事する嘱託職員に関してのみ、雇用の延長の可能性があることになりました。

 とは言うものの、この措置には、①医療職以外の非常勤職員はそもそも対象外、②本人の希望ではなく、あくまでも上司の判断に基づく、③例外規定の活用では、その適用対象になるかどうかの判断が毎年行われ、雇用の継続はその結果次第ということになり、対象者は1年単位の不安定な雇用条件下に置かれる、等の重大な問題があります。

 また、このような病院の医療職にのみ適用するという判断は、外部環境の激変により大学の経営能力の強化が必要な中、教育研究、大学経営のいずれにおいても専門家でない市職員に実質的な権限を集中するという本学の特異な状況を反映したものとも言えます。病院の医療職に関しては、人員の確保が困難で、かつ必要な人員を確保できなかった場合のリスクの予想が素人でも容易である一方、それ以外の職員に対しては、大学経営に関する専門知識、経験を欠いている場合、まるで20年以上前の大学のような定型的な事務作業をイメージし、職員もいくらでも代替可能であるかのように考えてしまう可能性があります。既にお伝えしたように、少なからぬ地方国立大学において、非常勤職員の雇い止めが大学の経営能力の低下を招き、大学間競争力の低下につながることが認識され、制度の撤廃や緩和が行われています。また、国立大学における非常勤職員雇い止めの代表格である京都大学も、来年度以降、雇い止めになる非常勤職員の再応募を認めるという方向転換が決定されています。職員の雇用を守るという観点からも、また、大学の経営能力の低下を防ぐと言う観点からも、職員組合は来年度以降も雇い止め制度の廃止に向けた取組を継続します。

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職員労働組合組合員の雇い止め問題

 上記の非常勤職員の雇い止め制度に関する廃止要求とは別に、職員労働組合の組合員の中に、今年度一杯で雇い止めとされる可能性がある非常勤職員の方があり、職員組合では、別途この方の雇用の継続に関して当局と交渉を行ってきました。この方は、法人化以前から本学に勤務していましたが、法人化の際に不透明な取扱がなされ、職員組合は、弁護士とも相談の上、これまでの雇用期間、勤務実態等から、この方が既に実態として期間の定めのない雇用の状態にあると判断し、また非常勤職員としての契約時の手続きに瑕疵があることなども踏まえ、当局に対し、その根拠を示し雇い止めを行わないよう求めてきたものです。最終的に当局側は、この非常勤職員の方について雇い止めを断念、組合員の雇用を守ることが出来ました。

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「懲戒処分の標準例に関する質問書」(続報)

 先日来、お伝えしている「懲戒処分の標準例」を巡る問題ですが、当局に提出した質問書に対する回答期限である1月22日はとうに過ぎたものの、いまだに回答がありません。折衝において、文書で回答することを当局側も約束しているので、回答あり次第、内容について皆様にお知らせします。

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非常勤職員の処遇改善について

 法人化の際の経緯などもあり、現在、職員労働組合は横浜市立大学職員労働組合という独立した労働組合としての面と、横浜市従業員労働組合(横浜市従)の大学支部としての面を併せ持った形となっています。2月26日、この横浜市従と横浜市当局との間の交渉で、横浜市の嘱託職員について、服忌休暇、病気休暇の取得などに関して改善が行われることが決まりました。この処遇改善について、大学の非常勤職員に対しても同様に適用されることを当局に対して口頭で確認済みです。詳細についてお知りになりたい方は、職員組合までご連絡ください。

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事務組織の改変・人事異動について

 本学の場合、毎年の恒例行事となっているようですが、新年度よりまた事務組織の改変が行われる模様です。今回は、学長のトップマネジメント機能の強化と学務組織の再編、一部強化が目玉となっているようです(それにしては腑に落ちない点もありますが)。これにより、また学生の入学、進級という大学が最も多忙な時期に人事異動と組織改変が行われることになります(部分的な改変ならともかく、毎年のように骨幹部分を含めた改変を行う大学は珍しいです。どちらかというと経営の迷走している企業のパターンに近いのではないでしょうか)。意に沿わない異動をされそう等、人事異動で不安を感じている方、遠慮なく職員組合にご相談ください。

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職員組合未加入の皆様へ

 今回お伝えしたように、職員労働組合は、職員の雇用の確保と職場環境の改善を目指すと共に、個別の職員の雇用問題に関しても活動を続けています。教職員全員任期制等、本学の場合、全国的にも特異な雇用・労働環境下にあり、常勤職員、非常勤職員を問わず断続的にトラブルが発生していますが、最近数年間、各種の雇用を巡るトラブルに見舞われた職員で職員組合に加入された方については、総てその雇用を守ることに成功しています。もともと任期制ということで契約している関係もあるのか、職場に疑問や不満を感じた場合、退職を選ぶ職員が多いのも本学の特徴ですが、退職を考える前に一度職員組合に相談してみませんか。労働組合というと一般にイメージされるような、特定の政治活動とも無縁です。これは教員組合も同様ですが、本学特有の厳しい雇用環境の中、労働組合の本来の目的である雇用の確保と雇用環境の改善に活動を集中しています。一度話を聞いてみたいという方も是非ご連絡ください。

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