2013年3月13日水曜日

任期制廃止に関する法人理事長への協議要求書

 前回の組合ニュース【公開版】(2月28日)でお伝えした通り、横浜市の林市長に対して、本学の公立大学法人化時、横浜市によって導入された全国的にも殆ど例の無い全員任期制を廃止するよう要請を行いました。「要請書」であって「協議要求書」ではないので市との間での協議は行っていませんが、市側の窓口である大学調整課に対する趣旨説明の際に、多少の遣り取りがありました。

 その際、大学調整課からは「『独立』行政法人になったのだから、そういった問題は大学自身で判断すべきこと」、「市としては市が示す中期目標の範囲で市大側に大学を運営してもらっていて、市の側から中期目標で任期制をやってくれとは示していない」などの反応があり、それに対して組合側から「大学自身でと言っても、大学の理事長以下の経営陣や幹部職員の多くは横浜市OBか横浜市派遣職員ではないか」と質すと、「その通りだが、市OBや市派遣管理職に対して逐一指示を出しているわけではない」という答がありました。

 確かに現行、更には法人化時の第1期中期目標においても「任期制」については、全く記述がなく、法人の憲法に当たる定款においても同様です。「任期制」に関する記述があるのは、中期目標に基づき法人が作成、市長の認可を得る中期計画のレベルであり、更にそれは教員と大学専門職についてのみで、一般の職員の任期制に関しては中期計画においても一切触れられていません。

 確かにその意味では、任期制の維持の可否は制度的・形式的にまずは法人側の裁量の問題であり、その点につき市側の窓口である大学調整課からも確認が取れたので、改めて法人理事長に対して、任期制廃止について組合と協議を行なうよう要求書を提出しました。具体的な内容は下記の通りです。交渉自体について拒否はしないことも既に確認されていますので、今後、協議があり次第、その内容についてこの組合ニュースを通じてお知らせしていきます。

2013年3月5日
公立大学法人 横浜市立大学
理事長 本多 常高 様
横浜市立大学職員労働組合(横浜市従大学支部)
委員長(支部長) 三井 秀昭

任期制廃止についての協議要求書

 市民から期待され信頼される大学教育と運営の確立に向け、日頃の取り組みへのご尽力に敬意を表します。

 ご承知の通り、平成17年4月の公立大学法人化以降、横浜市立大学は、横浜市派遣職員、医療技術職員を除く全教職員に1~5年の任期制を適用するという全国にもほとんど例の無い人事制度下にあります。この全員任期制は、「教育研究活動等の活性化を図る」(「横浜市立大学の新たな大学像について」平成15年10月29日)という名目で導入されたはずでしたが、現実にはその逆の状況を招いています。

 全員任期制は、アメリカの大学の人事システムに対する誤解、大学を含めた日本の雇用労働システム全体の特質に関する認識の不足、他大学との人的資源確保上の競争という観点の欠如、かつての“事務員”としての大学職員とは質的に異なる職員の確保が必要になっているという大学経営の高度化に対応した人材確保の必要性への理解不足、任期更新の前提となる業績評価の公平性、客観性の確保の困難性及び民間企業セクターにおける教訓への無理解等々に根ざしたものであり、結果として、本学は大学の存在目的である教育研究活動の源泉たる人材確保の面で著しい不利益を被っています。

 ことに固有職員に関しては、退職者、休職者が後を絶たないため、それが職場環境の悪化につながり、更なる退職、休職へと繋がるという悪循環に陥りつつあり、加えて、プロフェッショナルとしてのより高度な能力を身につけることを望む職員が他の私立大学等へと転職するケースが相次いでいるという深刻な事態に至っています。このままでは、経験と能力を備えた人材を十分に確保することは半永久的に困難なままであることを強く危惧します。

 今般、労働契約法の改正に伴い、5年を超えて雇用契約の反復更新がなされた場合、有期雇用(任期制)から無期雇用に転換されることが法的に定められ、これにより任期制を維持する根拠は実質的に消滅しました。このため、職員労働組合として、改めて本学の人材確保、職場環境・労働環境の確保等に重大なマイナスをもたらしている任期制の廃止について協議を行なうよう要求します。

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