2017年9月15日金曜日

法人固有常勤職員給与体系見直し提案妥結内容

9月13日付組合ニュース(公開版)でお伝えした当局側の最終回答を受け、9月13日、この問題に対する組合としての回答を行いました。

2017年9月13日
公立大学法人 横浜市立大学
理事長 二見 良之 様
横浜市立大学職員労働組合 執行委員長
横浜市従大学支部 支部長 三井 秀昭

固有常勤職員給与体系見直し提案について(回答)

1月20日付で提案のあった固有常勤職員人事考課制度見直しについて、以下の通り回答します。


今回の当局側の提案内容については、組合としては、①本俸の上位昇給の廃止と勤勉手当への振り向けが職員のモチベーション向上につながるのか、②口頭説明では繰り返された財政上の問題が制度変更の理由であれば人件費抑制、削減の第1歩となりかねない等を懸念し交渉を続けてきたが、①については、口頭ではあるものの、定期的な制度の検証と組合との協議が約束されたこと、②については、今回の制度変更提案が人件費削減を目的とするものではないこと、及び法人職員と市派遣職員の給与等は原則同一であるべきという原則が確認されたことから、これを了解する。

組合要求に対する回答事項及び口頭での確認事項について遵守するとともに、今後、この種の提案に当たっては、その重大性に鑑み予め充分な交渉期間を設定すること、また、提案の根拠となる各種データについて提案と同時に提示するよう強く要望する。


以上

9月13日付ニュースに書いたように、この問題に関する組合の基本的スタンスは、①「法人固有職員の処遇は市職員に準じる」という原則を可能な限り維持すること、②将来の安定的な財政支援を含め市、市議会の充分な理解と継続的な支援の担保を得ているか疑問のある現在の経営拡大路線のつけを一般職員に回させないこと、という2点でした。

前者については、住居手当問題以降、曖昧になっていた「市職員に準じる」という原則を再確認するとともに、例外としての制度変更に当たっては「組合と誠実に話し合う」ことを確認しました。

後者に関しては、口頭では繰り返された「法人財政の悪化」のための人件費削減は目的ではなく、当局側の制度変更提案の目的は「職員のモチベーションの向上」と「安心して働き続けられる勤務条件の確保」にあるという事になりました。

以上2点の原則面での確認を踏まえ、さらに今回の制度変更が本当に「職員のモチベーションの向上」につながるかどうかについても、口頭ではあるものの正式に「定期的な検証」と「必要に応じた見直し」、それにその場合の「組合との協議」が約束され、問題がある場合の修正が約束されたことから、加えて今回の変更による影響は(少なくとも当面は)給与額全体の中では小規模にとどまることから、上記の通り、とりあえず当局側の提案自体については了解することとしました。

最終段落については、今回の提案が給与体系の見直しという重大な問題であるにもかかわらず、当局側は1月下旬提案、3月末までの合意と4月からの実施を求めるという性急なスケジュールを要求、しかも、それにも関わらず提案の裏付けとなる財政上の数値や変更に伴うモデル賃金への影響等を提案時には一切示さず、組合の要求に応じて時間をかけて五月雨式に出してくるという不思議な対応を行い、結果的には双方にとって逆に非効率的な交渉となったため、今後、そのようなことはしないよう求めたものです。

さて、固有常勤職員にとっての今回の交渉の意義ですが、最大のものは原則面において「法人固有職員の処遇は市職員に準じる」ことを再確認し、さらに原則から外れる変更については組合との交渉を行うことが約束されたことです。

法人財政が附属病院財政悪化に伴い悪化していること自体は事実であり、しかも消費税、診療報酬といった大学側からはコントロールできない外部要因に大きく影響される問題であるだけに近い将来の好転を期待するのは些か虫が良いと思われます。にも拘らず、法人の経営方針は支出増を伴う積極拡大路線へと転じています。それが市、市議会、ひいては市民の(将来の財政負担も含めた)明確な支持基盤に基づくものであるのならば、むしろ喜ばしいことなのですが、現状ではとてもそうとは思えません。将来的には再び経費削減や人員削減などの要求にさらされることが懸念されます。

明治以降の日本の公立高等教育機関の歴史には、地方による国立高等教育機関整備要求や公立高等教育機関の国への移管要望、廃止等の動きなどが同時に表裏の関係として付きまとってきました。また、最近の組合ニュースでも少し紹介したように政府主導型大学再編の始まりと“戦略の醍醐味”(1) 政府主導型大学再編の始まりと“戦略の醍醐味”(2)、政府主導による国公私を超えた高等教育機関の再編への方向性(政策方針が現在のままであると仮定した場合、中教審等の検討状況や国立大学法人中期計画のスケジュールを考えると、恐らく来年度半ばには第1段階についての最初の方向性が固まり、国立大学の第5中期計画の開始に合わせて本格的な“再編”や“整理”が行われる可能性が高いと思われます)が明確になりつつあり、これらを併せると、今回獲得した「法人固有職員の処遇は市職員に準じる」という原則の再確認が法人固有職員の処遇を守る防波堤として機能するのは最大で10年程度ではないかと思われます。しかも、それは“最大で”であり、何もしないままに機能するものではありません。具体的には、組合員の数とそれに基づく交渉がなければそれは10年ももたないでしょう。

今回の交渉成果は少数組合としては望みうる最大限のものでした。しかし、現状の組合規模ではその成果の維持も難しい状況です(有り体に言えばいつまで活動できるか判らなくなっているボランティア団体のようなものです)。今回の交渉とその結果に意味があると思う固有職員の方には、是非、組合に加入するよう呼びかけて終わりにします。

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