2016年4月8日金曜日

固有職員の処遇を巡る交渉状況について

ちょうど1年ほど前になりますが、組合ニュース【公開版】(2015年4月9日)で「『嘱託職員の処遇に関する要求書』と法人固有職員(常勤職員・嘱託職員)の処遇に関する重大な問題について」と題して、法人化時の労使合意-「法人固有職員の処遇は横浜市に準じる」-について、当局側の態度が怪しくなってきたこと、具体的には、横浜市に準じた常勤職員の住居手当の改訂及び嘱託職員の賃金の引上げ等について当局側が市と同様の改定に応じないため交渉を行っていることをお伝えしました。

また、その後、本年1月22日付の組合ニュース【公開版】での「職員賃金規程改正に関する職員労働組合の見解」において、「固有職員の住居手当については既に1年以上、職員組合との間で協議が行われているが決着に至っておらず、この間、当局側による協議の中断も長期間にわたっている。当局側の主張の裏付けとなるデータの提出が約束されているにも関わらず、この点についても未だ十分なデータの提示はなされていない。法人化時の労使合意に関わる問題であり、労使対等の原則に基づき、誠意をもって協議に臨むよう求める。」として間接的に情報をお伝えしてきました。

今回は、これらの問題についての続報になります。

まず、嘱託職員についての要求について、当局側の窓口となっている人事課から組合の要求は受け入れられないとの回答があり、その後、2月29日には固有常勤職員の住居手当に関しても、人事課長から現在の法人財政の状況から要求には応じられない旨の最終回答がありました。さらに、その際、人事課長からは「法人化後10年が経過して、経営審議会の外部委員からも法人独自の給与体系を考えてはどうかと意見が出ている」ので「人事課としても検討をスタートしている」として合意の破棄を示唆する発言がありました。直接的な要求拒否の問題だけでなく、法人化後の労使関係と法人固有職員の処遇の根幹となっていた合意自体が危うくなってきたことから、職員組合としてはこの問題を極めて重視し、法人理事長に対して3月10日付で団体交渉の申し入れを行いました。

若干、解説をしておくと、団体交渉とは、憲法第28条及び労働組合法で保障された労働組合と使用者との間でのいわば「正式な」交渉で、団体交渉において文書化された合意事項は法的拘束力を持つことになります。これに対して、それ以外の法令上の直接の根拠に拠らない交渉は一般的には労使協議と呼ばれています。

労働組合からの団体交渉の申し入れについては、労働組合法の定めにより原則として拒否は出来ないものとされており、当局側も交渉に応じたことから、3月28日、事務局長を当局側代表者として団体交渉を行いました(組合としては当局側代表者として理事長自身の出席を求めていたのですが、本学における労使交渉は理事長ではなく事務局長が対応している、という当局側の主張にとりあえず今回は譲ることとしました)。

具体的な交渉結果ですが、意外なことに最終的に拒否されたはずの住居手当の問題に関して「2か月以内に来年度の考え方について具体的に提案したい」として、改訂拒否はとりあえず今年度に関してのものであると態度が変わり、また、嘱託職員に関しては「制度の全般の見直しを行っており、その中で処遇について考えたい」という回答がありました。

組合としては、労使協議における拒否回答に基づき、700億に近い本学の財政規模からすればごく僅かなレベルの手当の引き上げ(しかも40代以上の廃止と引き換えに20代、30代については引き上げようとするもの)と、絶対額においても本当にささやかな0.23%という嘱託職員の給与引き上げがなぜ出来ないのか、財政難を言いながら一方では組織の新設や人員増を続けるなど、どのような優先順位に基づいて法人経営を行っているのか、新卒、第2新卒に極端に偏った固有常勤職員の採用を行ってきたことの責任をどう考えるのか、また、法人化時の労使合意の重さについてどの様に認識しているのか等、極端なトップダウン型経営を採用している本学における経営者の見解を質したかったのですが、当局側の態度の変更を受け、今回はとりあえず当局側の新たな提案を待ち、交渉を継続することとしました。

当局側の新たな提案があり次第、また、この組合ニュースでお知らせします。

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