2013年9月24日火曜日

固有職員給与引き下げ提案への回答について

 9月17日の組合ニュース及び7月以降の組合ニュースでお伝えしてきましたが、固有職員の給与については、7月に「市派遣職員、固有職員ともに8月1日より年3月31日まで、横浜市職員と同率(月額給与及び賞与について、一般職員は3.79%、係長級は6.79%)で引き下げ」という内容での当初提案があり、その後、市派遣職員とは切り離して交渉ということになり、9月17日に「11月1日より来年3月31日まで、賞与も含め横浜市職員と同率で削減」という再提案が提示されました。

 また、7月の当初提案に対して組合が行った回答における要求についても、同日、事務局長名で文書による下記の回答がありました。

【要求】 固有常勤職員の給与引き下げの理由として、提案では「法人の一般職員の給与につきましても、法人化以降、横浜市に準じた給与制度・水準としてきていることから、今回、市派遣職員同様、横浜市に準じた措置とすることを提案します」としているが、上記のように、横浜市は大学等に対して直接給与カットの要請は行わないことを明らかにしており、また、総務省が横浜市を始めとする各自治体に行ったような給与カット要請額相当分を地方交付税から差し引くといった措置も取られていない。設置自治体からの要望もなく、大学運営交付金のカットも行われていない状況で、なぜ「独立」法人である横浜市立大学の職員に対して給与カットを行わなければならないのか、提案ではその判断についての充分な根拠が示されているとは言い難い。法人としての独自の経営判断というのであれば、改めて合理的で説得力のある根拠を提示するよう求める。

【回答】 法人職員の給与は、法人化当初から横浜市に準じた給与形態や給与水準としており、以降横浜市の給与改定に準じて規程改定を行い、現在に至っています。市派遣職員との均衡を保つうえでも、横浜市同様の減額措置を実施したいと考えています。ご理解いただきますよう、おねがいいたします。

【要求】 今回の職員給与削減を実施に移した場合、当初予算人件費に対して剰余金が発生することとなるが、その使途について説明を求める。

【回答】 現時点では未定ですが、今後、横浜市とも協議のうえ、大学運営の充実に当てていきたいと考えています。

 *上記に加え、口頭で「教職員個々人へ還元するのではなく、大学全体で活用する方向」という趣旨の説明がありました。


 組合執行委員会で検討の結果、法人経営のそもそも論としての「なぜ、横浜市から要請も無い状況下、独立行政法人である横浜市立大学において給与引き下げを行わなければならないのかの根拠」という点に関して充分な説明が行われたとは言えないものの、当初提案に比べ引き下げ期間を3ヶ月圧縮できたこと、また、固有職員の給与形態及び給与水準が横浜市に準じるものであることが再確認されたことを評価し、基本的に了解することとして、先週9月20日、組合としての回答を手渡しました。ただし、関連して要望事項2点をつけています。

 回答の詳細は下記の通りです。

 なお、対象は固有職員のうち常勤職員だけで、非常勤職員の方は含まれません。

平成25年9月20日
公立大学法人 横浜市立大学
理事長 田中 克子 様
横浜市立大学職員労働組合
委員長 三井 秀昭

固有職員給与引き下げ提案について【回答】

 9月17日に再提案された固有職員の給与引き下げについて、以下の通り回答します。

  1. 独立行政法人として給与引き下げが必要とされる理由について、充分に説得力のある根拠が示されたとは言い難いが、交渉の結果、当初提案に比べ引き下げ期間が3ヶ月間圧縮されたこと、また、固有職員の給与形態及び給与水準が横浜市に準じるものであることが再確認されたことを評価し、今回提案内容について基本的に了解する。

  2. しかしながら、回答において「市派遣職員との均衡を保つ」と謳っているにも関わらず、固有職員と横浜市派遣職員との間には、「全員任期制」という処遇上の重大な不均衡が存在している。固有職員の任期制については、昨年度来、組合がその廃止を要求し現在も交渉を継続しているところであり、退職者、休職者の相次ぐ現状を直視し、誠意をもって交渉に臨むよう強く求める。

  3. また、給与引き下げにより発生する剰余金については、漫然と費消するのではなく、「職場諸要求」や個別交渉を通じて組合が要求している職場環境・労働環境の改善や他大学、特に私立大学連盟加盟校に比べ著しく劣弱な職員の能力開発(SD)支援に充てるよう求める。
以上
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職場集会開催のお知らせ(再掲)


 職場集会を以下の日時で開催しますので、お知らせします。

八景キャンパス: 10月3日(木)12:05~12:55
(本校舎1階 職員組合事務室の隣の組合会議室)

福浦キャンパス: 10月2日(水)12:05~12:55
(研究棟2階 A209号室)

*会場の関係で福浦キャンパスが先の2日(水)、金沢八景キャンパスが後の3日(木)といつもと順序が逆になっています。ご注意ください。

 前回6月の職場集会以降の組合の活動状況の報告や給与引き下げ問題、任期制廃止要求などの懸案の状況、各職場の近況、課題についての情報交換等を予定しています。非組合員の方の参加も歓迎します。

 飛び入り参加も可能ですが、9月27日(金)までに参加の申込をいただいた方には、組合でお弁当を用意します。事前申込は、ycu.staff.union(アット)gmail.com までお願いします。

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2013年9月6日金曜日

大学運営交付金に関する横浜市長への要求と解説

 8月28日、職員組合の上部団体である横浜市従業員労働組合(横浜市従)から横浜市長に対して来年度予算等に関する要求書が提出されました。大学に関しては、昨年度までとほぼ同様の内容ではありますが、記述を修正、4つの問題点に整理・集約しました。具体的には以下の通りです。 

横浜市従業員労働組合2014年度予算要求

〈大学〉

 市立大学においては、①第1期、第2期の中期計画開始時及び中期計画期間全体での大幅な交付金の削減、②第1期中期計画期間における、ほぼ毎年の交付金の予定額からの大幅削減、③各年度予算の市OB・市派遣幹部職員による執行段階での使用の抑制、④大学の教育研究活動の特質について十分な理解を持たない市OB・市派遣幹部職員による、実際のニーズと必ずしも適合しない年度予算編成など、不安定かつ縮小的な大学運営と適切な資源配分の不足により、教育研究活動に大きなダメージを受けている。はるかに少額の削減しか受けていない国立大学においてすら、法人化以降、教育研究への負の影響が出ていることがマクロデータで確認されつつあり、市大の教育研究の向上を真に望むのであれば、①運営交付金の削減に歯止めをかけ、②毎年の交付金額も安定させると共に、③執行段階での削減を大学の名で市OB・市派遣幹部職員が行うようなやり方を改め、④現場の教員・固有職員の声を反映させた適切な予算編成を行うこと。


 解説

①:平成17年度の法人化以前における市から大学への経費投入については、大学のHPにはデータは一切残っていません。横浜市の方には平成14年度以降の予算が残っているので(http://www.city.yokohama.lg.jp/zaisei/org/zaisei/yosan/)、そちらを参照すると、平成14年度が大学の自己財源(授業料収入、病院収入等)を除いた市からの繰入金が242億8千万円、平成15年度が262億1千万円、平成16年度が250億9千8百万円となっています。これに対して、法人化された平成17年度の横浜市から大学への運営交付金は142億6百万円と前年度に比べ一気に100億以上円、率にして40%以上(!)減額されています(以下、法人化以降のデータは横浜市立大学「財務情報」http://www.yokohama-cu.ac.jp/univ/corp/finance/finance.html の各年度決算報告書等に基づくものです)。

 また、平成17年度から平成22年度までの第1期中期計画期間全体での運営交付金の予定総額は781億8千6百万円、平均すると1年当たり約130億円で、平成14年度から16年度までの繰入金の平均、年間約252億円に比べ120億以上の減となっています。

 さらに平成23年度から始まっている第2期中期計画について見ると、平成23年度から平成28年度までの6年間での運営交付金の予定総額は677億2千3百万円、第1期中期計画に比べ総額で約100億円、率にして約15%の減となっています。

 国立大学法人が毎年約1%という、横浜市大に比べれば無いに等しいとも言える運営交付金の減額で苦しんでいることを考えると、この削減がいかに凄まじいものか判ります。

 運営交付金の削減による影響に関して一例を挙げると、研究面についての話になりますが、国立大学法人を中心とした運営交付金の削減と「選択と集中」の促進が日本の高等教育機関の競争力に如何に深刻な影響を与えているかという点について、元三重大学学長で現鈴鹿医療科学大学学長の豊田長康氏が、ブログ等で量的データに基づき繰り返し指摘を行っています(http://blog.goo.ne.jp/toyodang/e/fbfd543bc72e5bc7815f77174bb39529)。

 以上の結果、平成23年度で見ると横浜市立大学の総収入に占める横浜市からの運営交付金の割合は約18%にまで低下しています。マスプロ教育を行わないと経営的に存続が厳しい日本の私立大学の経常経費に占める国の補助金の平均割合が約10%(http://www.shigaku.go.jp/s_kouhujoukyou.htm)、やや古いデータですが、国立大学のうち医学部を有する中規模大学群の経常収入に占める運営交付金の割合が平成18年度で30%以上(http://www.nistep.go.jp/achiev/ftx/jpn/mat150j/idx150j.html)、 日本の大学改革のモデルとして持ち出されることも多いカリフォルニア大学の経常収入に占める州政府の交付金の割合が2008-2009年度で約22%(http://www.zam.go.jp/n00/n000i007.htm)などとなっています。

②:上記のように、中期計画段階での交付予定総額の削減だけでも大変なものなのですが、実際には、各年度の横浜市の予算編成段階で、中期計画で予定されている交付予定金額からさらに削減が行われています。第1期中期計画に関しては、横浜市財政当局の横浜市従に対する予算説明の場で「第1期中期計画期間の各年度の市からの運営交付金は毎年均等に交付される」という説明があり、これは計算すると毎年約130億円の交付があることを意味するはずですが、実際には、平成17年度が約142億円、18年度が約129億円、19年度約120億円、20年度約123億円、21年度約123億円、22年度約113億円と平成17年度を除き予定額を下回り、特に最終年度である平成22年度においては予定額より17億円も下回る交付額となっています。第1期中期計画期間の総額では、予定交付額781億8千6百万円に対して実際の交付金の総額は749億1千9百万円、32億6千7百万円が削減されています。因みに、第2期中期計画に関しても同様に毎年の交付金が均等に交付されるのか横浜市財政当局に対して確認を行いましたが、最終的にこちらは回答が得られませんでした。

③:また、当初交付予定額から縮小された各年度の予算自体もそのまま執行されるわけでなく、理事長、事務局長、財務、経理の管理職が横浜市OBあるいは横浜市派遣職員という状況下、現場の創意工夫によるのではなく、地方行政の専門家ではあっても大学経営は門外漢であるはずの横浜市OBおよび横浜市派遣管理職による上からの指示、判断により執行が抑制されています。結果として毎年40億から60億程度の利益剰余金が発生し、 平成17年度から23年度までの利益剰余金の総額は325億円に達します。そのうちの少なからぬ額が、法人化時に大学の資産とはされず横浜市が所有したままのはずの校舎の立替え、耐震改修に投じられるようです。

④:さらに、横浜市立大学においては教授会の権限が大幅に抑制(学生の身分に関する事項のみ)され、予算も含め経営者に大幅に権限が集中した経営形態が取られています。もちろん経営者自身が細かい問題まで自身で決定や執行を行うわけではないので、実際には経営者および事務局幹部に権限が集中しているわけですが、その大半は地方行政の専門家ではあっても大学経営は門外漢であるはずの横浜市OBおよび横浜市派遣管理職です。教育研究に関して、何が重要なのか、何が節約できるのか等の判断に必要な知識、経験を欠いた人達にただでさえ減っていく予算の編成と執行の実権が集中しているため、教育研究の現場に大きな問題が発生しています。



 このように、横浜市からの運営交付金の問題を始めとして、横浜市大の予算とその執行には4段階に渡る巨大な問題が存在しています。教育も研究も基本的に単年度では完結しない営為であり、例えば学士を送り出すまでの教育は4年単位、研究もあるテーマの研究が1年で終わるということはまずありません。年を追うごとに厳しくはなっていくだろうがそれがどの程度かは判らない、さらには減少する経営資源の範囲内でせめて合理的である保障もない経営環境は、単年度で完結しない教育研究という営為を疲弊させずにはいられません。そして、大学は教育研究機関であり、その経営とはつまるところ教育研究をどうするかということに他ならず、教育研究が上手く行っていないということは大学経営が上手く行っていないということです。市長へ要求書を出せば簡単に解決するような問題ではありませんが、今後も取り組みを続けていきます。

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職場集会開催のお知らせ


 職場集会を以下の日時で開催しますので、お知らせします。

八景キャンパス: 10月3日(木)12:05~12:55
(本校舎1階 職員組合事務室の隣の組合会議室)

福浦キャンパス: 10月2日(水)12:05~12:55
(研究棟2階 A209号室)

*会場の関係で福浦キャンパスが先の2日(水)、金沢八景キャンパスが後の3日(木)といつもと順序が逆になっています。ご注意ください。

 前回6月の職場集会以降の組合の活動状況の報告や給与引き下げ問題、任期制廃止要求などの懸案の状況、各職場の近況、課題についての情報交換等を予定しています。非組合員の方の参加も歓迎します。

 飛び入り参加も可能ですが、9月27日(金)までに参加の申込をいただいた方には、組合でお弁当を用意します。事前申込は、ycu.staff.union(アット)gmail.com までお願いします。

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