Q&A

  1. 労働組合って何ですか?

    大学、企業といった「組織」とそこに勤める1人1人の「個人」では交渉力が全く違います。法律上は両者は対等に契約を結ぶ関係とされていますが、実際には「組織」の方が圧倒的に強いのが普通です。特に日本の場合、「転職」という選択は簡単でなく、また転職するとほとんどの場合収入は下がるので、出来れば退職までその組織に勤めたいと考えることの方が普通で合理的です。そうなると1人1人の「社員、職員」の「組織」に対する(月給、手当、ボーナス、退職金、勤務時間、休暇、終身雇用等の)交渉力はさらに弱くなります。

    しかし、国民の圧倒的多数を占める「誰かに雇われて給与を受け取りそれで生活する人=労働者(サラリーマン)」がある程度豊かでないと、その人たちだけでなく国自体が貧しくなりますし、同じ国民であるはずなのに大きな貧富の差が出来てしまっては国としてのまとまりも無くなってしまいます。また、働く権利、働く人間が団結し、交渉する権利などは近代的な社会では不可欠な「基本的人権」の重要な一部です。

    そこで「誰かに雇われて給与を受け取りそれで生活する人=労働者」が集まることで、1人では難しい自分達のクビを守る、給与等の雇用条件を守る、気持ちよく働ける職場にする等々を達成することが「誰かに雇われて給与を受け取りそれで生活する人=労働者」にとってだけでなく、日本という国にとっても必要になります。その実現のために法令でその存在、地位、役割、権限が保障された公的な団体が「労働組合」です。

    「労働者が主体となって自主的に労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を図ることを主たる目的として組織する団体」(労働組合法第2条)

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  3. 労働組合は何が出来るの?

    法律で認められている権利-職員全体、そして個別の職員の雇用や労働条件、雇用環境-を守るために当局側に要求、交渉を行います。(「労働組合の代表者又は労働組合の委任を受けた者は、~組合員のために使用者又はその団体と労働協約の締結その他の事項に関して交渉する権限を有する」(労働組合法第6条)

    ⇒例:法人固有職員の処遇が横浜市職員に比べて劣っている、切り下げられる。

    ⇒例:職場でセクハラを受けている、上司にパワハラを受けている、ちゃんと命令された仕事をやっているのに低い人事評価をされ給与を減額すると言われた、あなたには向いていないから辞めたらどうかと上司に迫られている、上司が仕事の調整をちゃんとしてくれなくて深夜の残業が続いて病気になってしまった、職場に人が足りなくて仕事を減らすか人を増やすかして欲しいと頼んだが無理だと相手にしてくれない、雇用契約なのにこちらには契約書の写し(労働条件通知書)を渡してくれないetc.

    ⇒組合があなたと一緒に、あるいはあなたに代わって当局と交渉します。

    ⇒これまでの具体的な取り組み


    個別の組合員のトラブル:個人情報そのものですので具体的な問題について明らかにはできませんが、問題が多発(最悪の事例では年に5,6件のトラブルが同時進行)し、組合の活動の過半は次々と起こる個人単位の問題への対応に割かれていました。

    • 任期制廃止によりこのような形でのトラブルが浮上することは無くなりましたが、過去、頻発していた問題について紹介します。何らかのまとまった治療期間を要する病気になった場合、固有常勤職員は3年以下、非常勤職員は1年の任期制だったので、非常勤職員の場合、かなりの確率で、常勤職員の場合でも3分の1 以上の確率で、「働けなかった期間があるので契約更新のための評価が出来ない」、「契約更新しても働けるか分からない」などという話が出てきて契約更新がすんなり行かなくなる事例が何度も起こりました。そのような場合、最悪、任期更新拒否・雇い止めになりますし、そこまで行かなくても3年ではなく、3ヶ月、6ヶ月、1年といった3年以下の短い任期とされてしまう、給与を下げられてしまうなどの問題が起こっていました。
    • 上司との人間関係が良くないことが原因で低い人事評価を付けられ、任期制の廃止以前には契約更新が上手く行かなくなるトラブルが、任期制廃止後は納得できない評価をされ、賞与が低い額にされた等の問題が発生しています。有効な異議申し立て手続きが確立されていないため、実際には一旦上司が出した評価を覆すのは困難で、しかも事務局管理職の多くが大学経営とは無縁な横浜市OB、横浜市派遣管理職であることが問題を一層複雑にしています。

    ⇒トラブルの解決や予防以外にも、労働者(職員)が集まって組織する公的な団体として様々な相談への対応や、職場集会など部署を超えた職員間の交流の場もあります。

    ⇒その他、職員組合としては余裕がなく行っていませんが、上部団体である横浜市の労働組合、横浜市従業員労働組合が様々なスポーツや文化活動などの職員間交流やレクレーションの機会を設けています。

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  5. 問題が起こった時に入ればいいのでは

    実のところ、法人化以降に加入した組合員の多くは自分自身に何らかの火の粉が降りかかって初めて組合に相談、加入しています。ただし、その時点で既に心身にダメージを受けているケースも多く、また、組合への相談、加入をためらっているうちに問題の解決が困難な段階になっていたケースや、心身のダメージが強く働くこと自体が困難になってしまっていたケースも、残念ながら幾つもあります。

    また、担当業務や上司との関係で問題が起こっているような場合も、初期の段階であれば比較的解決が容易ですが、ある程度時間が経ってしまうと日本の閉鎖的な組織の通例で、立場の弱い側が一方的にダメージを受け回復が困難なまま放置されるケースが多くなります。そのような段階になってしまうと、(異議申し立てや救済の制度が十分に整備されていない、機能していないこともあり)例え組合に加入しても、残念ながら当事者のどちらかの異動を求める以外の交渉は難しくなることが多いのが実態です。

    最初から組合に加入していれば、このようなトラブルに見舞われる危険は小さくなります。また、たとえ問題が起こった場合でも迅速に対応出来るので軽微な段階で解決する可能性が高くなります。さらに組合に加入する職員が多くなれば多くなるほど、法令上問題のある状態を放置したり問題のある行為を行ったりすることのリスクが大きくなるので、大学全体として問題が起こる可能性自体を減らすことが出来ます。
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  7. 職場としての横浜市立大学の特徴
    • ほんの数年前まで、市派遣職員、病院の医療技術職員を除く全教職員が任期制(非正規)だった(全国760余の大学の中でもほとんど例がありません。ようやくほぼ全ての職種で任期制は廃止されましたが、10年ほど続いた全員任期制の間に問題のある組織文化が定着してしまいました)。
    • 信頼性が低い業績評価制度と不充分な異議申し立て・救済手続き。
    • 法人化の経緯(抵抗する大学を政治的に押さえ込んだ上での法人化)から来る、市と大学、市派遣職員と固有職員の事実上の上下関係
    • 大学法人制度の趣旨とは逆の制度運用の実態(大学の自律性の増大⇔従属性の増大、民間的経営手法の導入⇔地方自治体である横浜市の制度、業務手法の導入、強化など)
    • 実質的な経営権が大学経営の専門家ではない(私立大学の職員や文部科学省高等教育局の官僚とは全く違う)市派遣職員にあることによる、非合理的、非効率な大学経営
    • 市派遣職員、固有職員(総合職、専門職、一般職、大学専門職etc.)、非常勤職員、アルバイト、派遣社員という複雑な職場の構成
    • これまでに多数の固有職員が退職。さらには市派遣職員の中からすら病気休職者になる人が。
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  9. 横浜市立大学職員労働組合の特色
    • 大学職員の労働組合(横浜市立大学職員労働組合)であるとともに横浜市の職員の労働組合(横浜市従業員労働組合)の一部(横浜市従業員労働組合大学支部)でもあり、その横浜市従業員労働組合は大学法人の設置者である横浜市における最大の労働組合です。
    • 組合ニュース、職場集会、学習会等を通して、学内にも十分な情報が流されない職場での情報源となっています。
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