2018年12月26日水曜日

職場集会開催のお知らせ(1/9水=八景、1/10木=福浦)

2019年第1回目の職場集会を以下の日時で開催します。

八景キャンパス: 1月 9 日(水)12:15~12:45(本校舎 職員組合事務室)
福浦キャンパス: 1月10日(木)12:15~12:45(A209号室)


諸事情により2018―2019年度の大会及び組合の活動方針の策定が遅れています。組合の今後1年間の活動方針について組合員及び非組合員の職員の方のご意見をいただくための職場集会になります。

*組合員で無い方も含めて当日の飛び込み参加も歓迎ですが、出来るだけ
ycu.staff.union(アット)gmail.com
まで事前申込をお願いします。1月4日(金)までに事前申し込みをいただいた方には組合で昼食を用意します。

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2018年12月10日月曜日

職場集会開催のお知らせ(12/19水:八景キャンパス)

10月末の緊急職場集会に引き続き八景キャンパスにおける労基署の指導に基づく超勤縮減に関する職場集会を開催します。

前回は「10月の超勤60時間以上をゼロに」という指示に関する実態把握を目的としていましたが、今回は「11月の11月の超勤45時間以上をゼロに」という最終目標及び12月に入って以降の実情の把握を目的としています。

前回職場集会では、「月60時間以下」という目標が概ね達成されそうであること、しかし、一部にそれを超えそうと思われる事例があること、縮減の具体的な方策を部下に丸投げしている部署も一部存在していることなどが明らかになりました。

今回は「月45時間以下」というそれよりも厳しい基準になります。業務自体が効率化され無理なく達成されているのであれば、もちろんそれ自体は望ましいところですが(ただし、前回書いたように「では、今までは何だったのか」という別の問題は浮上しますが)、さらに厳しくなるノルマがサービス残業、持ち帰り残業等により「公式には達成されたことになる」といった事態は、ありがちで、かつあってはならないものです。

10月、11月、12月半ばまでの実態に基づいて、組合として対応が必要なものに対しては当局側に協議を申し入れることを予定しています。できるだけ多くの職場から参加していただくようお願いします。

日程は下記の通りです。

12月19日(水) 12:15~12:45 (八景キャンパス 組合事務室)

*組合員で無い方も含めて当日の飛び込み参加も歓迎ですが、なるべく
ycu.staff.union(アット)gmail.com
まで事前申込をお願いします。12月14日(金)までに事前申し込みをいただいた方には組合で昼食を用意します。

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2018年11月29日木曜日

10月24日緊急職場集会開催報告

10月24日に緊急職場集会を開催しました。

既報の通り、金沢八景キャンパスが横浜南労基署から数年にわたる指導の末、とうとう「45時間以上の残業をゼロとする」よう指導されてしまい、それ受けて経営側より「10月の超勤60時間以上をゼロに、11月の超勤45時間以上をゼロに」するよう指示が出たことに対して、各職場の実態、特に開催のお知らせに書いたような「現場の職員のサービス残業と持ち帰り残業」による目標達成や、これまでにもあったように「どうやったらいいかは自分で考えろと言われる」ような事態が起こっていないか、把握することを目的としたものです。

当日はすべての職場から出席があったわけではありませんでしたが、八景キャンパスの大部分の職場について10月1日から10月24日までの情報を集めることができました。

それによると、もともと「全員の残業が月60時間以下」の状態だった少数の職場以外についても、多くは「全員月60時間以下」になりそうということで、第1段階についてはおおむねクリアされそうな見通しであることが分かりました。

ただし、当日出席者には「10月60時間を超えそう」な人はいなかったものの、同じ職場内や近接する職場での「あれでは60時間を超えるのでは」という事例がいくつも指摘されました。また、「どうやったらいいかは自分で考えろと言われる」事態も事前の懸念通り発生していました。「managementしない人」はmanager(管理職)ではないはずなのですが。

もう一つ、このようなことを労働組合が指摘することは変に思われるかもしれませんが、労基署に本気で怒られた途端に翌月には多くの残業が36協定の範囲内に収まってしまうのであれば、これまでは一体何だったのかという問題も出てきます(本当にサービス残業や持ち帰り残業が一部にとどまるという前提での話ですが)。

これまで組合は、執行委員に大学経営を専門とする「大学専門職」が加わっていることもあり、「経営の非効率さ」を本学の問題点の一つとして指摘し続けてきました。

組合にとってそれがなぜ問題かというと、本学の法人化時の大学不要論のあれこれにとどまらず、(学習会では複数回にわたって取り上げてきましたが)日本の高等教育システムにおける公立大学(高等教育機関)の位置づけに起因する本質的不安定性を考慮すると、たとえば類似の大学をベンチマークとした場合にあまりにも人件費率が高い、対学生比での数値が高いなどの状態が続けば、いずれ人件費の削減(給与の抑制や削減、人員整理等)、最悪の場合、「公立大学としては不要」という事態につながる可能性が高いからです。もちろん本質として非営利組織である大学においてST比やSS(スタッフ)比が類似大学より低い(学生数に比べ教員や職員が多いので、より手厚い教育や教育支援が可能になる可能性が高い)、教員1人当たりの職員数が多いといったことはそれ自体として直ちに問題になるものではありません。少なくとも全体整合性を持ち適切で明快、継続性のある経営戦略に基づく選択であり、運営自体も適切になされているのであれば。しかし、漫然と採用や人員増、業務増、組織・施設の増設を続けるようなことは、現下の大学をめぐる諸環境を考えればあまりにもリスキーです。

実際、「固有常勤職員」を、「一度に大量に」、しかも「ほぼ全員20代」で採用した結果、ここ数年、つまり法人化後10年ほどが経ち固有常勤職員の大半が30代半ばになった時点で「市職員と同様に給料が上がって行くと人件費負担が重過ぎる」(そうなることは採用時点で分かりきっているのに)として給与抑制の動きが表面化し、組合は関係する交渉に追われています。数年がかりの交渉で何とか常勤固有職員(現在は固有職員の総合職)の「住居手当」そして「勤勉手当」と「月例給」の運用の一部のみで影響を喰い止めてはいますが、誰であれ年齢は1年に1歳ずつ上がって行くわけで、この問題は今後20年~30年、しかも時間が経過するほど深刻化していくことになります(職員数がまたさらに増加したことを考慮するとなおのこと)。

本来、このような事態の責任は、当然ながら「人事制度を設計し、採用計画を作成、承認、実行した」経営側にあるのですが、3年程度で次々に変わっていく横浜市OBと横浜市派遣職員が責任を取るとはとても思えず(それどころか、問題が顕在化した時点では何故そうなったかすら判らなくなっているor「大学」が「自分で」やったこととされる可能性が高そうです)、ただ、残された「つけ」だけが係長以下の固有職員に廻されるという未来図が浮かんできます。

さて、11月の達成目標は「全員月45時間以下の残業です。11月の実態を踏まえ必要な行動を取って行くことになります。

問題が発生している場合、組合への情報を提供をお願いして、この稿を終わります。

E-mail: ycu.staff.union(アット)gmail.com

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2018年11月12日月曜日

5月以降の組合の諸要求等への対応について(要求)

本年5月以降、組合が提出した要求等に関し対応が遅れているものについて対応を督促、あるいは対応について確認を求める要求書を提出しました。

それぞれの問題に関する一番新しい組合ニュースの記事は下記の通りです。


①住居手当問題 
「住居手当問題に関する要求書」

②大学専門職問題
「大学専門職問題」
(今回の要求書は、この記事の後に出した要求書に係るものですが、その内容については公表していません)

③一般職の処遇に関する問題
「一般職の処遇に関する要求書」

④一般職・専門職の12月期の勤勉手当について
「一般職・専門職の12月期の勤勉手当について(回答)」


上記のうち、①住居手当問題については、5月の要求書提出時に「具体的な交渉は、秋に今年度の横浜市人事委員会勧告が出て市職員給与の方向性が明らかになってから」と口頭で確認しており、10月10日に市人事委員会勧告が出されたことを受けて催促を行ったものです。要求書を手渡した際に、当局側も確認通りに進める意思を示したので、近く交渉が開始されることになると思われます。また、③一般職の処遇に関する問題についても(給与についてだけ要求しているわけではありませんが)、固有職員総合職の住居手当の問題と並行して進めることが示唆されたので、こちらも同様に近く交渉開始となりそうです。

また、④一般職・専門職の12月期の勤勉手当については、当局への回答後、組合ブログ等でさらに一般職の実態に関する情報が寄せられたことを踏まえ、再度、当局側提案の実施を見送ることを求めました。

2018年9月26日
公立大学法人 横浜市立大学
理事長 二見 良之 様
横浜市立大学職員労働組合 執行委員長
横浜市従大学支部 支部長 三井 秀昭

5月以降の組合の諸要求等への対応について(要求)

市民から期待され信頼される大学教育と運営の確立に向け、日頃の取り組みへのご尽力に敬意を表します。

さて、本年5月以降の組合の諸要求等への対応について以下の通り要求します。

  1. 「住居手当問題に関する要求書」(5月24日付):10月10日に今年度の市職員の給与に関する横浜市人事委員会勧告が出ており、その対応も含めて速やかに交渉を開始すること。
  2. 「大学専門職に係る再要求書」(7月30日付):要求より3か月以上が経過しており、速やかに回答すること。
  3. 「一般職の処遇に関する要求書」(9月26日付):要求より1か月以上が経過しており、速やかに交渉を開始すること。
  4. 「一般職・専門職の12月期の勤勉手当について(回答)」(9月26日付):組合回答を受けた当局側としての対応について明らかにすること。また、回答で記したように、仮に当局側の論理に立つとしても、その前提である「MBOの設定、評価が適切に行われている」という条件は全く満たされておらず、この点については、回答後も当該回答を紹介した組合のブログに当事者からの詳細な実態の指摘が投稿されるなどしている。提案内容の強行は当局側の意図する「一般職の士気の向上」ではなく、逆に「一般職の士気の低下」につながる可能性が高く、最低でも今年度は実施を見送り、MBOも含め一般職制度と運用の実態について把握と検証を行われたい。
以上
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2018年10月11日木曜日

緊急職場集会開催のお知らせ(10/24水:八景キャンパス)

毎年恒例と化しつつある観がありますが、先日、八景キャンパスに横浜南労基署の調査(臨検監督)が入りました。その結果、36協定違反の残業が依然として続いているとして、「45時間以上の残業をゼロとする」よう指導があった模様です。

それを受けて、経営側より「10月の超勤60時間以上をゼロに、11月の超勤45時間以上をゼロに」するよう指示が出ました。

それ自体はもちろん望ましい話ではあるのですが、問題はその「望ましい状態」を「現実化するための具体的な方法とプロセス」です。ありがちな話ですが「現場の職員のサービス残業と持ち帰り残業」により目標が達成されるようなことになっては、却って状況は悪化してしまいます。

労基署から残業の縮減を指導されるのは何も今回が初めてではなく、少なくとも数年前よりずっと続いていたのですが、それに対する現実化のための方策はと言うと、「管理職から残業をしないよう仕事のやり方を工夫するようにと指示されたが、無理」、「どうやったらいいか指示を求めたが自分で考えろと言われた」等の訴えが組合に寄せられるという「現場任せ」のものでした。

今回は目標実現への意気込み(?)が尋常ではなく(事務局長名での通知文には「各所属長においては~目標必達をお願いします」とあります)、であるからこそ却って上記のような事態が懸念されます。近いところでは東芝の「チャレンジ」や日産の「コミットメント(必達目標)経営」、古くは「天長節マデニインパールヲ攻略セントス」とか「天佑ヲ確信シ、全軍突撃セヨ」のような事態は(目的が「残業の合法レベルまでの抑制」であるだけになおのこと)避けなければなりません。

そこで、この問題に絞って緊急に職場集会を開催することにしました。各職場における実態を把握し、問題がある職場については必要な対応を行いたいと思います。

日程は下記の通りです。

10月24日(水) 12:15~12:45 (八景キャンパス 組合事務室)

*組合員で無い方も含めて当日の飛び込み参加も歓迎ですが、なるべく
ycu.staff.union(アット)gmail.com
まで事前申込をお願いします。10月19日(金)までに事前申し込みをいただいた方には組合で昼食を用意します。

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2018年10月4日木曜日

一般職・専門職(旧嘱託職員・契約職員)の12月期勤勉手当について

9月4日、突然当局側より連絡があり、下記の「一般職・専門職の12月期の勤勉手当について」の提示を受けました。一般職、専門職について12月のボーナスのうち、勤勉手当については評価に基づき較差を導入したいという提案です。

平成30年9月4日
人事部人事課

一般職・専門職の12月期の勤勉手当について

一般職・専門職の新設に伴い、勤勉手当の成績率と分布率について提示します。

1 上位割合について
中間期の人事考課結果がS評価又はA評価の場合に勤勉手当を加算します。
成績率分布率
5%10%

2 下位割合について
中間期の人事考課結果がC評価又はD評価の場合に勤勉手当を除算します。
成績率分布率
▲5%絶対評価

3 スケジュール
平成30年9月19日(水) 回答期限
9月20日(木) 中間期振返りの依頼
9月下旬~ 中間期振返り面談
10月下旬 人事考課の運用に関する検討委員会


※旧契約職員の勤勉手当の取扱いについて
旧契約職員は制度変更に伴う激変緩和措置として、平成30年度に限り、旧制度における支給方法を適用し、平成31年4月から新制度による支給方法へ移行します。そのため、旧契約職員が平成30年度の人事考課において、12月期の勤勉手当の加算対象となった場合は、加算相当分を平成31年6月期の勤勉手当と併せて支給します。

一般職、専門職については、昨年度、労働契約法の改正を受け、嘱託職員、契約職員を終身雇用の新たな制度に移行するとの提案を受けて交渉を行いました。
https://ycu-union.blogspot.com/2017/06/blog-post.html
https://ycu-union.blogspot.com/2017/06/blog-post_22.html
https://ycu-union.blogspot.com/2017/07/710.html
https://ycu-union.blogspot.com/2017/07/blog-post_13.html
https://ycu-union.blogspot.com/2017/07/blog-post_18.html
https://ycu-union.blogspot.com/2017/07/blog-post_27.html
https://ycu-union.blogspot.com/2017/07/blog-post_42.html
https://ycu-union.blogspot.com/2017/12/blog-post.html
https://ycu-union.blogspot.com/2017/12/blog-post_23.html
https://ycu-union.blogspot.com/2017/12/blog-post_27.html

上記の組合ニュースにあるように、組合としてはもともと任期制の撤廃、終身雇用化を要求していたので終身雇用化自体に反対する理由はないものの、特に嘱託職員については給与が横浜市の嘱託職員に比べ非常に低く、その点を放置したまま新制度に移行することには問題があるとして、新制度への移行を了解後も、新制度発足と同時に給与も引き上げるよう求めて交渉を続けていました。残念ながら新制度発足までに当局側の譲歩を勝ち取ることは出来ず、この点については継続協議ということになっていました。

また、ちょうど当局側の提案を受けた直後に職場集会が予定されており、組合としては、その場で該当の職員の方のこの提案と新制度発足後半年余りを経ての実態についてのご意見等を踏まえ対応を決定することにしました。
https://ycu-union.blogspot.com/2018/08/921922.html

その結果、組合員、非組合員の該当の職員の方々から多岐にわたり問題点の指摘があり、それらを集約の上、9月26日付で以下の通り当局側に対して回答を行いました。

2018年9月26日
公立大学法人 横浜市立大学
理事長 二見 良之 様
横浜市立大学職員労働組合 執行委員長
横浜市従大学支部 支部長 三井 秀昭

一般職・専門職の12月期の勤勉手当について(回答)

9月4日付で提案された一般職・専門職の12月期の勤勉手当について、以下の通り回答します。


今回提案は、この4月より契約職員、嘱託職員から移行した一般職、専門職について期末手当のうち勤勉手当に関して評価に基づき較差をつけようとするものである。しかしながら、少なくとも一般職については、以下の疑問点があり、当局側提案通りの内容で実施に移すことは問題があると考える。

  1. そもそも基本的に定型的業務を中心とするはずの一般職において較差を設けることは疑問がある。
  2. 組合としては上記のように較差の導入自体に賛成できないが、提案の内容の細部を見ても、5段階評価のうち、上位2段階で加算、下位2段階は除算というのは極端であり、特にC評価で減額を行うのは問題があるのではないか、SとA、CとDが同額というのはおかしいのでは等、どのような観点から設計されたものか疑問を覚える。
  3. 一般職に対する業務の割り当て、MBOの設定、評価については、実際の各職場において、かつての嘱託職員としての位置付けをそのまま受け継いだもの、嘱託職員よりも重い位置づけにしたもの、時に総合職のそれを含む場合など混乱が見られる。これはそもそも制度改正提案当初においては「雇用契約法改正に対応し終身雇用化するための制度改正で業務内容は変わらない」「そのため年間給与総額も変わらない」という説明だったものが、妥結後、制度発足直前になって「一般職になったのだからこれまでとは違う」などの言説が現場レベルで出回るなど、妥結後に一般職の位置付けを曖昧にしたことに起因しているのではないか。処遇較差の導入は、業務の割り当て、MBOの設定、評価が適切であることを前提とするものであり、それらの前提条件が満たされているのか、重大な疑問がある。
  4. 「職員人事考課実施要領」を見る限り、一般職に対しても総合職と同様の評価基準を適用するもののように思われるが、これも業務の違いを無視したものであり疑問がある。
  5. 以上のような状況、加えて合意時にも確認したように本学一般職の月額給与は横浜市の嘱託職員を大きく下回っており、このような条件下において多大な手間をかけて評価とそれに基づく処遇較差を導入するよりは、評価に係るコスト分も含め、本俸等の一般職全体の処遇の改善に廻す方が望ましいと考える。
  6. 近年ようやく改善されてきていたが、法人化以降、長期に渡って組合側の要求に対しては、そもそも交渉に応じなかったり長期間回答を行わなかったりする一方、当局側提案に対しては数日~数週間で回答を要求するなど労使対等の原則、誠実交渉義務に反する状態が続いていた。今回提案は、一般職に対する評価に基づく較差の導入という重大な問題であるにも関わらず、当局側が提案を行ったのは回答期限のわずか2週間前で実質的に交渉は困難であり、組合の当初提案への同意を前提とするが如きスケジュール設定は極めて遺憾である。
以上

このように、今回の当局側の提案は、一般職についてはそのまま実施に移すのは問題が多すぎるとして組合としては反対を表明しました。また、継続している給与面だけの問題だけでなく、職場集会で寄せられた多数の問題について、まとめて次項の通り要求書として取りまとめ、回答と同時に当局側に手渡しました。

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一般職の処遇に関する要求書

上記の通り、職場集会で寄せられた意見を取り纏め、7項目の要求として当局側に提出しました。今後、実現を目指して交渉を行って行きます。繰り返し呼び掛けていますが、交渉を少しでも実現するために大切なのは組合に加入する人が一人でも増えることです。現状がおかしいと思う一般職の方には、是非加入を検討ください。
https://ycu-union.blogspot.com/p/blog-page.html

2018年9月26日
公立大学法人 横浜市立大学
理事長 二見 良之 様
横浜市立大学職員労働組合 執行委員長
横浜市従大学支部 支部長 三井 秀昭

一般職の処遇に関する要求書

市民から期待され信頼される大学教育と運営の確立に向け、日頃の取り組みへのご尽力に敬意を表します。

さて、標記の件については、昨年度、嘱託職員、契約職員から一般職への移行について妥結した際、本学一般職の月額給与は横浜市嘱託職員と比較し大きく下回っており、この点に関する改善の交渉を継続することを条件としていたところです。

新制度発足以降、約半年が経過し一般職の業務実態が明らかになってきたことから、上記の横浜市嘱託職員との給与格差の改善も含め、以下の通り一般職の処遇改善について要求します。

  1. 横浜市嘱託職員に比べ4万円以上の較差がある月額給与について、同額に引き上げること。
  2. 一般職のパートタイムとフルタイムでは1時間当たりの給与額で大きな差がつけられており、このためパートタイムの一般職が残業してフルタイムの一般職と同じ時間の労働を行っても残業手当を含めた給与額はフルタイム一般職の給与を大きく下回っている。一部には残業が恒常化し、実際の労働実態がフルタイムの状態となっているケースもある模様である。同様の職種で同様の業務を行っているにもかかわらずこのような格差は不合理であり、パートタイムの一般職の1時間あたりの給与はフルタイムの一般職の給与と同額とすべきである。
  3. 制度変更提案時の説明では、一般職の業務内容は当時の嘱託職員と同様とのことであったが、実際には総合職の業務を一部負担している事例も発生している。一般職の年間給与総額を嘱託職員時代と同額に抑える根拠として当局側が挙げたのが業務内容は変わらないという点であり、業務内容が変更されるのであれば、当然、それに見合った処遇の変更が行われるか、あるいは一般職としての業務以外を課すべきではない。
  4. 一般職の位置付けが妥結後に曖昧になったこともあり、業務の割り当て、MBOの設定、評価について混乱が生じ、一般職の評価、処遇に対する不信を招いている。また、「職員人事考課実施要領」を見る限り、一般職に対しても総合職と同様の評価基準を適用するもののように思われるが、これも業務の違いを無視したものであり改善を求める。
  5. フルタイムを希望したにもかかわらずパートタイムとされた例がある一方で、多くの嘱託職員がフルタイムとして移行した部署もある模様であり、これらの部署間の取り扱いの較差について説明を求めるとともに、少なくとも残業が常態化し、実際にはフルタイムの勤務状態になっている一般職については、本人が希望する場合フルタイムに変更することを求める。
  6. 4月時点で勤務期間が一般職への移行基準を満たさないとして嘱託職員にとどめ置かれた職員がいる一方で、4月以降に採用された非常勤職員がごく短期間に一般職に移行する事例も発生している模様である。制度運用の公平性が疑われるものであり、説明を求める。
  7. 異動を希望する一般職については、総合職と同様に対応する事を求める。
以上

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2018年8月27日月曜日

職場集会(9/12水:福浦、9/13木:八景)開催のお知らせ

職場集会を以下の日時で開催します。


福浦キャンパス: 9月12日(水)12:15~12:45(臨床研究棟 A209号室)

八景キャンパス: 9月13日(木)12:15~12:45(本校舎 職員組合事務室)


手が廻らない状況が続いて、学習会は辛うじて開いたりもしましたが、職場集会は実に久しぶりとなってしまいました。

新年度に入ってからの状況について報告するとともに、特に3月まで非常勤職員で4月以降一般職員となった方には、4月以降の業務の状況についてお伺いして当局側との処遇改善交渉を始めたいと考えています。組合員、非組合員を問わず大勢の方に参加していただけると助かります。

本当は新年度早々に着手するつもりで一部の方には予告もしていたのですが、組合役員自身が交渉の対象になってしまい身動きが取れませんでした。状況は一向に改善していないのですが、全く見通しが立たない状況できりがないので何とか他の問題への取り組みも動かし始めたいと思います。


*福浦キャンパスが12日、八景キャンパスが13日です。福浦キャンパスの開催場所にもご注意ください。

*組合員で無い方も含めて当日の飛び込み参加も歓迎ですが、なるべく
ycu.staff.union(アット)gmail.com
まで事前申込をお願いします。9月9日(日)までに事前申し込みをいただいた方には組合で昼食を用意します。

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2018年7月12日木曜日

「労働組合って?(Q&A)」改訂しました

横浜市立大学職員労働組合、そして労働組合が何をしているのか、何をできるのかなどについてお知らせするために作成した「労働組合って?(Q&A)」ですが、バージョンアップをさぼっている間に職員も教員も任期制でなくなるなど現状と合わなくなってしまったため全面的に改訂しました。項目ごとに関連する「組合ニュース(公開版)」へのリンクも貼ってみました。一読いただければ幸いです。ご覧になって組合に加入していただければもっと幸いです。

こちらのページをご覧ください。

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2018年6月29日金曜日

学習会「横浜市立大学の特色ある入学者選抜 ~英語資格要件と多様な特別入試~ 」、「政府主導型大学再編と横浜市立大学 -中央教育審議会大学分科会審議状況から- 」開催報告

組合ニュース(公開版)で既報の通り、5月16日6月14日、そして6月20日に学習会を開催しました(6月14日及び6月20日については教員組合と共催。6月20日の回については6月14日の内容の簡略版です)。

5月16日は、組合副委員長の出光が「横浜市立大学の特色ある入学者選抜 ~英語資格要件と多様な特別入試~ 」と題して、①国内における大学入試の類型、国公立大の入試等の日本の大学入試の全体像の概要と②横浜市大における特別選抜の英語要件の整備、AO入試や指定校推薦入試の概要、国際バカロレア入試の導入等の取り組み、そして③横浜市大アドミッションズセンターの機能・役割について紹介しました。

6月14日及び6月20日については、組合書記長の菊池が「政府主導型大学再編と横浜市立大学 -中央教育審議会大学分科会審議状況から- 」と題して、①高等教育政策が教育政策という独立した政策領域の一つというよりは経済産業政策の一部となっている、法令によらない首相直属の有識者会議が次々と設置され短期間で高等教育政策の大枠を決定、文科省や中教審はその具体化のための細部の検討や実行のための機関という位置づけが強くなり、高等教育政策の「外部化、大量・高速処理化」が進んでいる等の近年の構造的特徴と、②2月、3月に中教審大学分科会の将来構想部会及び制度・教育改革ワーキングに提示された「大学進学者数将来推計」、「人材養成の3つの観点」、「大学等連携推進法人(仮称)」という3つのアジェンダの概要と疑問点、そしてそれらを組み合わせると政府主導による大学再編の構図が浮かび上がり、公立大学も当然対象に含まれること、また、首相直属の人生100年時代構想会議の資料によれば、その開始は2020年とされていることなどを紹介しました。

参加者は5月16日の回が12人、6月14日は8人、6月20日が14人でした。久方ぶりの開催となったこともあって参加者はかなり少ないだろうと見込んでいたのですが、蓋を開けてみると予想を超える盛況となりました。

第1回の予告に書いたように(執行委員である大学専門職2人の雇用労働環境が未だに不安定な状態であることもあり)、定期的、継続的な開催は難しい状況なのですが、特に高等教育政策については、学習会の開催前後の6月13日から15日にかけて首相直属の有識者会議、そして閣議で重要な決定が相次いでおり、可能な範囲での再度の開催も考えてみたいと思います。

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2018年6月1日金曜日

住居手当問題に関する要求書

20代、30代の法人固有職員の住居手当については、2014年度の横浜市における引き上げを受けて、それ以降、延々と交渉を続けてきました。昨年度は給与体系自体の変更、評価制度の変更、非常勤職員制度の変更と大きな交渉が続き、結果的には住居手当に関する交渉を行う余裕がなく、市職員との月額での差が10100円(この4月より9600円)という状態が続いてきました。上記の各種案件が一段落したため、改めてこの問題についての交渉再開を要求したものです。

実際の交渉再開までは若干の時間がかかる見通しですが、交渉の状況については随時、組合ニュースや職場集会を通じてお知らせしていきます。

2018年5月24日
公立大学法人 横浜市立大学
理事長 二見 良之 様
横浜市立大学職員労働組合 執行委員長
横浜市従大学支部 支部長 三井 秀昭

住居手当問題に関する要求書

市民から期待され信頼される大学教育と運営の確立に向け、日頃の取り組みへのご尽力に敬意を表します。

さて、標記の件については、横浜市における2014年度の市人事委員会勧告-20代、30代職員の住居手当をそれまでの9,000円から18,000円に引き上げる-を受けて、以後3年以上に渡って断続的に交渉を行ってきました。

本年4月よりの20代、30代の固有「総合職」に関する500円の引き上げでこれらの職員の住居手当は月額で10,000円となりましたが、横浜市における20代、30代職員の住居手当は、2016年度の市人事委員会勧告に基づきさらに1,600円引き上げられ月額19,600円となっており、大きな格差が生じています。また、2017年1月以降においては、交渉項目に一応住居手当の取り扱いも含まれていたものの、給与体系の変更、人事評価制度の変更等についての交渉に忙殺され、実際には住居手当に関する交渉は行われませんでした。

2016年8月31日及び2016年11月29日の住居手当は継続協議事項とするとの合意に基づき、この問題に関する協議を再開するよう求めます。

以上

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2018年度第2回学習会「政府主導型大学再編と横浜市立大学 -中央教育審議会大学分科会審議状況から-」のお知らせ(職員組合・教員組合共催)

今年度第2回の学習会についてご案内します。

昨年3月、文科大臣から「概ね 2040年頃の社会を見据えて,目指すべき高等教育の在り方やそれを実現するための制度改正の方向性などの高等教育の将来構想」についての審議が中教審に諮問されました。それ以降、大学分科会の下に設置された将来構想部会、制度・教育改革ワーキングを中心に多数かつ多岐にわたる事項についての審議が急ピッチで行われています。

昨年の12月28日付で将来構想部会の名前で、一旦、「今後の高等教育の将来像の提示に向けた論点整理」が取りまとめられ公表されていますが、その後も審議は続き、6月中に中間まとめ、秋には答申が行われることが予告されています。

上記のように、審議されている事項は多数かつ多岐にわたるのですが、「論点整理」から現在までの5か月の間に出て来た項目で注目すべきものとして「大学進学者数将来推計」「人材養成の3つの観点」「大学等連携推進法人(仮称)」が挙げられます。

このうち「大学進学者数将来推計」については2月の組合ニュース(公開版)で少し触れましたが、推計と言っても進学率と18歳人口の双方について推計するのではなく、まず進学率の上限を設定し、その条件下で過去のトレンドに基づき都道府県、男女別に進学率を計算、それを18歳人口推計値にかけ合わせて進学者数を算出するという「計画」や「政策的想定」に近い性格のものです。これに国公私全ての大学が(大学単位か学部、研究科といったより下部の単位かは未確定ですが)3つの中から選択する「人材養成の3つの観点」、一般社団法人という登記だけで簡単に設立できる既存の枠組みをそのまま流用し「共同教育課程」、「学生の転学を含めた法人全体での支援」、「入試業務の共同実施」、「事務の共同実施」、「産学連携のワンストップサービス」等々の機能を持たせることが予定され、資金面でも財産の拠出による基金の設立や収益活動が可能な「大学等連携推進法人(仮称)」とを併せると、先進国としては類例のない政府の主導下における大規模な大学再編や分野、定員等の整理といった展開までが可能となる枠組みが浮上してきます。会議資料には出ていませんが、一部報道によれば「大学等連携推進法人(仮称)」の運用開始は2020年を目指しているとのことです。国立大学の「一法人複数大学化」も同じく一部報道で2020年からとされており、政府としては大学再編の始動を2020年と考えていることが伺えます

今回は、この中教審大学分科会の部会、WGにおいて展開されている3つの検討項目について紹介するとともに、(中教審も含めた)文科省における検討の大枠が外部で予め決定されている近年の高等教育政策の特異な構造的特徴とその志向性についても取り上げ、今後の展開とその中での横浜市大の将来と課題について参加者の皆さんと共に考えてみたいと思います。

なお、今回は職員だけでなく大学の構成員全体に関わる、しかも相当に深刻なテーマであるため、教員組合に共催を呼びかけたところ、ご賛同をいただいたので両組合共催での学習会となります。また、1時間のフルバージョンと30分の簡略版(こちらは「大学進学者数将来推計」、「人材養成の3つの観点」、「大学等連携推進法人(仮称)」についての紹介と今後の政策的展開に重点を置き、高等教育政策の構造的特徴についてはごく簡単にするか省略の予定です)の2回を用意しました。ご都合や関心に応じて選択ください。

日時、場所は下記の通りです。


【日時・場所】

6月14日(木) 18:45~19:45
金沢八景キャンパス 文科系研究棟2階 第2会議室

6月20日(水) 12:15~12:45(こちらは簡略版です)
金沢八景キャンパス 職員組合事務室

  • 資料準備の都合上、「6月14日(木) 18:45~19:45」の回については、6月12日(火)までに ycu.staff.union(アット)gmail.com までお申し込みください。
  • 「6月20日(水)12:15~12:45」の回については、6月18日(月)までにycu.staff.union(アット)gmail.com までお申し込みください。また、この回に限り、6月15日(金)までに参加申込みの「職員」の方について、組合で弁当を用意します。
  • 組合事務室の場所については、http://ycu-union.blogspot.jp/2015/09/916.html をご参照ください。
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2018年4月24日火曜日

2018年度第1回学習会「横浜市立大学の特色ある入学者選抜~英語資格要件と多様な特別入試~」のお知らせ(5/16水)

昨年度は第1回の学習会「大学職員のゆくえ -SD義務化元年を迎えて- 」のお知らせで書いたように、定期的・体系的な学習会の開催は難しく、4月と6月に1回ずつ開いた後はそれどころではないまま1年が終わってしまいました。

今年度も状況は似たようなものなのですが、そうしているうちにも”大学改革“は昨年度の第2回学習会「「高等教育政策の新展開」で取り上げた「現在の高等教育システムの根幹部分に関わるような“改革”に着手しようとする方向性(国公私を超えた大学再編や経営困難校の撤退のための枠組み整備等)」の検討がここ数か月で本格化し、また、2020年からの大学入学共通テストの枠組みも固まり、大学、高校も含め実施に向けて本格的に動き出すなど、また新たな段階へと踏み込もうとしています。

最初に書いたように、定期的、継続的な開催は難しい状況なので、とりあえず組合役員の大学専門職2名が、簡単に準備できるそれぞれの専門分野での動向、対応等についてお話しする形で2回、実施します。

第1回は入試改革と横浜市大における入試の特色、今後の展開等について取り上げます。

日時、場所は下記の通りです。

【日時・場所】
5月16日(水) 12:15~12:45
金沢八景キャンパス 職員組合事務室

* 資料準備の都合上、5月11日(金)までに ycu.staff.union(アット)gmail.com までお申し込みください。また、5月11日(金)までに参加申込みの方には組合で弁当を用意します。
* 組合事務室の場所については、http://ycu-union.blogspot.jp/2015/09/916.html をご参照ください。

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2018年4月9日月曜日

インフルエンザ罹患時の病気休暇の特例について

今年度より、インフルエンザ罹患時の療養に限って、これまでは診断書がなければ連続3日以内だった病気休暇の取得が連続5日以内まで可能となりました。これは、昨年度末、横浜市において横浜市労連が市に対して要求、交渉の結果獲得されたもので、その成果が大学の職員に対しても同様に適用されることになったためです。

病気休暇の請求には、診療を受けたことが確認できる領収書等とインフルエンザに罹患したことが確認できるものとしての検査結果や罹患証明書、インフルエンザ治療薬の薬袋などが必要になります。これらを提示すれば実費負担が必要になる診断書は必要ありません。

特に福浦の医学部キャンパスにおいては、インフルエンザに罹患した場合、他への感染を防ぐため休まないわけにはいかず、かつインフルエンザについては学校保健安全法施行規則で「発症した後五日を経過し、かつ、解熱した後二日を経過するまで」が出席停止期間とされているなど、これまでの3日の病気休暇では不十分でしたが、今回の改善で病気休暇のみで療養に必要な期間が確保できる可能性が高くなりました。

実際の取得申請で問題がある場合などは組合に相談してください。

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2018年3月15日木曜日

住居手当問題に関する質問書への回答

2月24日付組合ニュース(公開版)で報じた、来年度よりの40歳未満の法人固有常勤職員の住居手当についての当局側の計画に関する質問書に対して、3月13日、回答がありました。

これは2月24日付組合ニュースに書いたように、住居手当の今年度、来年度の扱いについて交渉及び合意が行われないままとなっている状況下、まずは当局側としての計画がどうなっているのか、確認を求めたものです。

回答は以下の通り、昨年度における当局側の提案時に示された通り来年度4月より500円引き上げ月額10,000円とするというものです。この件については、昨年、他の交渉の際に口頭で質した時には「財政上の問題もあるので……」と口を濁しながらも引き上げないことを示唆していたのですが、最終的には予定通り引き上げることとしたようです。

これにより、来年度の40歳未満の法人固有常勤職員と横浜市職員の住居手当の格差は500円縮まり、月額9,600円の差となります。

昨年度の合意は「固有職員と市派遣職員の勤務条件については、できる限り同じことが望ましい」という原則の確認と引き換えに「28年度に限ってはやむを得ない側面もある」として500円の引き上げに留まることを認めたものであり、依然として市職員との間に月額で1万円に近い格差が存在している以上、「法人固有職員と市職員の処遇は同等であるべき」という原則に基づき同額への引き上げを求め4月以降、交渉を行って行きます。

人 第996 号
平成30年3月13日
横浜市立大学職員労働組合 執行委員長
横浜市従大学支部 支部長
三井 秀昭 様
公立大学法人横浜市立大学
人事制度推進部長 吉川 雅和

平成30年2月22日付「住居手当問題に関する質問書」への回答

昨年度の労使交渉の中でお示したとおり、平成30 年4月より、40 歳未満の借家・借間に居住する法人固有職員に対する住居手当の支給月額を、現行9,500 円から10,000 円に引き上げます。

以上

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2018年2月24日土曜日

住居手当問題に関する質問書

現在、40歳未満の本学の固有常勤職員と同じく40歳未満の横浜市職員の住居手当は月額で10110円の差が生じています。

この問題については、2016年度の横浜市の市人事委員会の勧告に基づく40歳未満の職員の住居手当の9000円から18000円への引き上げを受けて同様の引き上げを要求しましたが、当局側は財政難を理由に引き上げを拒否、最終的に2016年8月31日、2016年度については市に準じない月額で500円の引き上げに止めること、次年度に向けて適切な時期に話し合いを再開すること等で合意しました。
https://ycu-union.blogspot.jp/2016/09/blog-post.html

ところがその約1か月後、10月12日の横浜市人事委員会勧告で40歳未満の市職員の住居手当のさらなる引き上げ(月額1600円)の勧告が出たため直ちに交渉を再開したものの、当局側は財政難で横浜市には追従できないとして再び引き上げを拒否、組合としては「法人固有職員の処遇は原則として横浜市職員に準じる」という法人化時の合意に反するもので当局側主張を受け入れることは出来ず平行線が続き、11月29日付で一旦、継続協議とすることで合意しました。
https://ycu-union.blogspot.jp/2016/11/105003.html

さらに年が明けた2017年1月20日、当局側が固有常勤職員の給与体系自体の変更を提案してきたため交渉の焦点が移行し(一応、当初提案には住居手当の扱いも含まれていましたが、月給と賞与という給与の根幹をなす部分の変更であること、さらに重大なことに当局側は当初、法人化時の合意自体を否定するような言動を行っていたことから、そちらへの対応をより重視せざるを得ませんでした)、2017年9月13日に合意が成立したものの、住居手当に関する交渉はこの間、実質的に行うことができませんでした。
https://ycu-union.blogspot.jp/2017/01/blog-post.html
https://ycu-union.blogspot.jp/2017/09/blog-post_3.html

2016年度の当局側の提案には2016年度は500円の引き上げ、2018年度からさらに500円を引き上げという内容が示されていました。上記のように組合が当局側と合意したのはあくまでも2016年度の措置のみでその後の扱いについては合意に達していませんが、今年度繰り返し指摘しているように財政悪化とそれにも関わらず進められる経営拡大方針という状況下、当局側のプランとしてはどうなっているのか確認するため、以下の通り、質問書を提出したものです。

2018年2月22日
公立大学法人 横浜市立大学
理事長 二見 良之 様
横浜市立大学職員労働組合 執行委員長
横浜市従大学支部 支部長 三井 秀昭

住居手当問題に関する質問書

市民から期待され信頼される大学教育と運営の確立に向け、日頃の取り組みへのご尽力に敬意を表します。

さて、標記の件については、2016年8月31日に当該年度については市と異なり20代、30代固有常勤職員の引き上げは500円にとどめること、次年度に向けて適切な時期に話し合いを再開すること等で合意しました。その後、2016年10月12日の横浜市人事委員会勧告で40歳未満の市職員の住居手当のさらなる引き上げの勧告が出たことを受けて交渉を再開、11月29日付で継続協議について合意しましたが、2017年1月20日、当局側より固有常勤職員の給与体系自体の変更が提案されたため交渉の焦点が移行し、2017年9月13日に合意が成立したものの、住居手当に関する交渉はこの間、実質的に行われていません。
2016年度の扱いに関する合意の前提となった当局側提案では、2018年度より20代、30代の固有常勤職員について、さらに500円の引き上げを行う計画が示されていましたが、当局側としてのこの計画について現時点でどうなっているか、説明を求めます。

以上

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政府主導型大学再編の始まりと“戦略の醍醐味”(3.5)

余裕全くなしの状態なのですが、もし本当なら日本の高等教育の将来に重大な影響を及ぼしそうなデータが出てきたので、とりあえず紹介だけしておこうと思います。

この稿の(1)でも挙げた中教審諮問「我が国の高等教育に関する将来構想について」ですが、大学分科会の下部の将来構想部会と制度・教育改革WGで検討が行われ、年末の12月28日付(実際に文科省HPに掲載されたのは年明けでしたが)で「今後の高等教育の将来像の提示に向けた論点整理」が将来構想部会の名で公表されています。

その後も検討が進められているわけですが、2月21日の将来構想部会で「大学への進学者数の将来推計について」という資料が提示されました(ただし、当該資料は消されています。一時的なものなのかは判りません)。

内容については新聞各紙で一部が紹介されていますが、諮問の「概ね 2040年頃の社会を見据えて,目指すべき高等教育の在り方やそれを実現するための制度改正の方向性などの高等教育の将来構想」に基づき、2040年における県別、男女別に大学進学者数の推計を行ったものです。全体の数値については、報道にも出ていますが、2017年の約63万9千人から2040年は約50万6千人へと約12万3千人の減となるというものです。

ただし、試算方法の詳細については報道で触れられていません。

では、どのような条件設定で推計したかと言うと、①2014年から2017年の都道府県別、男女別の大学進学率の伸び率によって2040年まで進学率が上昇するとして推計、②男性の進学率が2017年度と比較して5ポイント以上上回った場合、そこで進学率は据え置き、③女性の進学率が男性を上回った場合、以降、男性の進学率と同値に、④進学率の伸びがマイナスの場合、2017年の進学率を維持、というもので、そもそも進学率が現在より5ポイント以上上回ることは無いという前提での推計です。このため大学進学率の推計も2017年の52.6%が2040年の57.4%と4.6ポイントの伸びにとどまるとされています。また、留学生、社会人学生数について、それぞれ2020年時点で現在より約2000人増、2022年で現在より約4000人増で18歳人口減による進学者数の減を補うには到底足りないとするものでした。

この推計について、委員からは「高専、短大が含まれていないが」、「パートタイム学生が増えるのでは」、「専門職大学で増える分は?」、「地方には増える余地がある筈」等々の意見、疑問が出たものの、部会長から「現状、専門学校を含め進学率約80%でこれ以上増える余地はない。あとは中での配置換えだけ。大枠は変わらない」という発言があり、同様に「もうこれ以上、細かい数字を言っても仕方ない」といった発言が2人の委員から続き、次回から叩き台を示して議論するという方向性が示され終わりました。

問題点を幾つか指摘しておきます。

第1に、進学率が5ポイント以上は上昇しないという仮定の根拠が説明されていません。

第2に、部会長の「現状、専門学校を含め進学率約80%でこれ以上増える余地はない。あとは中での配置換えだけ。大枠は変わらない」という発言自体はその通りかと思いますが、ここで問題になっているのは高等教育機関全体への進学率ではなく「大学」への進学率なので、「中での配置換え」は(実際に近年の大学進学率の上昇は短大からのシフトによる部分が大きいことを考えても)大きな意味を持ちます。と言っても、「中での配置換え」の数字を推定するのは難しい上に「専門学校からのシフト」など議論できるものではないでしょうから、政治的にも現在の高等教育各セクター間の異動は無いものとせざるを得ないというのもうなずけるところはありますが、現実離れした想定という問題は残ります。その条件では現在の入学定員に比べ約12万人もの定員割れが生じるという結論からすればなおのことです。

第3に、仮に、これまでに出されている「進学率が現状と同じとした場合」、「進学率が現在より10ポイント上昇する場合」などの試算についてはこれ以上検討せず、今回の試算だけに基づき今後の政策を検討することになった場合、約12万人もの定員割れを放置するという話にはならないでしょうから、欧米では類例のない「政府によるトップダウンの大学整理」へと舵を切る可能性が高くなります(そういえば明治時代にはありました)。ここ数か月、高等教育政策を事実上決定している官邸の「人生100年構想会議」の2月8日の第5回での総理の発言、「概ね以下の御意見を頂きました。(中略)少子化時代を迎え、国公私の枠を超えた大学の連携・統合を可能とする制度や、撤退・事業承継の制度的仕組を検討すべき。(中略)文部科学大臣には(中略)以上の論点について検討し、本構想会議に検討経過・結果をご報告いただき、そしてこの場で再度議論したいと考えております」もその方向性を示唆しています。

実はこのような「政府によるトップダウンの大学整理」は、韓国において2014年より着手され、現政権下においても一部修正の上、継続されているものです。この稿の(2)で「来るべき『政府主導型大学再編』はフランス型大学連合を表看板に、韓国の大学再編をマイルドにしたものを裏の看板として実行に移されることになるのかもしれません」と書いたのですが、本当にそうなりそうな気配になってきました。
https://ycu-union.blogspot.jp/2017/08/blog-post_23.html

その韓国の「構造改革政策」ですが、具体的には政府の定める基準により各大学を評価、「最優秀」~「退出」の6段階とし、「最優秀」以外の大学は評価レベルに応じ定員削減や“退出”を促すことになっています。2014年から2022年までの9年間で入学定員16万人の削減を目指し、前政権下での2016年までの3年間で目標の4間人を上回る4万4千人の削減を実現しました。分野的には理工系、医系を重視、人社系や教育、芸術が削減の対象となり、結果として構造的な再編成を進行させ、元々あった海外進学志向をさらに進め、国内進学率の低下につながっている模様です。韓国に比べ、“削減”しなければならない定員数がある程度少ないこと、9年で削減しようとしている韓国に比べ期間が長くなりそうなことから、韓国よりはソフトな取組みになるのかも知れませんが、いずれにせよ大変なことになりそうです。もともと少ない高等教育への公的投資が財政状況と“無償化”との関係でどうなるか分からないこと、私学セクターに長年依存してきた高等教育システムであるという構造的特徴を考慮すると、具体的には一体どうするのだろうと思います。右往左往した挙句、「みんなで少しづつ定員を削り合いましょう」という日本的結論になる可能性も否定できませんが。

「戦略」という観点からすれば、もし、上記のようなことに本当になるとするならば「戦略的(外部)環境の激変」ということになります。「日本政府」という予測困難なファクターによる影響が決定的な重要性を持つことになるので、何とも頭を抱えざるを得ない事態です。もっとも状況をうまく利用したものが最大の利益を得る?教育研究という非営利、長期的な営為の話の筈なのですが。

(菊池 芳明)

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2018年2月8日木曜日

大学専門職問題

本学の法人化後初代理事長予定者であった故・孫福弘氏がその持論に則って大学経営の新たな担い手として構想、制度化したはずの「大学専門職」については、孫福氏が法人化を前に急逝して以降、実際にはその趣旨を無視した運用がなされ多くの問題が発生してきました。いまや大学に残っているのは組合役員である2名のみとなっていますが、3年ごとの任期更新時を中心に様々な問題に見舞われてきました(このあたりは過去も組合ニュースの中で可能な範囲で様々に報じてきました)。今回の任期更新にあたり、前回更新時に「専門職人事委員会において学務教授としての審査を行うこと」を要望したものの「学務准教授が学務教授となることは想定していない」などとして審査自体を拒否されていた問題について、再度審査にかけることを求め、応じないのであれば組合役員に対する不当行為の疑いがあるとして組合として取り上げると通告していました。

その結果、専門職人事委員会終了後に「『横浜市立大学学務教授』名称付与基準」なる文書が示され、「この基準を満たしていないと判断したため、専門職人事委員会の審査自体にかけなかった」との説明がありました。

この「『横浜市立大学学務教授』名称付与基準」の内容に疑義があるため、組合として要求、ついで団体交渉要求を行い、説明を求めていました。

具体的には、
  1. 基準の1として挙げられている「直近3年間におけるMBOの総合評価(二次評定)がいずれも『A』かつ『S』が一つ以上」について、職員の評価はBが標準で、特にSは例外的につけられるものであること。また、それ以前の問題として、大学専門職を評価に当たって事務職員の一部として組み込み、その母集団の一部として同様の基準により相対評価を行うことは専門職としての独自性を無視しており不適切であること。
  2. 基準の2として「本学の大学運営に資する多大な貢献」としているが、具体的な基準が不明であり、いくらでも恣意的な解釈、運用が可能であること。
  3. 基準の3として「他大学では見られない顕著な実績」とあり、更に口頭で「他大学の同種の専門職と比べて顕著、という意味である」との説明があったが、同様に「顕著な実績」の具体的基準が不明で恣意的な解釈、運用が可能なだけでなく、「他大学の同様の職種に比べ顕著な」という基準自体、本学の教員、市派遣職員、固有職員、いずれにおいても「他大学の同様の職種と同様」以上の基準は求められていないはず(説明に当たった人事担当者自身も含め)である以上、著しく均衡を欠く不公正なものであること。
  4. 以上を満たすのは事実上困難であり、組合役員である2名を「学務准教授」にとどめ置くために作成された恣意的な基準である疑いがある。

という諸点についての説明を求めたものです。付け加えるならば、当該文書自体、作成日時も作成者も不明なもので、いつから存在するのか、今回の審査前に変更されたりしていないか全く不明です。

最終的に当局側は団交に応じましたが、団交およびその事前折衝の段階で当局側からあった説明は、
  1. 事務職員の評価は30%以上がA評価以上(うちS評価は5%以下)とされていて、S評価は実際にはこれまではあまり出してこなかったが今年度は出すようにしている。実現困難ではない。大学専門職の独自性については、大学専門職はあくまでも規程上、一般職員の一部である。
  2. 「大学運営に資する多大な貢献」については、教授及び診療教授の資格でも同様に定めている。「多大な貢献」な貢献の具体的内容について事前折衝で説明の必要は無いと言ったのは「多大」には色々あって説明できないということだ。
  3. 「他大学では見られない顕著な実績」というのは、学務教授なのだからURAなどよりははるかに高い実績が必要ということ。「顕著な実績」については色々総合的に判断する。その時々の個別具体的な話になるので具体的に示すのは困難。
  4. この基準は専門職人事委員会において承認されており問題は無い。

というものでした。団交の席において重ねて「『多大な貢献』『顕著な実績』が総合的な判断で明らかにできないというのはおかしい。実際に判断する以上、基準は必要なはずであるし、その基準は明らかにされている必要がある」と説明を求めましたが、「総合的な判断なので明らかにできない」と繰り返すばかりでした。

さらに加えて指摘すると、「大学専門職」は確かに就業規則上は広義の「一般職員」(教員以外の職員全てを包摂)ですが、「事務職員」とは別に「大学専門職に関する規程」「大学専門職年俸に関する要綱」(大学専門職のための)「専門職人事委員会要綱」が規程として設けられており、規程上も運用上も事務職員とは別に扱うべきものです。「公立大学法人横浜市立大学事務組織規程」においても、職員の分類は「大学専門職事務職員、技術職員、医務職員その他必要な職員」とされ、別々に区分されています。

また、「『多大な貢献』『顕著な実績』は総合的な判断で明らかにできない」という説明については、解釈、運用は恣意的に行うと宣言しているようなものであり、論外というべきです。教授、診療教授の資格について当局側は団交の席で言及しましたが、例えばその教員の場合、評価における恣意的な運用を避けるために教員組合との間に合意を交わし、教員評価において、教育面を例にとると「学生のレベルアップにつながる教育を行わず、授業の質が確保されていない」と判断される場合について「授業をたびたび放棄する」など具体的な事例を列挙し、制度の公正な運用を期しています(もっとも、その後、当局側は合意に反した運用を行おうとして、その結果、教員組合が神奈川県労働委員会に斡旋申請を行うという事態も起こったようですが)

もう一点、当局側は大学専門職に対して一方で教授、診療教授の基準を、また一方で事務職員に対する考え方を、と自分たちの主張に都合よく恣意的に適用しています。過去、組合書記長で大学専門職である菊池が中教審における「高度専門職」の新設を巡る議論について、濱口桂一郎氏の「メンバーシップ型」「ジョブ型」という枠組みを援用して分析したことがありましたが、
大学専門職を巡る交渉を通じて事務職員も該当する「メンバーシップ型」と教員や大学専門職が該当する「ジョブ型」という人材の在り方の違いについては当局側にも説明し、当局側もそのような概念があり、それが社会的にも広く通用するようになってきたことは理解をしていたはずなのですが、いざとなると素知らぬ体を装うつもりのようです。

「学務教授なのだからURAなどよりははるかに高い実績が」云々というのも他大学の専門職に対して非礼なものであるだけでなく、国立大学の場合、URA、IRerなどの専門職も教員として採用されているケースが多く、国立大学の専門職の「教授」よりも本学の「学務教授」は「はるかに高い」業績が無ければいけないというのは論理的論拠がまるで判らない主張です。

最後に、この基準は今回、しかも審査後に初めて明らかにされたもので団交中に組合側からも声が出たように「後出しじゃんけんと言うしかないもの」です。

3年半ほどのやり取り、最後は団交まで行ってようやく明らかになったのは、残念ながら当局側にはこの件でおよそ誠意ある対応を行う気はなさそうだということでした。横浜市従本部とも相談の上、今後の対応を決めていくことになります。

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2018年1月22日月曜日

政府主導型大学再編の始まりと“戦略の醍醐味”(3)

現在、ニュースには書きにくい個別労働問題への対応が中心となっていて、お知らせ出来る情報がありません。ただ、遠からず人事考課に対する異議申し立て手続き、及び固有常勤職員の住居手当についての動きがありそうで、再びそれどころでなくなる前にということで、夏に途中まで書いたところで法人固有職員給与制度変更・人事考課制度変更問題、非常勤職員制度変更問題への対応で手一杯になり放置していた稿の続きを書いてみたいと思います(続きものにすると何故かそれどころでなくなるような案件が持ち上がり、数か月後、ようやく一息つく頃には内容が頭から飛んでいてそれきりにというパターンが多いのですが、さすがに何回もやってしまうと気にもなるので)。

この稿、“戦略の醍醐味”などという妙な言葉を使ってしまったのですが、それはちょうど最初の原稿を書く直前にFMICSの8月例会「そんな事してたら、大学潰れちゃいますよ! - 施設戦略の視点から -」に参加して久しぶりに「戦略レベル」の思考を刺激されてしまったためでした(日常、「戦術レベル」の話にしか縁が無くなっているので余計に)。内容は、マーケットの縮小を前提に、大学施設の特徴を踏まえた上でそれを経営戦略において如何に位置づけ対応すべきかという、ファシリティマネジメント(FM)の戦略的側面に関するもので、個人的にはライフサイクルコスト、特に竣工後10数年で必要になる大規模修繕コストに関する情報をブラッシュアップしたいという目的で出席しました。

今回は、その辺りからの話にしたいと思います。

当日の話については、大規模修繕コストについての確認も含めてなかなか面白かったのですが(因みに、他での情報も併せるとライフサイクルコスト全体に占める建築費の割合は3割程度と考えてよさそうです。つまり建築費10億の校舎を一つ建てれば、その後の維持コストの総額は20億、あるいはそれ以上かかると考えるべきという事になります。市大の現在の支出超過状態下における経営拡大方針を職員組合が懸念するのは、この種の、施設とそして組織などの施設に限らないライフサイクルコスト、長期コストの軽視とその結果が、計画策定自体に関与できない一般教職員にツケ廻されるであろうことが高確率で予想されるためです)、もう一つ、経営戦略とFMの関係について、軍事戦略と(Military)Logisticsの関係を連想させられました。

以前、経営学で使われる「戦略」(Strategy)がもともとは軍事用語であることと、「順次戦略」と「累積戦略」というあまり知られていない概念について紹介したことがありましたが2016年8月29日「戦略論から見た大学改革への対応 -順次戦略と累積戦略-」、流通で使われる「Logistics」(あと官公庁でも若干特殊な意味で使われるようですが)という言葉も同様に元々は軍事用語で、それが経営の分野に転用されたものです。

この分野ではWWⅡでの日本軍と米軍が対照的な例として挙げられることが多いのですが、その米軍でのLogisticsの定義を見ると国防総省の軍事用語辞典(現在のものは切り口が変わってしまっているので2001年の版で)では「The science of planning and carrying out the movement and maintenance of forces.In its most comprehensive sense, those aspects of military operations that deal with: a.design and development, acquisition, storage, movement, distribution, maintenance,evacuation, and disposition of materiel; b. movement, evacuation, and hospitalization of personnel; c. acquisition or construction, maintenance, operation, and disposition of facilities;and d. acquisition or furnishing of services.」(Joint Publication 1-02, Department of Defense Dictionary of Military and Associated Terms)となっています(下線筆者)。単に物資を輸送するという次元にとどまらず、設計、開発、調達、さらには施設等の極めて幅広い範囲をカバーしていることが判ります。もう少し具体的に説明すると、兵器は戦争に使われるものなので必然的に損失、破壊、故障が起こり、その補充や整備が必要になります。また、戦時でなくても機械、それも無理のかかる機械なので故障や消耗が起こります。それらの損失や破壊、故障があることを最初から前提として、より生産や輸送、整備が容易なように考慮して設計する、設計することを求めるという事を米軍は行っています。一方、かつての日本軍は、必要な物資量を正確に算定し、その量を確実に必要な場所に届けるという事はもちろん、生産や整備を考慮して設計するという事も(基本的に)していなかったのは有名な話です。

経営戦略とFMの関係と同様に、軍事戦略においてもlogisticsは重要な要因ですが、有り余る生産力を持つ方がその効率的、効果的な活用にも意を払っていたのに対して(もちろん米軍のlogisticsが完全なものであったなどということは無いのですが)、比較にならないほど生産力の弱体な方がそういった対応をいよいよ切羽詰まるまでできなかった、やらなかったという事実、そして大学の経営戦略においてFM、更には財務が近年まで(国公立大学はそもそも論外として)私立大学においてすら連動していなかったという点を併せると、戦争の敗北程度では変わらなかった日本人の業病のような戦略的思考との相性の悪さを感じてしまいます。

印象論のレベルになってしまいますが、①明治の日本が「帝国主義の時代」という戦略的環境を受容し、その下で封建制国家から出発後わずか40年ほどでロシアに勝利するほどの成果を挙げたこと、②しかし、第1次大戦後の帝国主義の時代の終焉という戦略的環境の変化には対応できず、都市部が焼け野原になり、世界3位だった海軍と商船隊が壊滅、物流もままならなくなるまで「後発帝国主義国家」としての在り方を変更できなかったこと、③そして戦後は東西対立、パックス・アメリカーナという戦略的環境下で製造業を中心とする経済成長(ミクロ的には個別企業の成長)に専念し、明治時代と同じように数十年で世界第2位の経済大国にまで上り詰めたこと、④これまた同様に、プラザ合意、東西冷戦の終焉、世界市場の出現といった戦略的環境の激変に対応できず、国家レベルでもミクロの企業レベルでも混乱が続いていることなどを見ると、近代以降の日本人は「戦略的環境」については外部のものを受け身で受容し(言い換えれば他者任せで)、かつその戦略的環境がある程度安定的な状況下で「作戦」、「戦術」レベルに注力できた場合に成功する、逆に戦略的環境が変化するとうまく行かなくなるというパターンがあるように思えます。経営戦略論でもミドルマネージャーレベルによる各部署での外部環境への“適応活動”の結果として会社が成功するという創発戦略系の研究で、確か事例として日本企業が挙げられたものがありましたが、これも軍事戦略の枠組みで考えると「戦略」レベルではなく「作戦」、「戦術」レベルで対応を行うことによる成功という事になると思います。

それを前提として国内市場での「成功」だの「生き残り」だのを考える場合、一体どうしたらいいのかという話について次回で少し考えてこの稿を終わりにします。

(菊池 芳明)

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