2015年8月18日火曜日

残業等に関する本年度の労使間の協定(36協定)について

本年度の時間外労働及び休日労働に関する労使協定、いわゆる36協定が各キャンパスで締結されました。

本来、労働は就業規則に定められた時間のみ行うもので、1週間40時間・1日8時間という法定労働時間を超えて労働者を働かせることは出来ません(「使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間について40時間を超えて、労働させてはならない」労働基準法第32条)。

ただし、業務の偏りなど、やむを得ない事情の場合に対応するため、使用者と過半数組合ないし過半数代表者との間で協定を交わし、行政官庁に届けることによって労働時間の延長や休日労働を行わせることが認められています(労働基準法第36条)。これがいわゆる36協定です。

しかしながら、最初に書いたように、本来、労働は就業規則に定められた時間のみ行うもので、この条文の本来の趣旨は、手当と引き換えに時間外労働・休日労働を無制限に認めるというものではありません。時間外労働・休日労働は、あくまでも必要最小限にとどめられるべきもので、労使がこのことを十分意識した上で36協定を結ぶべきであるとされています。その意味で、36協定は時間外労働・休日労働の手当ての額を定めるためのものではなく、労働者の健康と権利を守るために時間外労働・休日労働を必要最低限にとどめるために結ぶものといえます。

法人化直後数年間の本学は、36協定を結んでいたのか、あるいは仮に結んでいたとしても過半数組合や過半数代表者の意見を徴し、その意見書を添付する等、法令上の要件をきちんと満たしていたのかどうかもよく分からないような状態でしたが、その後は少なくとも36協定自体は締結されています。

しかし、その協定が本当に守られているのか、また、そもそも協定の内容が当の教職員にどこまで周知されているのか(周知されていない36協定は無効になります)、心もとない状況が続いていました。特に前者については、最近の数年間、職員組合からも指摘と改善を求め続けてきましたが、当局側が明確な回答を行おうとしないという状態でした。

昨年度、鶴見キャンパスに労働基準監督署の調査が入り、相当厳しい指導が行われたようで、それ以降、当局側の対応も、少なくとも担当者レベルでは変化しました。協定自体の内容の教職員の周知に関しても、今回初めて、就業規則を学内ネットに掲示するという方法で教職員への周知を図る旨、職員組合の問い合わせに対しての回答がありました。

とはいうものの、36協定の存在と上に書いたような本来の趣旨について理解している職員は極めて少数と思われる状況のため、組合としても独自に本年度の八景キャンパスの36協定について紹介することにしました。なお、36協定については、労働基準法の定めにより「事業所」を単位として結ぶこととされており、本学の場合、各キャンパスごとに個別に、過半数組合が存在する場合はその代表者と、過半数組合が存在しない場合、個別に教職員によって選ばれた過半数代表者と当局側との間で締結されることになっています。基本的な内容は同じですが、他のキャンパスの教職員の方はYcu-net上で確認してください。

もっともポイントとなるのは、この協定の締結により、①法人は教職員に対して「1日4時間」、「1か月45時間以内」、「1年360時間以内」の超過勤務を行わせる権限を与えられること、②また、例えば年度末における経理業務や一般入試期間における入試業務のような、業務の性格上、どうしても短期に業務が集中するやむを得ないものに関しては、「労使の協議を経て」、「1か月60時間まで」、「1年540時間まで」、「ただし1年に6回まで」、前記の制限を超えて時間外労働をさせることができる、という点などです。繰り返しますが、①で書いた時間が本来の延長が許される範囲で、一部のやむを得ないケースに関してのみ、「労使の協議を経て」(労使の協議を経ていない場合は無効です)、②の時間までの延長が許されるというもので、これが上限になります。

その他の条項も全て重要なものなので、一通り目を通してください。そして、もし、この協定に反するような勤務をさせられているような職員の方がいらっしゃいましたら、組合までご相談ください。


時間外労働及び休日労働に関する労使協定書

公立大学法人横浜市立大学(以下「法人」という。)と金沢八景キャンパス事業場の職員の過半数を代表する者(以下「八景キャンパス事業場過半数代表者」という。)は、労働基準法第36条第1 項に基づき、時間外労働及び休日労働に関し、次のとおり協定する。

(定羲)
第1条 この協定において「時間外労働」及び「休日労働」とは、次に掲げる労働をいう。
(1) 時間外労働とは、法定労働時間を超えて行う労働及び勤務を要しない日に行う労働をいう。
(2) 休日労働とは、法人職員就業規則第40条に規定する休日に行う労働をいう。

(時間外労働・休日労働を必要とする場合)
第2条 法人は、次のいずれかに該当するときは、時間外労働又は休日労働を命ずることができる。
(1) 対外的事由により、法定労働時間内にその業務の実施が不可能なとき
(2) 入学試験、就職等の学生支援業務が集中し、法定労働時間内の勤務では処理が困難なとき
(3) 入学試験関連業務を行う必要があるとき
(4) 契約等により時期の限られた業務を実施する場合であって、作業を予定どおり進捗又は完了させるとき
(5) 専門的な技術、知識、経験等を必要とする業務を行う場合であって、その業務の処理を他の職員に代替させることができないとき
(6) 災害又は災害発生のおそれのある時など、臨時に作業を行う必要があるとき
(7) 各種システムの運用、操作等を行わなければ法人の運営に支障がでるとき
(8) 緊急を要する施設管理・補修のための業務を行う必要があるとき
(9) 決算に関する計算及び書類作成を行う必要があるとき
(10) 月内、期末等の経理事務等が繁忙なとき
(11) 各種行事又は会議の資料作成及びその他行事・会議開催に係る業務を行う必要があるとき
(12) その他前各号に準ずる事由が生じたとき

2 職員は、正当な理由がある場合には、時間外労働及び休日労働を拒むことができる。

(時間外労働及び休日労働を必要とする業務の種類及び職員数)
第3条 時間外労働及び休日労働を必要とする業務の種類及び職員数は次のとおりとする。
(1) 事務系職員 111 人
(2) 技術·医療技術系職員 5 人
(3) 医務系職員 6 人
(4) 技能系職員 0 人
(5) 教員 l23 人
(6) 非常勤職員 80 人

(延長することができる勤務時間数)
第4条 この協定によって延長することができる勤務時間数は、次のとおりとする。
(1) 1日につき4時間
(2) 1か月につき45時間以内
(3) 1年につき360時間以内

(勤務させることができる勤務を要しない日及び休日数)
第5条 この協定によって延長できる、勤務を要しない日及び休日(以下「休日等」という。)数は1か月につき4日以内とする。

(休日等勤務の時間数の限度)
第6条 前条の規定により休日等に勤務させることができる時間数は、1日の休日等につき8時間以内とする。ただし、必要と認められる場合には第4条第1項第1号で定める1日の延長時間の範囲内において延長することとするが、第4条の各号の延長時間には算入されない。

(限度時間を超える時間外労働)
第7条 法人は、第2条第1項各号に掲げる業務に従事する職員のうち、一時的又は突発的に第4条に定める限度時間を超えて業務を行う必要がある場合には、労使の協議を経て1か月60時間、1年につき540時間まで時間外労働を行わせることができる。ただし、限度時間を超えて時間外労働を行わせることができるのは、1年に6回までとする。なお、延長時間が1か月45時間を超えた場合の割増賃金率は2割5分とする。

(育児又は家族の介護を行う職員の時間外労働等の制限)
第8条 第4条、第5条及び前条の規定にかかわらず、育児又は介護を行う職員が請求した場合に は、法人職員の育児・介護休業等に関する規程第20条、第20条の2及び第21条の規定により、時間外労働及び深夜勤務を制限する。

(有效期間)
第9条 この協定の有効期間は、平成27年4月1日から平成28年3月31日までとする。


平成27年4月1日

公立大学法人横浜市立大学 理事長 二見 良之

八景キャンパス事業場過半数代表者 内山 英穂


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第4回「大学職員に必要な“業界知識”(2) -“大学改革”の動向-」のご案内

職員組合主催「大学職員基礎講座 -大学と社会に貢献できるプロフェッショナルとなるために-」の第4回「大学職員に必要な“業界知識”(2) -“大学改革”の動向-」開催について、ご案内します。

前回の教育関係法令と並んで、「外部環境」に関する情報として最も重要なものとして高等教育政策の動向が挙げられますが、近年はあまりにも多くの施策が、それも場合によっては整合性のとれないまま、かつ短期間に実施されているため、多くの大学は目先の個別施策への対応に追われています。中には自分が何をやっているのかもよく分からなくなってしまっている大学もあるのではないでしょうか。大学問題や教育問題に関する言説に正確でないものもしばしば含まれていることも、問題を一層複雑にしています。限られた時間なので、全体を十分に説明することは到底無理なのですが、いくつかのポイントに絞って、問題の整理を試みたいと思います。

なお、今回は八景キャンパスのみの開催となりますが、他キャンパスの方の参加も可能なように夜間に実施することにしました。また、会場となる組合会議室については、金沢八景キャンパスにおける組合事務室の移転の関係で職員組合としての利用はこれが最後になる予定です。


8月26日(水) 18:00~18:30
金沢八景キャンパス 組合会議室(組合事務室隣り)


*資料準備の都合上、なるべく開催日の前日までに
ycu.staff.union(アット)gmail.com までお申し込みください。

*組合員以外の方は、資料代として50円ご用意ください。


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