2017年7月28日金曜日

非常勤職員制度の見直しに対する要求への当局側回答

前回の組合ニュース(公開版)でご紹介した組合からの要求に対して以下の通り、当局側の回答がありました。

要求内容最終回答
1 現在の嘱託職員から移行する限定正規職員(B区分)(短時間勤務)及び契約職員から移行する限定正規職員(B区分)(フルタイム勤務)の給与総額は、直近の情報では現状のままとされているが、特に嘱託職員から移行する限定正規職員(B区分)(短時間勤務)について、組合としては、給与総額の増額が必要であると考える。理由としては、①現在の本学の嘱託職員の月額給与が12万円台であるのに対して横浜市における嘱託職員の月額給与は16万円台になっており、両者の差が非常に大きくなってしまっている、②正規職員としての分類を変更するにもかかわらず、神奈川県最低賃金に若干の上乗せをしたレベルの現在の水準のままとするのはおかしい、③正規職員への変更に伴って手当が追加になるが、給与総額はそのままとするため本俸の額はかえって現在よりも低くなることになってしまう等である。せめて本俸部分を横浜市嘱託職員並みに引き上げるべきである。  今回の非常勤職員制度の見直しは、雇用期間の定めのない限定正規職員の導入など無期労働転換に伴う雇用の保障を最優先に考えたものです。
なお、制度改正後の給与額については、引き続き、協議課題であると認識しています。
2 現在の契約職員から限定正規職員(B区分)(フルタイム勤務)へ移行する職員のうち、当初提案通りでは移行により給与年額が減少する職員について現給保障を行う旨の変更案が示されたが、現給保障は該当者の退職時まで継続すること。  今回の変更案は、円滑な制度導入を図るための移行措置として、当面、現行制度の給与年額を保障するものです。
なお、現給保障の見直しをする場合は改めて協議します。
3 限定正規職員の休暇等の福利厚生及び研修については、常勤職員と完全に同等とすること。  限定正規職員の休暇制度、福利厚生は常勤職員と同等と考えています。
研修等についても、今後、組合からの意見も踏まえながら、人材育成体系に位置付けるものとします。
4 限定正規職員(A区分)について、名称を「専門職」とする修正案が示されているが、①国内においても従来の大学事務職員とは異なる専門性を持ったスタッフの必要性についての認識が浸透、文科省において「高度専門職」「専門的職員」といった名称でその制度化が検討されている状況下、今回のような位置づけで「専門職」という名称を使用することは、予想される日本の大学における「専門職」の位置づけとの関係で問題が生じる可能性があること、また、②本学において「高度専門職」として設置されている「大学専門職」との関係から望ましくなく、他の名称に変更すること。  限定正規職員【A区分】は、「専門の知識・能力・スキルを有して特定職域においてキャリアを重ねる」と定義していることから「専門職」としたものです。
なお、「専門職」の「名称」については、組合からの意見も踏まえながら、引き続き検討してまいります。
5 新制度発足後の新規採用について、限定正規職員(B区分)は、試用期間として有期雇用職員を経るとしているが、このような制度設計、運用は職務内容の異なるはずの両者の片方を試用期間のための職とすることの不自然さという点、また過去の類似事例の判例(最三小半平2.6.5神戸弘陵学園事件)からも問題がある。一般的な試行期間に比べ非常に長期間にわたるという点も問題である。試用期間を設定するのであれば、通常の場合と同様に直接、限定正規職員(B区分)として採用、常識的な試用期間とすべきである。  「有期雇用職員」は雇用期間を原則3年以内とし、業務継続の必要性が生じた場合に、本人の意向や勤務実績等を踏まえ、限定正規職員【B区分】(一般職)に転換するものです。必ずしも、すべての者が限定正規職員【B区分】(一般職)に転換するものではないことをご理解ください。
なお、制度の運用が進む中で、将来的に限定正規職員【B区分】として、当初から採用することも考えられます。その場合は試用期間として位置付けることを含め、改めて協議したいと考えます。

1.と2.については、移行後の現在の嘱託職員と契約職員の総人件費を現在と同レベルに抑える前提がまずあったのではないかと推測しています。当初、嘱託職員が移行する限定正規職員B区分(短時間勤務)の給与年額を現在より若干増、契約職員等が移行する限定正規職員B区分(フルタイム勤務)は逆に約170人が現在よりも給与年額が減という提案だったのですが、限定正規職員B区分(フルタイム勤務)について「現在よりも減るのはおかしい」という組合の指摘、予想される該当者の反発や退職などへの対応で限定正規職員B区分(フルタイム勤務)の年額給与をやはり現在通りとしたものの、そうなると限定正規職員B区分(短時間勤務)の引き上げ分の原資が新たに必要になってしまうという事で、こちらについても現行通りの額へと変更したのではないかと思われます。

組合としては、要求の通り、①現在より給与が減る人が出るのはおかしく、現給を保障すべき、かつ②現在の嘱託職員から移行する限定正規職員B区分(短時間勤務)については現在の給与レベルが低過ぎ、横浜市の嘱託職員との差もあまりにも大きく、せめて市の嘱託職員並みに引き上げるべきである、というスタンスで交渉を行ってきましたが、当局側の(恐らく)移行後の現在の嘱託職員と契約職員の総人件費を現在と同レベルに抑えるという前提を崩し、新制度移行と同時に給与を引き上げさせることは出来ませんでした。しかしながら、限定正規職員B区分(短時間勤務)の給与については今後も引き続きの協議課題であること、限定正規職員B区分(フルタイム勤務)の現給保障の変更を行う場合は組合との協議が必要であることを認めさせたので、来年度以降、この問題についての取り組みを継続することが可能になりました。特に限定正規職員B区分(短時間勤務)の給与額を少なくとも横浜市嘱託職員並みに引き上げることについては重点的に取り組んでいきます。

また、限定正規職員の福利厚生及び研修に関しては、研修の人材育成体系への位置づけについて、今後の検討で「組合の意見も踏まえる」旨を認めさせることが出来たので、今後、適切な制度化が行われるように取り組みを続けます。

最後の5.ですが、組合の指摘は、限定正規職員B区分の(現在の嘱託職員、契約職員を除いた)新規採用について「必ず有期雇用職員を経る」という制度設計になっている点に関して、限定正規職員Bになるための他のルートが用意されていない以上、過去の判例からはその有期雇用の期間は実際には「無期雇用の試用期間」の性格を持つものとして捉えられ、有期雇用職員としての任期が終わっても通常の有期雇用の終了のルールは適用できず、終身雇用の試用期間終了時の本採用拒否の場合の基準、いわゆる解雇権濫用法理の適用を受けることになるのでは、というものです。言い換えると、形式的に有期雇用として簡単に契約終了ができるようにしても、実際には無期雇用の試用期間に当たるものと解され、簡単に解雇することは許されないのでは、という指摘です。当局側の回答は、この指摘に正面から答えたものとはなっていないと思いますが、とりあえず組合としては現段階では上記のような問題点の指摘にとどめ、今後の運用を注視していくこととしました。

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